空港施設は、羽田空港の格納庫の施設運営を手掛ける民間会社であるが、昨年12月、国交省の元事務次官の本田勝氏が乗田社長に対し、副社長だった国交省OBの山口勝弘氏を次の社長にするよう要求する事件が判明し、人事介入問題としてマスコミを賑わしていたことは記憶に新しい。
国家公務員による民間会社への甘下りの話は聞くだけでも気分が悪くなるが、その人事にもOBが介入していたことが暴露され、すっきりしたと思っていたら、29日の株主総会で人事案が否決され、異例の事態となった。総会では、9人の取締役の選任が提案されたが、8人は選任され、国交省に対し毅然たる対応をした乗田社長の再任だけが否認されたということは何か変な力が働いている気もする。なぜ社長の再任だけが否決されたのであろうか?
最新のニュースによると、今回の人事案に大株主のANAもJALも反対に回ったという。ANAが反対するのは理解できるが、本当にJALも反対したのであろうか?事前調整していれば、みっともないことにならないのになぜこんな結末になったのであろうか?人事刷新の必要性を理由に挙げているが、裏がありそうで何か変である。国交省OBを毅然として排除したのは乗田社長であり、なぜ彼だけを否認したのかきちんと説明してほしいものである。結果的には、生え抜きのプロパーの常務が社長に昇格したとのことであるが、何かしっくりこない。マスコミもきちんと問題を追及してほしいものである。
乗田氏については、奥様をよく知っていることもあって、陰ながら応援していたが、今回、人事介入事件に巻き込まれ、心配していた。国交省としては人事介入を断り、それを明らかしたJAL出身の乗田社長を許せず、仕打ちしたのではないかという疑念も拭えない。JALの再生は当時の民主党のやった成果とみなされていることから、それ以降、自民党・国交省とANAの癒着はあからさまとなり、今回の人事もさもありなんという印象である。
朝日新聞デジタル(6/29):https://www.asahi.com/articles/ASR6Y64F9R6YUTIL021.html