10月6日に札幌市が2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を断念した旨のニュースが流れていた。東京五輪の汚職・談合事件による五輪への不信感が高まり、招致活動に対する市民の理解を得られないと判断したというが、当然といえば当然というか、遅すぎる決定である。30年は断念したが、34年以降の招致をめざすとしているが、まだ諦めていないというから、札幌市長の見識を疑う。冬季五輪は手を挙げる都市が極めて少なく、IOCとしても何とかしたいとの思いから、札幌を利用しているものと思われる。今のIOCバッハ会長は、ぼったくり男爵として有名であり、多額の税金を使い開催経費の膨張が必至の五輪など誘致している時ではないはずなのに札幌市長は何を考えているのであろうか?東京五輪の失敗の経験が役に立っていない。大会の運営は大変難しく、従来は、電通がほとんど取り仕切っていたので、そこそこうまく運営できていたが、電通の本質が暴露され、今後の運営に電通の力を借りることができなければ、大会の運営自体もうまくいかない恐れも強く、多額の税金投入が必至と懸念される。
札幌市民も馬鹿ばかりではないはずなので、住民投票でもやったら、招致反対が大勢を占めるとは思うが、招致を希望する人がそこそこいるとしたら、それだけ札幌経済が沈んでいること、不満を持つ市民が多いということを意味するものであり、どんなものでも何らかの起爆剤が欲しい、それだけ経済環境が苦しいということであろう。1972年に一度冬季五輪を誘致し、大会も成功したと評価されるが、あれから50年も経ち、時代が変わっていることに皆気づくべきであるが、札幌市長は気づいていないのであろうか?先の東京五輪は、税金の壮大な無駄遣いをしただけで、なんの遺産も残さず、犯罪の温床となっただけであったことを忘れてはならない。札幌で2回目の五輪をやったら、二の舞を踏むだけの恐れがある。
1972年の五輪当時は札幌の千歳で勤務していたので、五輪とは公私とも深く関わっていた。外国からのチャーター機が直接千歳空港に乗り入れたり、札幌の選手村を業務で訪れたこともある。札幌に地下街ができたり、いろいろな施設が出来たり、やはりそういう時代であったから、五輪もうまくはまったものと思われる。個人的には、1972年の五輪は大成功をおさめた大会であったとみているが、「二匹目のどじょう」はいないことを早く悟るべきである。IOCの策略にのらず、34年以降の招致活動も早く断念してほしいところである。
読売新聞オンラインニュース(10/6): https://www.yomiuri.co.jp/national/20231005-OYT1T50288/