一月万冊の五輪関係のコメンテーターとして説得力のある解説で有名となり、一般のマスコミでも取り上げられるようになった元博報堂で作家の本間龍さんの書いた「ブラックボランティア」なる本を図書館で借りて読んだ。この本は、2018年7月に発行されたもので、新型コロナ問題が発生する前のことだが、東京五輪におけるボランティアの問題について、本質的な問題を厳しく追及している。
今や、ますます東京五輪とコロナ対策の関係性が問題視されているが、ボランティア問題についても、そのブラックぶりが表面化してきている。本間氏によると、ボランティアとは、「志願する・自主的な」という意味であり、そこには「無償」という意味はない。ボランティア活動とは、ボランティア学の専門家によれば、「自発性」「非営利性」「公共性」が中核的特徴というが、50社以上の国内スポンサーから巨額の資金を集め、スポンサーの利益を至上主義とする東京五輪は、ボランティア活動の定義から外れることは明白である。公共の福祉や公益に貢献し、利潤追求を目的としていない災害復興ボランティアなどとは全く異なるという。
大会ボランティア8万人、都市ボランティア3万人の募集が行われたが、1年延期になったこと、酷暑やコロナ対策がお粗末と言う実態が明るみに出たこと、女性差別発言で組織委の体質が露呈したこと等により、辞退者が続出し、今や、アルバイト募集も行われているというから呆れる。同じ業務をやっても、無償の人と手当の出る人が混在するのである。ボランティアには、医師・看護師も含め、ちゃんとしたコロナ感染防止対策は講じられていない。それでも、まだ、ボランティアの人がおとなしく従っているとは驚きである。
ここに来て、看護師500名、スポーツドクター200名の無償ボランティア募集が表面化し、マスコミで叩かれているが、まさに、医療崩壊寸前の中、ボランティア、それも無償であることは、ブラックボランティアを象徴する最たるものである。昔から募集していたが、集まっていないから、再募集をかけたようである。商業主義のオリンピックにおいて、タダでボランティアを活用するというのは、欺瞞そのものである。組織委のスタッフや大会関係者は高給を取っており、無償ボランティアが五輪貴族に貢ぐ構図となっている。ボランティアからのやりがい搾取は許されるものではない。
また、大手新聞社、テレビ局がこぞって五輪スポンサーになってしまっているので、批判的な記事や報道がほとんど出てこないのも大きな問題である。コロナ関連で東京開催の問題点を提起しているのは、海外メディアだけで、日本のマスコミはほとんどダンマリであり、我々のところに真実の情報が流れてきていない。正しい報道を行わないマスコミの責任も重大である。それをいいことに開催を強行しようとする政府の責任は万死に値する。早く中止を宣言することが今一番望まれていることである。それにしても、本間龍さんの先見の明には感心する。
一月万冊(5/4): https://youtu.be/aRDKwrbdAb0
友がオリンピック・ボランティアに参加してますが、コロナ禍で悩んでいるかなぁ~❔
日本では、阪神淡路大地震からボランティアに目覚めた印象を抱きます。