職業に、まつわる貴賤はないと言われるが、心に、もたげる好み、嫌悪感は、否めない。
死にまつわる仕事、江戸時代には、士農工商とか、肉を扱う仕事、金を扱う仕事は卑しい
とされたと聞いたことがある。
人気のある、職業、リクルートで、求人が集まりやすい仕事は、大企業が多く。零細企業は
敬遠されるとか、一時期3kという言葉もはやった。
人の心に潜む、優越感や、劣等感。
他人への差別を、様々な理由を付けることで正当化しようとする。
職業への貴賤もその表れだろうと思っている。
通常は、本人の気の持ちようで、卑下する必要もなく、優越に浸ることも可能。
けれども、好みの仕事につけるか、付けないかは、本人次第とはいかない。
ひしめく就労人口。景気の上向きを望めない経済事情、そうしたなかで、仕事に就けない、ものは、
まだまだ続いている。
人が集まらないと嘆く経営者。人を減らしたいと、リストラを行う経営者。
数ではちょうどに、なるらしいが、職業は、やはり、貴賤がある。
生きていく民族
生業の推移
宮本常一
河出文庫