シルクロードをバイクで旅してみたいと思って10年程前、中国語を勉強した。沖縄に留学で来ている中国人の女子(男より女が好きなので)大生を紹介してもらい、彼女ら(三人いた)と一年ばかり付き合った。三人の中で最も美人(そうでない人よりそうである方が好きなので)のRさんと仲良くなって、彼女と話をする時間が多くを占めた。
他の二人に比べて、日本語の上手なRさんは外国人弁論大会に出た。賞は貰えなかったが、その日一番の笑いと拍手を受けた。私が彼女の論文の添削をしたからだ。ガジ丸は、学問的に評価を受けるような文章は教えられないが、観客が笑ってくれるような文章は教えることができると事前に彼女に断っていた。それで彼女は納得し、そして、観客に受けたことに大いに満足し、私に感謝してくれた。私にとっても良い思い出となった。
現在、多くの中国人が日本に留学している。日本で勉強することは大きなステータスであり、その後の人生に有利に働くということを彼女らから聞いた。日本に来ることは威張れることなのだ。が、しかし、彼女らは日本という国が好きでは無いと言う。他の多くの中国人留学生たちもたぶん、日本が好きではないだろうと言う。
Rさんら三人の女子大生は、中国黒龍省の出身。彼女らからみれば、沖縄は日本の中で最も遠い土地。「なんで、一番遠い沖縄を選んだの?」と訊いた。「日本は嫌いだけど、沖縄は別。留学した先輩たちの話でも沖縄は住みやすいって評判だから。」と答えた。「それに、日本と沖縄は別の国っていう感覚も持っているよ。日本人はずる賢くて冷たい、沖縄の人はのんびりしていて優しいっていう印象も持っているよ。」と続けた。
その時は、「中国人が沖縄へは良い印象を持っている」ということだけに関してとても嬉しく思い、日本国がどう思われているかについては何の関心も無かったのだが、最近の韓国や中国とのギクシャクを見ると、そう無関心でもいられなくなってしまっている。
韓国とのゴチャゴチャは竹島問題が発端であり、そのことについて互いに深く話し合っていけば、ゴチャゴチャの解消もそう難しいことではなかろう。文化的にはずいぶんと親しくなっている日韓関係だ。国同士でいろいろ知恵を働かせていただきたい。
が、中国での反日感情の高まりについては根っこが深い問題なのだと思う。中国では日本製品不買運動が広がっているなどという話があり、中国人が日の丸を燃やしながら「くたばれ!日本」と叫んでいるなどということも聞いた。・・・「くたばれ!」なんて、じつに悲しい言葉だ。日本がそう言われるような国であることも悲しいし、そう言った隣人の心の貧しさも悲しい。せめて、「アホ!」とか「バカ!」にしてくれよと言いたい。
中国人の日本憎しの感情を何とかしなければ日中の友好は無い。そして、それはたぶん政治では無く、市民レベルでの交流によるだろう。よって、先ずは文化的に、芸術的に、スポーツ的に、あるいは恋愛的にもっと広く多く両国が関わっていく必要がある。遠く長い道ではあろうが、それがきっと、互いの理解を深める道なのだと思う。
さて、私の琉中交流はその後、1年やっても一向に中国語は上手くならず、バイクでシルクロードも危険だから止めた方が良いとRさんに忠告され、止める。そのRさんは東京の大学に進学し、他の二人は中国へ帰った。よって、現在、私の琉中交流は皆無。
記:島乃ガジ丸 2005.4.8