念のために紳士協定を辞書で調べると、「紳士協約に同じ」とあり、その紳士協約を見ると「互いに相手を信頼して結ぶ取決め」とあった。
公示前の選挙運動は確か禁止されていたはず。それは、国会議員の方々が自分たちでそうしましょうと決めた法律であったと記憶にあったのだが、どうやらそれは私の思い違いで、法律では無かったのかもしれない。ただの口約束だったのかもしれない。ただの口約束で、守る義務のない約束だったのかもしれない。公示前であるのにも関わらず、解散した日からずっと、私の近所では選挙カーの声がうるさい。
政治家たちの口約束に紳士協定なんてものが存在するわけはないようだ。「互いに相手を信頼して・・・」なんてことはできないようだ。それはまるで、戦国時代の群雄たちによる戦略戦術みたいで、同盟を組んで、互いに不可侵の約束をしておきながら、あっさりと裏切る。裏切ることも、相手を出し抜くことも勝ち残るためには当然のことである。そういったわけで、政治家たちに紳士協定は無い。彼らの約束は全て、非紳士協定となる。
先週の日曜日、朝の報道番組に各党の選挙責任者が揃って出演し、討論を行っていた。討論は、郵政民営化に対する立場、考え方の他に、年金問題、税の問題などもあった。各党がどういう考え方でいるのか私も興味があったので、聴いていた。細かい点があやふやなのは自民も民主も公明も一緒、社民や共産はもっとあやふや。
たとえば、歳出の削減で、公共工事の無駄を無くすという点では皆同じだが、無駄かどうかをどうやって調べ、誰が判断するのか、無駄があったとして、どうやればその無駄が無くなるのか、というようなことは各党ともはっきりしない。手段が大事。それも的確で効果的な。単に、談合を無くすとか、自由競争入札にするとかだけでは問題は解決しないと思う。各党のマニフェストにはそういったことも細かく説明されているのだろうか。
ところで、その討論の中で民主の議員が突出してマナーが悪かった。自民の議員が発言するとそれを遮ったり、発言している間も隣でブツブツ文句を言ったりしていた。いくら意見が違っていても、相手の発言の邪魔はしないというのが討論における紳士協定ではないのか。民主の議員の態度はみっともないし、見ていて気分が悪くなるものであり、そのせいでまた、民主の人気は落ちるだろうな、と私は心配したのである。
悪口だけでは片手落ちなので、一つ褒めておきたい。名前は静かだが、その民主の議員と同じくらい煩い人と、時代の申し子(らしい)ホリエモンが出馬する選挙区で、民主の議員がインタビューに答えていた。真面目で熱意のある眼差しを見せて、「互いに頑張りましょう」なんて清々しく語っていた。彼はきっと民主の人気を上げたに違いない。
記:2005.8.26 ガジ丸