ユクレー島にはコンクリートとアスファルトが無くて、その代わりに樹木や草花がたっぷりある。そのお陰で、ここはオキナワほど暑くない。さほど暑くは無いが、しかし、いちおう夏なので、それなりに暑い。日中、日向を散歩すると汗をかく。汗をかいた後に飲むビールは旨い。これこそが夏の良さだ。で、今日も、夕方、ユクレー屋。
ユーナが夏休みで帰ってきてユクレー屋の手伝いをするようになってから、マミナは平日にちょこっと顔を見せる程度になっていたが、週末の今日、珍しく彼女がいる。カウンターにケダマンと並んで座って、ビールジョッキを口にしている。
「やあ、珍しいね、週末のこんな時間に。」と声をかける。
「うん、久しぶりにさ、絵本を書いたんだよ。」
「あっそう。絵本、書いたんだ。それはホントに久しぶりだね。確か、前の『すまとらとらとらいだー』から、ずっと無かったね。」
「四ヶ月振りさあ。マナの代わりに、この店を手伝っていたからね。なかなか絵本を書く時間が作れなかったさあ。まあ、アイデアも浮かばなかったんだけどね。」
「で、新しい絵本はどんななの?」と訊くと、
「はい、これ。」と言って、ユーナからマミナの新作絵本を渡された。表紙には料理している絵が描かれてあり、『わくわくわくせい』と題があった。
「わくわくは、胸がワクワクするのワクワク?・・・わくせいは惑星?」
「そういうこと。」(マミナ)
「惑星と、この表紙の絵が上手く結びつかないんだけど。」
「人生にはワクワクが大切だってことがテーマなのさあ。」とのこと。
「ケダマンがさ、このあいだ『恋人はロボット』なんて味気無い話をしたんだよ。それで私の恋愛願望もちょっと薄まってしまったのさ。そしたら今日、マミナ先生が、それを打ち消すようなロマンチックな物語を持ってきたんだ。」(ユーナ)
「まあね、それは偶然だったんだけどね。前から、恋愛の美しさなんてのを表現した絵本を書こうと思っていてね。書いたんだよ。ユーナが喜んでくれて、嬉しいさあ。」
というわけで、今週はマミガジの絵本その4の紹介。
絵本の題名は『わくわくわくせい』、絵はいつものようにガジ丸。
記:ゑんちゅ小僧 2008.7.25 →絵本(わくわくわくせい)