ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

発明038 陽気な容器

2010年01月08日 | 博士の発明

 正月も8日となった。ユクレー島は博士の発明した機械のお陰でまずまずの天気だったが、オキナワは違ったようだ。ジラースーによると、正月一日は晴れてぽっかっぽかの陽気だったが、二日以降は雨や曇りの日が多く、しかも冷えたらしい。冷えているのは気温だけで無く、世界的に経済も冷えて、人の心も冷えているらしい。
 心の冷えた人が増えるとユクレー島にやってくる人も増えるのだが、今はまだそのような気配は無い。これからのことなのかもしれない。

 さて、そんな中、シバイサー博士の研究所へ行った。正月はマナもユーナも島に来ていて、ユクレー屋で新年会をやったのだが、その時、博士は顔を見せなかった。その後すぐに、私はガジ丸と一緒にオキナワに遊びに行っていたので、新年になってからまだ博士の顔を見ていなかった。で、今日は博士に新年の挨拶。

 研究所へ着く。今日は寒いからなのか、いつもは外で遊んでいるゴリコとガジポの姿が見えない。いつもは開いているドアも閉まっている。ドアをノックすると、いつもならゴリコとガジポが真っ先に出迎えてくれるのだが、博士が出てきた。
 「あっ、博士、どうも、謹賀新年です。」
 「おー、君か、まあ、中へ入れ、今から一杯やるところだ、君も付き合え。」
 「はいはい、喜んで。あの、ところで、ゴリコとガジポはいないんですか?」
 「ん?途中で会わなかったか?さっき、ガジ丸が連れて行ったぞ、何だったっけ、ウフオバーがぜんざいを作ったからって、ユクレー屋に向かったぞ。」
 「えっ、そうですか。会わなかったですね。浜を通ったんですかね。」
 「まあ、そんなことはどうでもいいさ。それよりも君に見せたいものがある。一杯やる前にちょっとこっちへ来てくれ。」と博士は言って、作業場へ入った。

 「博士、見せたいものというのは新しい発明品ですか?なら、2010年の発明第一号となりますね。」と、博士の後ろに続きながら訊いた。
 「うん、まあそうだな。新年が明けてから完成した。・・・これだ。」と言いながら、博士は作業テーブルの上にある物体を指差した。瓶のようなものがあった。形は泡盛の酒瓶みたいだが、とても大きい。五升くらいは入りそうな大きさ。
 「瓶・・・ですか?ずいぶん大きいですが。」
 「瓶、っていうか、容器だ。」
 「容器?・・・何の容器ですか?酒瓶みたいな形ですが。」
 「あー、酒を入れてもいいが、菓子とか米とか入れてもいい。」
 「酒とか菓子とか入れる容器なら、普通にあるじゃないですか?」
 「いやいや、これの表を見たまえ。」と博士は言って、容器を180度回転させて、向こう側だった面をこちら側に向けた。その面にはラベルが貼られていた。ラベルには絵が描かれてある。大きな口を開けて笑っている絵。
 「何だかとても明るいラベルですね。」
 「先行き不透明な世の中、そんな暗い気分を吹き飛ばそうと思ってな、見るだけで気分が明るくなる容器を作ったのだ。名付けて陽気な容器だ、カッ、カッ、カッ。」
 名前が駄洒落の、ただの瓶のようであった。博士らしいといえば博士らしい。
 「博士、それガジ丸にも見せたんですか?」
 「そりゃあもちろん、しかしあいつはユーモアを解さん奴でな、くすりともせず、何も言わずに帰りやがった。つまらん奴だ。」
 私は、多少はユーモアを解するが、でも、今回はガジ丸に同調する。
 「博士、そろそろおいとまします。私もぜんざいを食べたくなりました。」と言い残して、博士の元を去った。博士は「何で?」というような表情をしていた。
     

 しばらく後、ユクレー屋に着く。ガジ丸とゴリコとガジポはまだいた。マミナもいた。私も早速、ウフオバー手作りのぜんざいを頂く。とても美味しかった。
 そうだ、ガジ丸といえば、このあいだの唄の謎、その答えをまだ聞いていなかった。
 「ガジ丸、そういえば、年末に歌った『ラフテーの秘密』の秘密って何なんだ?」
 「あー、それ、私も解らなかったさあ、ラフテーの秘密って何?」とマミナも訊く。
 「ん?解らなかったか?そうか、マミナでも解らなかったか。ちょっと難しかったかもな、あれはだな、ベース音が鍵だ。イントロ、間奏、エンディングは同じベース音になっている。その音階がヒントだ。ミソラシー、ミソラシーと繰り返されている。」
 「あっ、そうか、ミソラシーか!」と、マミナは解ったみたいだが、私はまだ。
 「ミソラシーがどんなヒントになってるの?」とマミナに訊く。
 「隠し味は何だ?って訊いて、ミソラシーと答えてるさあ。」とのこと。???。

 記:ゑんちゅ小僧 2010.1.8


一年の計2010

2010年01月08日 | 通信-その他・雑感

 例年、年末は概ね忙しいのだが、昨年11月から12月にかけては特に忙しかった。個人的には畑仕事に追われていた。10月末(植付け適宜となっている)までには終わっている予定であった芋の植付けが延びに延びた。年末、やっと整地が終わって、後は堆肥を混入して、カンダバー(芋蔓のウチナーグチ)を挿すだけだったのだが、雨のせいでできず、結局、正月早々、働くハメとなってしまった。
 仕事は、仕事も忙しかったのだが、忙しい時にパソコンが故障して、その修理に時間を費やし、結局新しいパソコンを入れることになり、そのセッティングに時間がかかり、さらに、職場の人間関係のゴタゴタがあり、その対処にも時間を使った。

 忙しかったせいで、例年なら11月の終わりか12月の初めには済ましている冬支度が遅れた。冬物の服を表に出し夏物の服をタンスに仕舞う衣替え、隅に置いてある長火鉢を中央に出し、いつでも火を熾せる準備をする部屋の模様替え、それらが遅れた。
  忙しかったせいで、年末大掃除も十分やっていなかった。もっとも例年、年末大掃除は十分できていない。頑張った年でもせいぜい6割程度なのだが、今回はその半分以下、週一回の掃除とほとんど変わらない程度。正月早々掃除をするのは縁起が悪い(福を掃くかららしい)とのことだが、正月2日に部屋の整理、不要物の処分、新しい棚作り、一年に一回しかやらないカーテンの洗濯、衣替えなどをし、長火鉢を出した。
 職場のゴタゴタは一年ほど前からあって、昨年12月に大きな山がきた。それを乗り越えて今は小康状態だが、ゴタゴタは水面下で続いている。私の首も取り合えず3月までは繋がったが、しかし、その先は不透明、五里霧中、前途多難。昨年は非常に厳しい一年であったが、その厳しさは今年も続きそうな気配である。
          

  一年の計は元旦にありというが、元旦は上述の通り畑仕事だったので、翌二日、茶を点て、音楽を聴きながら一服し、計を立てた。聴く音楽はここ数年恒例となっているバッハの無伴奏チェロ組曲(演奏マイスキー)、頭がクリアーになる。
 スッキリした頭で考えると、前途多難、厳しい一年になりそうなモヤモヤが固まって点になっていく。漠然とした不安も一つの点として捉えれば鼻糞みたいなもの、ティッシュに包んで、ゴミ箱にポイ、後はなんとかなるさという気分になる。
 とにかく、食っていければいいのだ。食糧さえ確保できればテント生活でもいいのだ。そう考えると楽。よって、自給自足芋生活となる。で、その一年の計。
 いずれは自給自足を目指している畑だが、今はまだ僅かな面積、今年順調に行ったとしても、自足するにははるかに足りない量しか穫れない。今年はよって、芋作りのノウハウを覚えること、単位面積当たりの収穫量を確認して、自足するにはどれだけの広さが必要かを計算し、その広さの畑を借りるあてを探すことを目標とした。万歳。

 正月に植えた芋は六月には収穫できる。その日が楽しみである。今年はもう一つ楽しみがある。先日、私より20歳近くは若い、ある美人の人妻にデートを申し込んだらOKとの返事が来た。デートの日取りは、諸般の都合でずっと先のこととなるが、OKが出ただけでオジサンはとても幸せな気分。デートを楽しみに今年一年頑張れる。万歳。 
          

 記:2010.1.8 島乃ガジ丸