今週、沖縄地方はずっと天気が悪い。雨のち曇り、曇りのち雨と、爽やかな秋晴れにはとんとお目にかかっていない。だけども、私の心は晴れ晴れとしている。私には、とても良い事があった時、思わず口ずさんでしまう歌がある。それが出た。「晴ーーーれた空ーーー、そーーーよぐ風ーーー」と今日までに何度も歌っている。
歌は、『あこがれのハワイ航路』、古い歌だ、私が生まれる前の歌だが、名曲とされていて、懐メロの番組などで何度も聞き、覚えている。私が歌うのは「晴ーーーれた空ーーー、そーーーよぐ風ーーー」の節だけだが、歌うと、幸せがさらに倍増する。
私には乗り越えなければならない険しい山が二つあった。期限は今月(10月)いっぱいであった。最初の山に登り始めたのは5ヶ月も前だ。もちろん、それにかかりっきりというわけではなかったのだが、5ヶ月かけてやっと乗り越えることができた。
相続手続きなどは普通、四十九日を終えてから取りかかるらしいが、アメリカに住む姉と千葉に住む弟が沖縄にいる間に、二人の署名や捺印を要する書類は仕上げておこうと思い、葬儀の数日後から私は動いた。相続は、銀行預金、郵便貯金の他、住宅ローンの債務相続手続きがあり、そして、土地建物の登記移転手続きがあった。
最初に銀行に行って、担当者から話を聞いて、その後、友人知人にも相談した結果、姉や弟がいる数日間で相続手続きの書類を揃えることはとても無理であると判明した。債務相続手続きと登記移転手続きは特に難しいと聞いた。友人の内の何人かは、「そんなの普通は税理士か司法書士に頼むもんだぜ。」と助言した。
姉が父の預貯金から多額を使い込んだせいで、父は預貯金よりも借金が多かった。それに私は、大きな声では言えないが貧乏である。借金をぱっと支払う金は無い。ローンの代表相続人にも「あなたの収入ではなれません」と銀行に言われたくらいだ。なので、諸々の相続手続きを税理士に頼む金もケチらなければならなかった。
債務相続手続きが終わらないと銀行預金相続手続きはできないということなので、それから先ず取りかかる。これが最初の険しい山であった。二ヶ月を費やし、何とかかんとか提出書類の合格を貰った。ただし、登記移転ができたという証明書がなければ最終的な合格は得られないとのことなので、さっそく登記移転手続きに取りかかる。
登記移転手続き、これが二番目の険しい山であった。法務局へ何度も通うことになる。初回に、相続するためにはどのような方法があるかを聞いてから、資料を読んで勉強した後、今月(10月)15日、遅れていた姉からの書類がやっと届いたので、必要書類を全て揃えて申請する。しかし、申請書の書式が一部違っているということで却下。
月曜日の午前中、5回目の法務局訪問。「だいたい良いが、一部書き直し」となり。その日の午後、6回目の訪問でやっと書類の提出が済んだ。後はそれが受理されるかどうか待つだけ。水曜日、電話して、受理されたことを確認する。そして木曜日、登記簿謄本を貰い、そのまま銀行へ行き、それを渡し、債務相続手続きも終了となった。
この半年重くのしかかっていた雲が取り除かれ、晴れ渡った気分。傍に誰か(誰でもいいというわけではないが)いれば抱きしめたくなる、今はそんな気分だ。
記:2010.10.22 島乃ガジ丸