ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

目玉焼きにソース

2005年04月01日 | 通信-その他・雑感

 「目玉焼きにはソースの方が美味しい」と言って、勝手に他人の目玉焼きにソースをかける人間は、概ね若い人の方が多いのだろうか。自分の感性が見えてくると、これこそが正しいと思え、他人にもそれぞれの違った感性が存在するということにまでは考えが及ばないのだろうか。目玉焼きには、醤油でもソースでもケチャップでも私は好きだが。
 アパートの1階の住人の一人は若い男である。アパートの駐車場は、関係の無い車が入ってこられぬよう入口にロープが渡されている。車を出したらロープを掛けてくれと、数年前から大家に言われているのだが、若い男はそれをあまり守らない。いちいち面倒であることと、「別に他の車がユーターンするのに使うくらいいいじゃないか。そういうのも嫌がるなんてケツの穴が小さいことではないか。」なんていう気分なのかもしれない。
 実は私もそういう気分を持っており、ロープを掛けたり外したりするのを面倒臭いとも思っている。が、駐車場は大家のモノであり、目玉焼きには醤油と思っている大家に、いえいえソースが良いですよと勝手にソースを掛けるなんてことは、私にはできないのだ。そして、大家の意向をたびたび無視する若い男を「変な奴だ」と、私は思っていた。
 3週間前、隣の部屋に若い女が越してきた。下の若い男より、上の若い女はさらにずっと若いようで、彼女の場合はほぼ毎回と言っていいくらい、醤油の好きな大家の目玉焼きにソースを掛けている。彼女が出入りした後の駐車場にロープが掛けられてあるのを、私はあまり見たことが無い。まあ、そんな機会はまだ数回しかないのでたまたまそうだったのかもしれないが、自分の感性に素直に行動する、時には他人の感性を無視する、なんてのは若者の特徴なのかもしれない。若い男と若い女、挨拶しない点でも似ている。
 学生の頃、プレーンヨーグルトを時々食べていた。もちろん、好きで食べていた。それを見ていた高校時代の同級生に、「無理するなよ。都会人ぶるなよ。ほんとは不味いんだろう。」なんてしつこく言われた。「美味しいと思うよ」と言ってもまったく信じてくれなかった。自分が嫌いなものは他人も嫌いだと、若かりし頃の彼は思ったのだろうか。
 などと書いているうちに思い出した。自分の感性を押し付けるような人はオジサンにもいた。数年前に、私が太極拳を習っていると話したら、その場にいた高校時代の同級生の一人が舌打ちしながら、「ウチナーンチュだろう。空手をやれよ。」と言った。素早く頭を巡らせてその意味を解す。この男は空手をやっているのだと。で、「そうか、そっちは空手をやっているんだ。」と訊く。「いや、やっていない。」という返事。ワケわかんない。
 世論調査では若者の指示を得ているというホリエモン、テレビのニュース番組やワイドショーではえらい叩かれようをしている。概ね分別のある(悪く言えば分別臭い)大人たちには嫌われているようである。多くの芸能人から慕われ、尊敬もされているラジオ局の社長は醤油派なんだが、そんな彼の目玉焼きに、ホリエモンは無理やりソースを掛けようとしたのではないか、それが嫌われている理由なのではないか、と思ったのである。

 記:島乃ガジ丸 2005.4.1