ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

リュウキュウルリモントンボ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 網を持たない効果

 私の記事の中に子供達が時々登場するが、もちろん、女性に見放され続けてきた私に、私の血を分けた子供のいようはずが無く、登場する子供達は親戚の子供か、または、友人の子供か、あるいはもう、親戚の孫か、友人の孫である。そういう歳となった。
 私に子供がいないということをわざわざ書いたのは、実は、東京に住む私の従兄が、私のHPを見て、「いつ結婚したんだ?いつ子供ができたんだ?」と騒いでいるということを噂に聞いたからである。「兄貴、そういうことです。」

 さて、そんな話は置いといて、子供達と野原や公園で遊んでいると、子供が少年である場合、昆虫を見つけると概ね追いかけていく。少年の多くは虫に興味を持つ。
  このHPを初めてから昆虫に興味を持ち、その写真を撮り、何者か調べて、HPで紹介するようになっているが、子供の頃の私は、あまり昆虫に興味を持っていなかった。虫取り網を手に、虫を追いかけて野原を駆け回った記憶は無い。
 昆虫が好きな子供達は、見つけると追いかける。追いかけると虫はたいてい逃げる。私はカメラを手に持っているが、なわけで、子供達と一緒にいると写真が撮りにくい。
 一人の時は、昆虫を見つけるとそっと近付く。虫取り網を持っていないのは安全だと昆虫の多くは思うかもしれない。私は概ねぐっと近付ける。近付いて接写できる。リュウキュウルリモントンボもそうやって接写できたものの一つ。私が写すまでじっと待っててくれた。ただ、その最初のシャッター音で逃げてしまって、1枚しか撮れなかった。

 
 リュウキュウルリモントンボ(琉球瑠璃紋蜻蛉):トンボ目の昆虫
 モノサシトンボ科 沖縄諸島、奄美諸島に分布 方言名:アーケージェー
 名前の由来について、文献には無かったが、沖縄諸島の固有種とのことでリュウキュウ(琉球)、体が青色をしているのでルリモン(瑠璃紋)だと思われる。
 科名のモノサシトンボが初めて見る名前で、ちょっと興味を覚える。『沖縄昆虫野外活用図鑑』には2種のモノサシトンボ科が紹介されているが、どちらも腹部の節がはっきりしている。ほぼ等間隔にならんだ節を物差しに喩えたものと思われる。ただし、胴体の節は他の多くのトンボに見られ、イトトンボの仲間もはっきりしている。
 本種は沖縄諸島、奄美諸島の固有種で、沖縄諸島に原名亜種、奄美諸島のものは別亜種で、アマミルリモントンボという名があるとのこと。 
 腹長36~44ミリ。成虫の出現は3月から11月。

 記:ガジ丸 2009.10.7 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


シオカラトンボ/ホソミシオカラトンボ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 田園風景2

 広辞苑のシオカラトンボの項に、「雌はムギワラトンボとも呼ばれる」とあった。ムギワラトンボ、何かしら懐かしい想いに駆られる。おそらく小学校高学年の時の少年雑誌か何かにその言葉があったのだろう。懐かしさと共に、記憶に無いはずの田園風景(沖縄に田んぼはほとんど無い)の絵が浮かんだ。田んぼの、まだ頭を垂れるほどではない稲の上をムギワラトンボが飛んでいる。麦藁帽子と重なって、夏の風景となっている。

  シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ホソミシオカラトンボの判別が素人の私には難しい。オオシオカラトンボは大きく、ホソミシオカラトンボは小さく、シオカラトンボはその中間とのことだが、並べて見比べないことにはどっちがどっちやらだ。
 ただ、『沖縄の昆虫野外活用図鑑』にオオシオカラトンボの「成熟した個体は頭部、特に複眼が黒くなるために」シオカラトンボやホソミシオカラトンボと簡単に見分けられるとあった。シオカラトンボは大人になっても目が青いということのようだ。ホソミシオカラトンボは目だけでなく、胸部まで青くなるとのこと。

 青い目、というと思い出す。「とんぼのメガネは水色メガネ、あーおいお空を飛んだからー」という童謡。広辞苑にはまた、シオカラトンボは(田んぼのある倭国では)「最も普通のトンボ」ともあった。そうか、青い目のトンボはこれであったか。

 
 シオカラトンボ(塩辛蜻蛉):トンボ目の昆虫
 トンボ科 日本全国、台湾、ヨーロッパ~中央アジアなどに分布 方言名:アーケージェー
 広辞苑に記載があって、塩辛蜻蛉という字が充てられている。何故シオカラ(塩辛)なのかについては不明。日本酒好きのオヤジの多くは塩辛(イカでもカツオの腸でも)が好きだが、トンボがまさか、酒が好き、塩辛が好きってことはあるまい。
 広辞苑に、「晩春から夏にかけて現れる最も普通のトンボ」とあったが、『沖縄の昆虫野外活用図鑑』に「沖縄島では、水田の減少に伴い本種も減少した。」とある。沖縄では普通のトンボではないようだ。私もたぶん、あまりお目にかかっていない。
 腹長33~38ミリ。成虫の出現は2月下旬から10月。
 
 交尾

 
 ホソミシオカラトンボ(細身塩辛蜻蛉):トンボ目の昆虫
 トンボ科 トカラ列島以南、沖縄、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:アーケージェー
 シオカラトンボに似ていて、シオカラトンボより細いのでこの名がある。シオカラトンボに似たものをいくつか写真に収めているが、実物の両者を並べて見比べたことが無いので、どれが細身で、どれが太身なのか判別不能。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に、本種は「沖縄島には少ない」とあり、シオカラトンボは「数が減った」とある。シオカラトンボに似たいくつもの写真、その多くはおそらく、沖縄で多く見られるオオシオカラトンボのようである。
 腹長29~33ミリ。成虫の出現は周年。
 
 記:ガジ丸 2009.9.13 →沖縄の動物目次
 訂正加筆:2011.5.8

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


ベニトンボ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 池畔の住人4

 この2年間、トンボの図鑑にも数回は目を通していたお陰で、その姿を記憶していたオキナワチョウトンボ、沖縄市泡瀬にある「トンボ公園」(仮称)を訪れ、その実物を見、「お-、あれはあれではないか!」とすぐに判別できた。
  「トンボ公園」を訪れたのは9月の第一週と第四週の平日、その中間に当たる17日には、鹿児島から遊びに来ていた友人Nとヤンバルドライブを楽しんだ。その途中、国頭森林公園に立ち寄る。そこには沼があり、そこでもいくつかのトンボを目にした。5、6枚は写真を撮ったのだが、風の強い日で多くはボケ(私の腕のせいかも)ていた。そんな中で、1枚だけが私の許容範囲内のボケであった。調べると、まったく運の良いことに、その1枚はこれまで写真に撮れていなかったもの。ベニトンボであった。
 オキナワチョウトンボはその見た目が特徴的なので、図鑑の写真と共に、その名前も記憶にあったのだが、ベニトンボはさしたる特徴が無い。チョウトンボは蝶のようなトンボという名前も覚えやすいが、ベニはいかにもありふれている。おそらく私は、「あれがチョウトンボだよ」と知識をひけらかすことはできるが、ベニトンボについては、この先どこかで出会ったとしても、その名前はおそらく出てこないだろう。

 
 ベニトンボ(紅蜻蛉):トンボ目の昆虫
 トンボ科 薩摩半島南部、琉球列島、台湾、他に分布 方言名:アーケージェー
 成熟した雄の腹部が紅色であるところからベニトンボという名前。雌は黄褐色。
 沖縄に生息するようになったのは比較的新しいようで、『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると「1981年に石垣島、1982年に西表島、1983年に沖縄島で初めて採集された。」とのこと。まだ個体数が少ないのか、あるいは、池沼のある緑の多い場所にしか住まないのか、私の家や職場、実家、友人の家などのある那覇市や浦添市、宜野湾市近辺では見ることが無い。写真は国頭村立森林公園の、沼の傍で撮ったもの。
 腹長24ミリ内外。成虫の出現は3月から11月。

 記:ガジ丸 2006.11.11 →沖縄の動物目次
 訂正加筆:2011.5.8

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


オキナワチョウトンボ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 池畔の住人3

 沖縄市泡瀬にある「トンボ公園」(仮称)では多くのトンボを見たが、もし、それが、このHPを始める2年前だったなら、私はきっと、それら多くいるトンボの種類を全てひっくるめて「トンボ」 としか認識しなかったであろう。ガジ丸HPを立ち上げて、昆虫にも興味を持ち、写真を撮り、いちいち調べて、HPで紹介してきたお陰で、池の周りを乱舞しているトンボたちの違いを認識できるようになった。既に紹介済みのウスバキトンボやハネビロトンボ、ショウジョウトンボなどはすぐに名前も出てきた。
 この2年間、トンボの図鑑にも数回は目を通している。これまで実物を見ていないが、その特異な見た目から、図鑑で覚えてしまったトンボもいる。飛んでいるのを見、止まっているところを見て、その名前が出てきた。オキナワチョウトンボであった。

 
 オキナワチョウトンボ(沖縄蝶蜻蛉):トンボ目の昆虫
 トンボ科 奄美諸島以南、台湾、東南アジアに分布 方言名:アーケージェー
 翅が広く、それをひらひらさせて蝶のように飛ぶのでチョウトンボという名前。その翅がベッコウ色をしているのでベッコウチョウトンボという別名もある。
 翅には黒褐色の斑紋があるが、それが少ない淡色型と、多い濃色型の2タイプがあるとのこと。写真のものが淡色型なのか濃色型なのかは、比較対象がないので不明。
 流れの緩やかな池沼などにヤゴは生息し、成熟雄はテリトリーを持つともあり、それはその通り、私は池で発見し、個体はほぼ同じ場所に止まっていた。
 腹長25ミリ内外。成虫の出現は4月から11月。
 
 横から
 
 大東島産

 記:ガジ丸 2006.11.11 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


アオモンイトトンボ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 池畔の住人2

 漢字の蜻蛉はトンボともカゲロウとも読むが、昆虫綱トンボ目のことを指す。昆虫綱カゲロウ目は蜉蝣と書く。トンボとカゲロウはこのように目(もく)が異なるので、種は遠い。でも、形は似 ている。似ているからなのか、トンボの古名はカゲロウとなっている。ウチナーグチ(沖縄口)でもセンスルーというとカゲロウのことを指すが、体の細いイトトンボ科もまたセンスルーと言う。イトトンボ科はトンボ目イトトンボ亜目。

 センスルーというと、私は琉球民謡『センスル節』が先ず頭に浮かぶ。子供の頃、大笑いして聞いていた民謡である。後年その唄は、いわば替え歌であることを知ったが、『沖縄大百科事典』を見ると、センスル節は「さいんそる節」と表記されて、「組踊の中の舞踊曲」とある。そういえば、組踊(くみおど り)を観ているとこのメロディーはよく耳にする。いろいろな題目の組踊の中で、それぞれ歌詞を替えて歌われている。
 民謡『センスル節』によって、また、エイサーで使われる民謡『唐船ドーイ』にも「ハイヤ センスル ユイヤナー」という囃子があって、子供の頃から耳に馴染み深い「センスル」であるが、その意味は不明。沖縄語辞典にも記載は無かった。

 ちなみに、民謡『センスル節』は、シマー(島のという意、沖縄県産品ということ)の煙草、ヴァイオレットを愛飲するヘビースモーカーで知られ、琉球民謡界の第一人者である登川誠仁が歌っている、沖縄各地の方言を面白おかしく紹介した内容の唄。また、組踊(くみおどり)とは琉球古典芸能の一つで、倭国の能と歌舞伎を足して2で割ったたようなもの。どちらも詳細は、機会があればいずれ紹介したい。

 
 アオモンイトトンボ(青紋糸蜻蛉):トンボ目の昆虫
 イトトンボ科 日本全土、東南アジア、アフリカ、他に分布 方言名:センスルー
 既に紹介済みのリュウキュウベニイトトンボと同じイトトンボ科の仲間で、トンボに比べて体がごく細いところからイトトンボ(糸蜻蛉)という名がある。本種は、成熟した雄の腹部に青い斑紋があるところからアオモン(青紋)とつく。
 方言名のセンスルーを沖縄語辞典でひくと、「かげろう。とんぼとは別。」とあった。「かげろう」を広辞苑でひくと、1に「トンボの古名」とあり、2に「カゲロウ目の昆虫の総称」とある。なるほど、「かげろう」がカゲロウ目のことであれば、沖縄語辞典の説明は正しい。しかし、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「方言で言うセンスルーは、多くの場合本種を指していると思われる」とあり、年配の人に写真を見せて確認したら、「これはセンスルーである」とのことであった。まあ、カゲロウも小さくて細いので、イトトンボの仲間と似ているということで、どちらもセンスルーでいいのだろう。テーゲーだ。
 文献には「人家周辺で最も多いイトトンボ」ともあった。採餌のため水域を離れるからとのこと。私は、私の住んでいる近辺でリュウキュウベニイトトンボは何度も見かけているが、本種は一度も見たことが無い。沖縄市の、池のある公園に本種が多くいた。
 腹長24ミリ内外。成虫の出現はほぼ周年。
 
 雌

 記:ガジ丸 2006.11.11 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行