ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

セスジナガハリバエ

2019年08月21日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 楽な作業場

 老いた目にパソコン画面はきついが、本の文字や図鑑を見るのはそうきつくはない。なので、パソコン作業に疲れた時は外を眺めたり、瞑想したりもするが、本や図鑑を観ていることも多い。本や図鑑を観て何をしているかというと、最近は薬草の勉強が主になっているが、撮り溜めている写真の昆虫や小動物を何者か判明させる作業もやっている。

 セスジナガハリバエ、これは既に2~3年前には何者か判明していた。パソコンの中の「判明写真」フォルダの子フォルダ「動物ハチアブ」にあった。その子フォルダには他に数種のハチアブ類の写真があって、その内の4種の名前をメモ用紙に書いて、図書館へ行き、図鑑を開いてそれらの説明文を書く作業をする。ところが、その4種の内3種はいつも利用している『沖縄野外観察図鑑』に記載が無い。「沖縄では生息数が少ないのかもしれないな」と思いつつ、『学研生物図鑑』を開く。これにはあった。
 
 図書館に入って、本探しから4種の内3種のハエ類の調べを終えるまで約40分。図書館の椅子は長時間腰掛けても腰に対する負担が少ない構造になっているのか、40分程度では腰に痛みは出ない。目も痛くないし首肩も凝らない。図書館は楽な作業場である。
 
 セスジナガハリバエ(背筋長針蝿):双翅目の昆虫
 ヤドリバエ科 北海道~九州、沖縄島、中国、マレーシア他に分布 方言名:フェー
 名前の由来は資料がなく正確には不明。『沖縄昆虫野外観察図鑑』の記述から推理すると、「腹背には2本の不明瞭な黒色縦条が走る」からセスジ(背筋)、「前頭側剛毛は強大」からナガハリ(長針)、蠅の仲間だからハエなのだと思われる。
 体長は10ミリ内外。複眼は赤色、頬は白色、翅は長大、脚は長く腿節は赤褐色。
 成虫の出現は3月から11月。寄主は、本土ではコフキコガネの幼虫とされているらしいが、沖縄ではまだ判っていないとのこと。

 記:2019.8.14 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


キョウオウ

2019年08月19日 | 草木:野菜

 ウコンは既にこのHPで紹介済み。記事を書いてアップしたのは2004年7月14日となっている。そうかもう15年も前になるか。まだ両親とも生きていた頃、首里石嶺のボロアパートに1人住んでいた頃、まだバリバリ働いていて、時には現場に出て肉体労働をしたっぷり汗をかいていた頃、酒もたっぷり飲んで健康だった頃だ。
 ノスタルジーはさておいて、15年前ウコンを紹介した時、ついでに同頁でキョウオウとガジュツも紹介している。ウコンはアパートの畑にウコンがあり、葉も花も根茎も何度も目にし、写真も撮っていた。が、キョウオウとガジュツには長い間会えなかった。

 ガジュツについては先週、「2017年6月に畑で遭遇した」と書いた通りだが、キョウオウにはその後もずっと出会えなかった。去年2018年6月から薬草の勉強を始めているが。参考文献の多くに載っているキョウオウ。春ウコンという名前で沖縄ではよく知られた薬草なのに、私はまだ見たことが無い。「探そう」と思って、薬草に詳しい友人のKにキョウオウのありそうな場所について訊くと、「知念辺りの畑を回ればあるよ、葉の裏を触ればウコンとキョウオウははっきり区別できる」とのことであった。
 Kからそれを聞いて数日後、たまたま南風原町に住む叔父の家を訪ねる機会があった。叔父の家の庭は、一部畑になっていて、そこに薬草の類も植えられてあった。それを思い出して庭へ回る。ウコンに似たものがあった。葉の裏を確認する。一触瞭然だった。

 ウコン 秋ウコン 葉はツルツルしている。秋に白い花。
 ガジュツ 紫ウコン 葉の中央に紫の線が入っている。花色は赤紫。
 キョウオウ 春ウコン 葉の裏がビロードのよう。春に桃色の花。
 
 キョウオウ(薑黄):薬用・染料
 ショウガ科ウコン属の多年草 インド原産 方言名:ヤマウキン、ハルウッチン
 正式名称を「キョウオウ」漢字で書くと「姜黄」と言うが、渡来した時に何かの誤解があったのか、中国では本種がウコン(鬱金)と呼ばれる。根茎は黄色で、薬用となる。春に花を付けることから別名ハルウコンといい、沖縄ではこれが通り名となっている。
 根茎は黄色で、アキウコンに比べると苦みが強く、食用には不向きとされている。アキウコンに比べると薬効成分が多いので健康食品などに多く使われる。植物の葉や茎、根等に含まれる精油成分が動脈硬化予防やコレステロール分解、ガン抑制の効果を持つ。秋ウコンに比べてクルクミンの量は少ないが、食物繊維は豊富に含まれている。
 開花期は春、紅味を帯びた白色の花を穂状につける。根茎は黄色。葉の裏はビロードのようになっている。根茎は薬用の他、黄色染料にも使われる。
 
 葉
 
 根茎
 ちなみに学名
 ウコン Curcuma longa
 キョウオウ Curcuma aromatica
 ガジュツ Curcuma zedoaria

 記:島乃ガジ丸 2019.8.11 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行


大人しい旅立ち

2019年08月16日 | ガジ丸のお話

 梅雨が明けた6月下旬のある日、私はいつものように朝6時頃に目が覚めた。カーテンの隙間から見える窓の外は明るい。「今日も晴れだな」と思い、ラジオを点ける、いつものようにニュースをやっている。しばらくベッドの上でグダグダして6時過ぎ、
 ベッドから起き上がって台所に向かう。台所のラジオは音を出していない。「ん?何でだ?」と不思議に思う。この時間だと、いつもならヤスがとっくに起きていて、ラジオを点けていて、食卓の前に腰掛けてお茶かなんか飲んでいるはずだ。「そうか」と気付く。そのヤスがいない。ヤスがいないからラジオも点いていないんだ。

 私はヤスの寝室に向かい、そのドアを開けながら「ヤスー」と声をかけた。ヤスはまだベッドの中だった。「ヤスが寝坊なんて珍しいな」と私は呟きながら肩を揺する。何の反応も無い。「ヤスー!」と私は大声を出す。隣のベッドで寝ている寝坊助のモリがゴソゴソ動いて、「何だよー、煩ぇなぁ」と言いながら体を起こした。
 「ヤスが返事しないんだ」
 「体を触ってみろ」
 「あっ、・・・冷たい」
 「アッコは泊りだったよな、呼んで来いよ」
 アッコとは友人の介護士、週に2日はここへ泊っていく、今回は2日休みの後、昨夜遅くやってきた。彼女のための部屋もある。私はその部屋のドアをノックし、
 「アッコ、非常事態みたいだ、起きて、来てくれ」と声を掛ける。
 「はーーーい」と少し眠そうな声でアッコは答えたが、さすがプロ、3分も経たない内に部屋から出て来て、ヤスとモリの寝室へやってきた。事態をすぐに察知して、脈をみたり、瞳孔をみたりして、そして、我々の方を向いて首を横に振った。
     

 「昨夜はどんな状態だったの?何か変わったところは無かった?」とアッコが訊く。
 「あー、そういえば、少し違っていたか」とモリと私は顔を見合わせ合唱した。
 昨夜、ヤスとモリと私の3人で久しぶりに酒を少し飲んだ。私は飲兵衛だが、モリはたしなむ程度、ヤスもたしなむ程度だったが年老いてからはほとんど飲まなかった。盆正月クリスマスに少々、3人の誰かの誕生日に舐める程度だ。それが昨日は珍しく飲んだ。飲んだといっても私の三分の一もいかない。ビール1缶と泡盛1杯だけ。
 たったそれだけでヤスは酔ったのか、すごく上機嫌だった。
 「いやー、楽しいな、愉快だな。これも友がいるお陰だ、ありがとう。」と言う。
 「ありがとうはお互い様だよ。」とモリ。「そうだよ」と私。そんなこんなの楽しい愉快な時間を過ごして、ヤスは上機嫌のまま床に就いた。
     

 「そうなんだ、ヤスさん、自分の死期を悟っていたのかも、別れの酒だったんだ。」
 「そうか、そういうことか。ニコニコ笑いながらあの世へ旅立ったんだな。」(モリ)
 「笑って眠るように静かに逝ったんだ。大人しい旅立ちだ。」(私)
 「俺たちもそういう風に逝きたいな。」(モリ)
 「そうなると思うよ。あなたたち、いつも幸せそうだもん。私も仲間に入ろうかな。」

    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

 6月末日、友人KとTを我が家に招いて昼間(午前11時半)からグダグダ飲み食いしながらのユンタク(おしゃべり)会を催した。
 「最近、引き籠りじゃないかと感じている。」とT、Tは私と同じ独り暮らし。最近忘れ物が増えて来て認知症になる可能性も高いなぁという話も出て、独居老人になると死んだかどうかも分からなくなるぞ、そろそろ危ないとサインを出すこともできないぞ、ならば、いつか3人で一緒に暮らすかとなった。2人とも高校からの付き合いの同級生。青春時代の想い出話はたくさんある。ルミ子の話で1日、カツ子の話で1日、エイ子の話で1日、運動会の話で1日、遠足の話で1日、などなど話題にことかくことはない。
 もし、それが現実の話となったら、オジーたちは身の回りのことができないかも、3人が爺さんになったら、介護ができる女性をバイトで雇った方がいいんじゃないかと私は思った。ということで、上記の話を思い付いた。話の通りになったら幸せかも。
     

 記:2018.8.11 島乃ガジ丸 →ガジ丸の生活目次


ガジュツ

2019年08月14日 | 草木:野菜

 ウコンは既にこのHPで紹介済み。記事を書いてアップしたのは2004年7月14日となっている。そうかもう15年も前になるか。まだ両親とも生きていた頃、首里石嶺のボロアパートに1人住んでいた頃、まだバリバリ働いていて時には現場に出て肉体労働をしたっぷり汗をかいていた頃、酒もたっぷり飲んで健康だった頃だ。

 ノスタルジーはさておいて、15年前ウコンを紹介した時、ついでに同頁でキョウオウとガジュツも紹介している。その頃の私は健康だったこともあり、薬草に特に興味を持っいたということはなく、ガジュツもキョウオウも軽く紹介しているだけ。
 軽い紹介で済ませたのは、実は、ウコンは身近にあったが、ガジュツもキョウオウもその生きている姿を私は見たことが無かったからでもある。よって、写真も無い。
 2017年6月、腰痛の足音が忍び寄ってはいたが、まだ元気に畑仕事をしていた頃、畑の一角に、これまでてっきりウコンだと思っていた植物が成長して、葉が茂っているのを見つける。葉の中央に紫色の筋がある。「おっ、これはもしかしたらあれだ」と物覚えの悪い私も思い出す。その日、そのウコンに似た植物は花も着けていた。
 ウコン 秋ウコン 葉はツルツルしている。秋に白い花。
 ガジュツ 紫ウコン 葉の中央に紫の線が入っている。花色は赤紫。
 キョウオウ 春ウコン 葉の裏がビロードのよう。春に桃色の花。
 
 ガジュツ(莪)
 ショウガ科ウコン属の多年草 ヒマラヤ原産 方言名:不詳
 ガジュツ(莪)は漢名。流通名のムラサキウコンで知られている。ムラサキの名のの由来は「葉の真ん中に紫色の腺が入っている。花色は赤紫、根茎も紫」など由来の候補があるが、花色が赤紫色だからであろう。それがウコンやガジュツとの目立つ違い。
 葉の形はウコンに似る。30センチほどに花茎を伸ばし、ウコンに似た花を着ける。上部の苞葉、ウコンは白色、ガジュツは紅味を帯びた白色、本種は赤紫色。開花期は夏。
 クルクミンはほとんど含まないが、根茎の主成分はシネオール、カンファー、アズレン類などの精油成分で。血液の浄化、血管の老化予防に効果がある。
 
 花
 
 根茎
 
 根茎スライス
 ちなみに学名
 ウコン Curcuma longa
 キョウオウ Curcuma aromatica
 ガジュツ Curcuma zedoaria

 記:島乃ガジ丸 2019.8.4 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行