玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

寂しい絵あんどん展

2014年09月17日 | 日記
 二日・三日にぴっから通りで開かれた、ふるさとまつり絵あんどん展に出掛けてみて、少し寂しい思いがした。今年の出品者は九十六人で、出品数は百二十一点であった。一時は、ぴっから通りとえんま通りの商店街を埋め尽くすくらいの点数があって、夕涼みを兼ねてじっくり見ることができたし、気に入った作品に入札する楽しみもあった。
 今年はえんま通りが県道拡幅工事のため、ぴっから通りだけの展示だったが、ぴっから通りだけでもまばらの感は否めなかった。調べてみると、平成十四年には二百二十点、平成十六年には二百三十点の出品があったから、十年間で半減していることになる。
 また、二日の日は「ほんちょうマルシェ」との併催で、人の流れは完全に二分されていた。若い人や親子連れは、絵あんどんなど見向きもせずにマルシェで飲食を楽しんでいた。絵あんどんをじっくり眺めているのは高齢者ばかりであった。食べ物には勝てないのだ。
 帰省客を楽しませるために、以前のようにお盆の開催にしたらどうかと思うのだが、実行委員会によると、そうもいかないようだ。お盆には刈羽村のふるさとまつりが開催されて、一流どころの芸能人がやってくるから、そちらにお客をとられる傾向になっていたらしい。
 さらに、入札金額は最低千円から最高三万円までと決められているが、ほとんどが二千円程度で、一万円以上などめったにないという。こうしたものにお金を払う心の余裕が柏崎人には失われてしまったのだろうか。描いた人に失礼とは思わないのだろうか。
 だから、ふるさとまつりの収入は極めて少なく、翌年の開催に回す予算を確保できない。それに加えて、描く人の高齢化で出品数も激減しているから、悪循環となる。盆の開催もむずかしく、一週前のマルシェとの同時開催もやむをえないということらしい。
 寂しいのは、まち中でお盆らしい静かな行事がなくなりつつあることである。古くは大正時代に遡る歴史ある絵あんどん展をなんとか続けていってほしい。

越後タイムス8月9日号「週末点描」より)


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