2月19日に行われた立憲民主党大会の模様が報じられた。
野党第1党の党大会としては報道も低調で、ベタ記事扱いに近いものであったように思う。
泉代表は挨拶で、政権交代へのステップとして党勢の拡大・地方議員増勢を挙げるとともに、「この(民主党政権以降の)失われた10年を取り戻す」と宣言したが、具体策の無い政権批判に終始しているように感じた。
長くなるが、代表の「安倍政権は安保法制を変え、岸田政権は反撃能力、敵基地攻撃能力に駒を進めようとしている。この10年間、周辺国との緊張を緩和することができたのか。友好な東アジアの環境を作ることができたのか、むしろ緊張が高まっているのではないか。われわれは、日本の安全を守りながら周辺国との対話を続け、国民の皆さんにとって絶対に戦渦に巻き込まない、安心できる平和な周辺環境を作ることこそが、わが国に必要な外交ではないか。自民党政権で失われた外交・平和を取り戻さないといけない」と述べていることに注目した。
これは、東アジアにおける現在の緊張状態を作り出している元凶は、海軍兵力の拡張とサプライチエーンのセンターに位置する事で中華覇権を目論む中国であるという認識が希薄とする以上に、中華覇権に組み込まれることを容認しているのではないだろうかとも疑えるものである。冷え込んだ米中関係は既に米ソ冷戦時代に匹敵し、第三国の独自外交で斡旋できるレベルを超え、まして尖閣という核心的な係争を抱える日本が米中の仲を取り持てると考えるのは噴飯ものに思える。
泉代表の云う「失われた10年」を考えれば、米中の狭間にあっても、日米豪印戦略対話(Quad)体制を深化させることでASEAN加盟国からも一定の同調者を得、インド太平洋戦略の構築で中国の膨張に一定の歯止めが効いているのが現状で、これらの要因で東アジアは緊張状態下に一応の安定を保っていると思っている。
立憲明民主党政権が誕生した場合の外交を考えてみた。
立憲民主党が思想の寄り合い所帯であることは周知のとおりであるが、中でも赤松広隆氏(旧社会党)を宗祖とする「サンクチュアリ(近藤昭一会長、27人)」、菅直人議員率いる「国のかたち研究会16名)は、左派の牙城であってサンクチュアリに至っては共産党に近い極左グループと看做されている。
これらが主導した主張が自公の媚中勢力と結んで、香港・ウイグルの人権擁護議決から中国名指し文言を削除し、土地規制法を骨抜きにした姿勢を思い出せば、立民政権の外交は容易に想像できる。
強国(狂国)の圧制を受け入れることで、ただ単に戦争が無い状態を「消極的平和」若しくは「見せかけの平和」と呼ぶが、泉代表の党大会挨拶を見る限り、その言葉が脳裏をかすめる。
今、ウクライナに出かけて行って、政権と民情を観てくることが必要なのは、立民執行部であるように思う。