もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

総理補佐官の更迭に思う

2023年02月07日 | 報道

 2月4日に、総理秘書官の荒井勝喜氏が性的少数者に対する差別発言で更迭された件に関して、今様に馴染まない時代遅れの所感を披瀝することとした。

 1は、「オフレコ」でなされた総理補佐官の発言が、報道されたことである。伝えられるところでは、毎日新聞が「オフレコ」の内容を実名で報道することを荒井氏に通告したうえで掲載したとされているが、荒井氏の同意があったとは思えない。オフレコは、話者・聞き手の双方が「記事にしない」と同意・誓約したもので、一方的に誓約を破るのは「ヒト」としての価値・尊厳を否定するに等しいものと思う。毎日新聞を始めとして多くの識者も一様に、社会正義が行われたとして発言者を糾弾するが、毎日新聞の誓約破りの是非に関しては全く触れないので自分の認識が誤っているのだろうが釈然としない。日本社会は、列国に比べて構成員相互の信頼関係を重視する比率が高いと思っているので、毎日新聞の「誓約破り」は日本文化の根底・美風を揺るがしかねないものではないだろうか。さらに、「荒井氏の発言=内閣の姿勢」と社説に書いた新聞も多いが、彼らの常套句が「多様な意見の尊重」であることを思えば、荒井氏の発言を内閣意思の代弁とするのは聊かに無理筋に思える。歴史上でも、信念を貫き通した人に比べて、自分の信念とは異なる公に尽くした人の方が圧倒的に多いことを考えれば、荒井氏もLGBT法整備に努力したのではと思っている。
 2は、荒井氏の発言は、少数かも知れないが国民感情を代弁していると思っている。日本の文化では、LGBTは他人の目をはばかるもので公然・法的には認知しないものの、そのことだけでは迫害・排除しない寛容性を持っていると思っている。一方、キリスト・イスラム教世界におけるLGBTは、古くは宗教裁判の対象であり、近代でもそのことだけで公職を追われた著名人も多い。荒井氏を糾弾する意見の一つに、G7の中で日本以外の6カ国が、法的な同性婚や差別からの法的保護が認めていることを引き合いにして「日本は後れている」というものがあるが、不十分ではあろうがLGBTを目の敵とはしなかった日本文化の特質を理解していない意見であるように思える。

 最後に、荒井氏の発言を完全否定する方々に伺いたい。
 ある日突然に自分の子供から「LGBT」であると打ち明けられた場合、周章狼狽することなく直ちに満腔で容認する人は如何ほど居るだろうか。多分、些かの翻意なり説得を試みた後に、"仕方ない"と諦め・認める人の方が圧倒的に多いような気がする。
 個人的感情とLGBT保護は別と言われればそれまでであるが、それならば荒井氏の職責と主張が乖離していることと同じように思える。
 古人も《我が身を抓って、人の痛さを知れ》と諭している。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿