もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ウクライナでも傍観か

2022年01月24日 | アメリカ

 バイデン政権が、在ウクライナ大使館員家族の帰国を命じ、民間人に対しても自主的に民間機で出国するようう勧告した。

 ウクライナ大統領は過剰反応と反発しているが、バイデン大統領としてはアフガン撤退の不手際の再来を避けたい思惑によってであろうと推測している。
 伝えられるアメリカメディアの論調は、先日のカザフスタン騒擾を傍観して、トランプ政権が戦略的パートナーとした資源大国でロシアの裏庭と云う地勢的要衝であるカザフスタンをロシアに押しやったことに加えて、ウクライナ支援にも及び腰(2億ドルの軍需品支援のみ)であることから、バイデン氏の教条的・原理的価値観外交の限界という厳しいものであるらしい。
 価値観外交とは「普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法治、市場原理)を共有する国家との関係強化を目指す外交」とされ、バイデン氏のみならず、日本を含めて多くの国で採用されているが、バイデン氏以外は価値観外交を、単に防御的に使用せずに攻撃的にも使用しており、中国の孔子学院や一帯一路構想も、中国的価値観の輸出・伝播を狙った価値観外交と呼んでも差し支えないものと思う。
 価値観外交はもともとはアメリカで新保守主義の立場から提唱されたものであるが、バイデン氏のような弱い指導者が退嬰的に採用すれば、単なる傍観・抗議(口議?)の言い訳にしか機能しない。ミャンマーに始まり、アフガン・カザフ・ウクライナ・北朝鮮と傍観・遺憾表明が続く現状を見ると、バイデン氏の傍観は明日の台湾・尖閣にも及ぶ危険性が十分である。
 また、バイデン氏には、「危機の弧(又は不安定の弧)」と称され、アメリカ自身が「米軍基地や中継施設の密度が他の地域と比べて低い」と認識しているバルカン半島~中東~東南アジア~朝鮮半島に至る帯状の紛争多発地域の防衛に対する認識が低いように思える。いや、それ以上に、不安定の弧での紛争はアメリカの国益に大きく影響しないので関心がないのではないだろうか。

 現在のバイデン外交を見る限り、ニューディール政策に因って世界大戦を招いたころのアメリカに酷似している。
 バイデン氏が、「自分の限られた視界内が世界」で「伝えられる情報は異次元の出来事」とする老人特有の視野狭窄に陥っていないことを切に望むところである。


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