もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

AIと文明

2021年11月18日 | 科学

 ネットで識学総研なるコラム記事を読んだ。

 内容は、インド出身の16歳の天才少年タンメイ・バクシ氏が「AIとは人間の創造力・独創力を再現するものではなく、あくまで人間の知能を拡張する「拡張知能」と呼ぶべき」と指摘したというものである。
 現在、様々な現場でAIが導入され将来的には人間にとって代わるかも知れないとまで期待されているが、バクシ氏は「AIは人間の頭には入りきれない記憶力や、人間の頭では追いつかない速さの計算力を製品にしただけのもので、人間の知能を拡張した機械」に過ぎないとしているそうである。
 この機械が人間の機能を拡張するツールであるとする考えは、既に1964年にマーシャル・マクルーハン氏が「メディア論」で主張しているもので、「文明は人間機能を拡張するために進化するもので」
 ・自動車は足の拡張=人間の足では不可能な距離を移動できるようになった。
 ・ナイフは歯の拡張=人間の歯では噛みきれないような硬いものを切れるようになった。
 ・ラジオは耳の拡張=人間の耳では聞こえないはずの距離にある音を聞くことができるようになった、
としているそうである。
 バクシ少年は、さらに「AIでは地動説は生まれない」と述べ、「コンピューター(AI)で天動説は間違いだと指摘することは可能であるが、そこから地動説というアイデアを出すことは不可能」とし、もしガリレオの時代に今のようなAIが存在したとしても
 ・ガリレオが、地動説を証明するためのデータをAIに吹き込む。
 ・宗教者も聖書全文・解釈まで含めてAIに吹き込む。
 ・そのため「どちらから教えられたことにも従順」であるAIは、どちらが正しいのか解決できない。と例示しているそうである。
 現在の将棋界では、大多数の棋士はAIに勝てないとされているが、今回の竜王戦で勝者の藤井九段が放った勝負手はAIが予想もしなかった一手であったとされている。このことは、藤井九段にはAIが持ち得ない「対局者や周囲の状況までも含んだ大局観」があり「直観力・独創力」が有り、何よりも「負けてもいいからこの手を指したい」という人間性があったということではないだろうか。
 別々のAIソフトで対局すれば、ソフト開発者の優劣に従って勝敗はつくだろうが、同じソフトで戦わせれば、必ず先手番が勝つか千日手になるように思える。

 これまで「AIって何?」と思っていたが、何やら得心のいく主張であるように思えた。
 疲れを知らない、文句を言わない、単純ミスをしない、仕事が早い、・・・。AIの強点は数多く挙げられ、更には学習機能で自ら学ぶとされているが、やはりAIはプログラマーが最初に与えてルールの延長でしか機能しないのではないだろうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿