今次の総選挙における野党共闘で隠れた勝者が存在していることを知った。
勝者は議席を減らした共産党で、その理由が選挙後にあっても共産党が野党共闘の成果・正当性を主張し続ける傍証の一つかとも推測できる。
これまで共産党は、候補者の当選や共産党支持者の受け皿となること以上に、党勢の現状と共産主義の浸透度を知ることを重視して全選挙区に候補者を擁立してきたが、今回の総選挙では野党共闘のために多くの選挙区で立候補を取りやめた。
公職選挙法では、立候補者は届け出前に供託所(法務局・地方法務局)に所定の金額(現金や国債)を供託しなければならないとされ、衆院選では小選挙区300万円、比例単独600万円、比例重複300万円であるので、概ね立候補者は600万円を供託する必要がある。恭太菌の没収について比例区は難解であるが、選挙区では有効投票総数の10分の1以上を獲得すれば全額返還されるものの、それ以下だと没収される。更には供託金没収点を下回った場合は、公営選挙として公費負担の対象である「選挙カー使用料」、「はがき・ビラの作成費」、「看板・ポスター等の作成費」等が自費となる。
これまでの例では、地方選挙区における共産党候補者の大半が供託金を没収されていることから、好事家の試算では共産党の供託金や選挙費用の持ち出しは10億円に達するとされているが、選挙協力による立候補取りやめで共産党の節約額は6億円とされている。
政党活動費の大半を「しんぶん赤旗」の購読料で賄えるために政党助成金の受け取りを拒否している共産党であるが、日曜版等を含めての赤旗発行部数はピークだった1980年の355万部から漸減して現在では100万部を割りこんだとされ、懐事情は以前ほどではなく政党助成金を受け取るのも時間の問題とまでされている。そんな状況では国政選挙はもとより、知事選300万円~町村議会議員選15万円の供託金や選挙費用の自弁を免れる選挙協力は共産党にとって極めて魅力的であるだろうし、宣伝巧者の共産党は、選挙ポスターや看板に「共産党」の文字を無料で掲載できる好機を今後とも手放す気にはなれないだろう。
泡沫・売名候補の乱立防止のために始まった供託金制度、公費支弁の選挙用はがきやポスターシールを横流しする事例から設けられた供託金没収者に対する選挙費用の自弁は、止むを得ないように思える。
ちなみに、世界の供託金事情は、韓国国会議員選の135万円を筆頭に平均すれば20万円内外であるが、米・仏・独・伊などは供託金制度が無いとされている。こうしてみると、供託金の有無や額は、選挙に関する真剣度、当選後の使命感、有権者の民度と逆比例しているのかも知れない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます