下関市菊川町にある工房「星のかくれんぼ」。障害者の就労継続支援B型事業所だ。10日午後、20~40歳代の利用者5人がジャムの下ごしらえに取り組んでいた。
不況の影響で、障害者の労働環境は健常者以上に厳しさを増している。
この工房でも、菓子製造とともに作業の柱だった自動車のゴム部品の形成が、昨年末から約半年間打ち切られた。利用者の工賃は、月平均1万円から6000円にまで落ち込んだ。
併せて彼らを悩ませているのが約3年前にスタートした障害者自立支援法。福祉サービスを受ける際、原則1割負担の「利用料」が生じたためだ。
国は2度の負担軽減策を講じたが、それでも工房の3、4人は、工賃よりも工房の利用料、送迎費などの負担が上回る。上回った分は、運営する社会福祉法人「菊水会」が補填(ほてん)している。
「働きに行って、なぜ利用料が必要なのか」。68事業所が加盟する県障害者施設授産協議会長の益原忠郁さんは疑問を投げかける。
工房は「新たな収益の柱を」と期待を込めて、地元産のブルーベリーなどを使った特製ジャムを開発し、道の駅などで売り出した。
商品自体は高い評価を受けるが、販路拡大などで苦戦は続く。管理者の青柳祀子さんは「商品を開発しても、素人の営業では限界」と顔を曇らせる。「福祉施設が仕事を受注できるような環境づくりを支援してほしい」と強調する。
厚生労働省の緊急調査によると、全国の就労継続支援事業所などの今年1月の平均売上高は、昨年10月に比べて26・7%減、工賃も平均で7・3%減った。
周南市の社会就労センター「セルプ周陽」も、収益の柱だったはがきやポスターなどの印刷の受注件数が、パソコンなどの普及で年々減少。さらに、景気の悪化の影響で、年間60~70万円あった建築資材の組み立て作業の受注が半減した。
安定的な収益確保を目指して7月、うどん店「UDON陽(ひなた)」をオープンしたばかり。「利用者の収益回復のためにも、まずは経済対策を優先的に取り組んでほしい」。店主で主任職業指導員の田中勉さんの思いは切実だ。
「病気や事故の後遺症から、誰もが障害者になる可能性がある」。その現実をどうとらえ、政策に生かしていくか。益原さんは政策論争に注目している。(
不況の影響で、障害者の労働環境は健常者以上に厳しさを増している。
この工房でも、菓子製造とともに作業の柱だった自動車のゴム部品の形成が、昨年末から約半年間打ち切られた。利用者の工賃は、月平均1万円から6000円にまで落ち込んだ。
併せて彼らを悩ませているのが約3年前にスタートした障害者自立支援法。福祉サービスを受ける際、原則1割負担の「利用料」が生じたためだ。
国は2度の負担軽減策を講じたが、それでも工房の3、4人は、工賃よりも工房の利用料、送迎費などの負担が上回る。上回った分は、運営する社会福祉法人「菊水会」が補填(ほてん)している。
「働きに行って、なぜ利用料が必要なのか」。68事業所が加盟する県障害者施設授産協議会長の益原忠郁さんは疑問を投げかける。
工房は「新たな収益の柱を」と期待を込めて、地元産のブルーベリーなどを使った特製ジャムを開発し、道の駅などで売り出した。
商品自体は高い評価を受けるが、販路拡大などで苦戦は続く。管理者の青柳祀子さんは「商品を開発しても、素人の営業では限界」と顔を曇らせる。「福祉施設が仕事を受注できるような環境づくりを支援してほしい」と強調する。
厚生労働省の緊急調査によると、全国の就労継続支援事業所などの今年1月の平均売上高は、昨年10月に比べて26・7%減、工賃も平均で7・3%減った。
周南市の社会就労センター「セルプ周陽」も、収益の柱だったはがきやポスターなどの印刷の受注件数が、パソコンなどの普及で年々減少。さらに、景気の悪化の影響で、年間60~70万円あった建築資材の組み立て作業の受注が半減した。
安定的な収益確保を目指して7月、うどん店「UDON陽(ひなた)」をオープンしたばかり。「利用者の収益回復のためにも、まずは経済対策を優先的に取り組んでほしい」。店主で主任職業指導員の田中勉さんの思いは切実だ。
「病気や事故の後遺症から、誰もが障害者になる可能性がある」。その現実をどうとらえ、政策に生かしていくか。益原さんは政策論争に注目している。(