改正障害者雇用促進法の内容に基づく指針
厚生労働省は27日、第11回となる「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催し、報告書資料としてその指針案を公開した。
第183回国会において成立した、改正障害者雇用促進法では、障害者の差別の禁止等に関する規定が新設され、差別禁止に関する指針と、均等な機会の確保などに関する指針を作成し、定めることとなった。
差別の禁止においては、基本的な考え方として、障害者も共に働く1人の労働者であり、事業主や同僚が障害特性に関する正しい知識の取得および理解を深めることが重要であることを示している。
具体的な差別の禁止に関しては、募集および採用において障害者でない者と均等な機会を与えること、業務遂行上特に必要でないにもかかわらず、障害者を排除したり、不利にしたりする目的で採用に条件を付していると判断される場合は差別とみなし、これを禁止することなどが記載されるべきとされた。採用後では、賃金の決定や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇において、障害者に対し不当な取り扱いをしてはならないことが改正法で示されており、ヒアリングで明らかとなった合理的な理由・根拠のない賃金格差や、障害を理由にキャリアアッププログラムを提供しないことなどは差別に該当するとの見解が確認された。
一方、障害者を有利に扱う積極的差別是正措置や、障害特性に応じた合理的配慮を提供することで、障害のない者と異なる扱いをすること、能力や適性を判断するためなど雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害状況を確認することなどは、差別にあたらない事項として、指針に記載する方針となっている。
共に働ける環境整備、合理的配慮を
また、障害者の個々の事情を鑑みた合理的配慮の提供は事業主の義務とされ、過重な負担にならない範囲で、障害者との話し合いのもと、その意向を十分に尊重して合理的配慮に係る措置をとるべきと示されている。
合理的配慮の具体的内容に関しては、事業主と障害者との相互理解のなかで可能な限り提供されるべきもので、細部まで固定した内容とすることは不適当としつつ、募集および採用時に均等な機会の確保で支障となっている事情を改善するために必要な措置や、採用後、障害者である労働者が有する能力を有効に発揮する上で支障となっている事情を改善する措置などが提供されるべきものとして挙げられた。
なお、実際の内容は多様かつ個別性が高いものになるが、合理的配慮の内容に関する理解を促進する観点から、多くの事業主が対応できると考えられる措置に関しては、事例として指針に記載する方針とされている。また、相談体制の整備も必要なものとされており、プライバシーを保護しつつ、必要な措置を講じることが求められる。
研究会では、働く障害者への差別の禁止、合理的配慮の提供などが円滑になされていくよう、障害特性などに関する理解を深めるパンフレットの配布や、セミナーなどの啓発活動の実施、ハローワークにおけるさらなるサポート、具体的事例の収集および情報提供やジョブコーチの質的充実、障害者の職場定着を支援する各種支援策の充実といった取り組みが重要であることも確認された。
さらに障害者と企業のマッチング機能強化など、行政における真摯な対応の必要性にも触れられている。
2014年5月31日 23:00 障害者雇用インフォメーション
厚生労働省は27日、第11回となる「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催し、報告書資料としてその指針案を公開した。
第183回国会において成立した、改正障害者雇用促進法では、障害者の差別の禁止等に関する規定が新設され、差別禁止に関する指針と、均等な機会の確保などに関する指針を作成し、定めることとなった。
差別の禁止においては、基本的な考え方として、障害者も共に働く1人の労働者であり、事業主や同僚が障害特性に関する正しい知識の取得および理解を深めることが重要であることを示している。
具体的な差別の禁止に関しては、募集および採用において障害者でない者と均等な機会を与えること、業務遂行上特に必要でないにもかかわらず、障害者を排除したり、不利にしたりする目的で採用に条件を付していると判断される場合は差別とみなし、これを禁止することなどが記載されるべきとされた。採用後では、賃金の決定や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇において、障害者に対し不当な取り扱いをしてはならないことが改正法で示されており、ヒアリングで明らかとなった合理的な理由・根拠のない賃金格差や、障害を理由にキャリアアッププログラムを提供しないことなどは差別に該当するとの見解が確認された。
一方、障害者を有利に扱う積極的差別是正措置や、障害特性に応じた合理的配慮を提供することで、障害のない者と異なる扱いをすること、能力や適性を判断するためなど雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害状況を確認することなどは、差別にあたらない事項として、指針に記載する方針となっている。
共に働ける環境整備、合理的配慮を
また、障害者の個々の事情を鑑みた合理的配慮の提供は事業主の義務とされ、過重な負担にならない範囲で、障害者との話し合いのもと、その意向を十分に尊重して合理的配慮に係る措置をとるべきと示されている。
合理的配慮の具体的内容に関しては、事業主と障害者との相互理解のなかで可能な限り提供されるべきもので、細部まで固定した内容とすることは不適当としつつ、募集および採用時に均等な機会の確保で支障となっている事情を改善するために必要な措置や、採用後、障害者である労働者が有する能力を有効に発揮する上で支障となっている事情を改善する措置などが提供されるべきものとして挙げられた。
なお、実際の内容は多様かつ個別性が高いものになるが、合理的配慮の内容に関する理解を促進する観点から、多くの事業主が対応できると考えられる措置に関しては、事例として指針に記載する方針とされている。また、相談体制の整備も必要なものとされており、プライバシーを保護しつつ、必要な措置を講じることが求められる。
研究会では、働く障害者への差別の禁止、合理的配慮の提供などが円滑になされていくよう、障害特性などに関する理解を深めるパンフレットの配布や、セミナーなどの啓発活動の実施、ハローワークにおけるさらなるサポート、具体的事例の収集および情報提供やジョブコーチの質的充実、障害者の職場定着を支援する各種支援策の充実といった取り組みが重要であることも確認された。
さらに障害者と企業のマッチング機能強化など、行政における真摯な対応の必要性にも触れられている。
2014年5月31日 23:00 障害者雇用インフォメーション