県が今年度当初予算で、市町村と費用を折半する形で10月からの実施を表明した精神障害者の医療費自己負担分の助成を巡り、県内12市でつくる県市長会(会長・東川裕御所市長)が、助成対象の人数を県方針の5分の1以下に絞る方針を固めたことが分かった。時期も先送りする。5月末に県に文書で伝えた。県の当初方針に沿った実施は事実上、困難になっている。
県内12市で、1〜3級まである精神障害者保健福祉手帳の所持者は、1級761人▽2級3654人▽3級888人(2013年6月末現在)。県は助成について、最重度の1級とそれに続く2級の所持者を対象とした。これに対し、12市は「まずは1級から」として2級を除外した。県が対象とする3654人が、12市の基準では除外となる。開始時期も「10月からの実施は物理的に困難」「各市の実情に応じてできるだけ早期の実施を目指す」として先送りする方針だ。
障害者の医療費助成では、身体障害者手帳(1、2級)と、知的障害者に発行する療育手帳(A1、2)の所持者は病気で入院・通院した場合、医療費の支給を受けられる「福祉医療制度」を利用できる。しかし精神障害者にはこの適用がなく、精神科に通院する際に医療費の助成があるだけだった。
県は13年に精神障害者の生活実態や医療費の負担感について調査した結果、手帳所持者の多くが精神疾患以外でも治療も受けており、医療費支出が精神障害者の暮らしに大きな負担になっていると結論づけた。県はこれを受けて、大半の手帳所持者が含まれるよう、2級までを助成対象にすると決定。精神科への通院医療費を助成する既存の制度を改め、入院や精神科以外の通院の医療費自己負担にも拡大する形で、関連事業費1億6000万円を今年度一般会計当初予算に盛り込んだ。
しかし、市長会側は、国が示した3障害(身体、知的、精神)の手帳の等級比較で、身体障害者手帳(1、2級)と療育手帳(A1、2)の障害は、精神障害では1級と同程度にしていることを挙げて、対象を絞り込んだ。県市長会事務局は「予算成立までに綿密な打ち合わせの機会はなかった。(県と)もう少し詰めの時間があってもよかった」と協議不足を指摘するが、「あくまで実施主体は市町村で県はそれを助ける立場。どこまで対象とするかは市町村の判断」と言う。
毎日新聞 2014年06月24日 地方版
県内12市で、1〜3級まである精神障害者保健福祉手帳の所持者は、1級761人▽2級3654人▽3級888人(2013年6月末現在)。県は助成について、最重度の1級とそれに続く2級の所持者を対象とした。これに対し、12市は「まずは1級から」として2級を除外した。県が対象とする3654人が、12市の基準では除外となる。開始時期も「10月からの実施は物理的に困難」「各市の実情に応じてできるだけ早期の実施を目指す」として先送りする方針だ。
障害者の医療費助成では、身体障害者手帳(1、2級)と、知的障害者に発行する療育手帳(A1、2)の所持者は病気で入院・通院した場合、医療費の支給を受けられる「福祉医療制度」を利用できる。しかし精神障害者にはこの適用がなく、精神科に通院する際に医療費の助成があるだけだった。
県は13年に精神障害者の生活実態や医療費の負担感について調査した結果、手帳所持者の多くが精神疾患以外でも治療も受けており、医療費支出が精神障害者の暮らしに大きな負担になっていると結論づけた。県はこれを受けて、大半の手帳所持者が含まれるよう、2級までを助成対象にすると決定。精神科への通院医療費を助成する既存の制度を改め、入院や精神科以外の通院の医療費自己負担にも拡大する形で、関連事業費1億6000万円を今年度一般会計当初予算に盛り込んだ。
しかし、市長会側は、国が示した3障害(身体、知的、精神)の手帳の等級比較で、身体障害者手帳(1、2級)と療育手帳(A1、2)の障害は、精神障害では1級と同程度にしていることを挙げて、対象を絞り込んだ。県市長会事務局は「予算成立までに綿密な打ち合わせの機会はなかった。(県と)もう少し詰めの時間があってもよかった」と協議不足を指摘するが、「あくまで実施主体は市町村で県はそれを助ける立場。どこまで対象とするかは市町村の判断」と言う。
毎日新聞 2014年06月24日 地方版