ゴエモンのつぶやき

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カタログで障害者手作り品を紹介 岡山市社協作製、購入者拡大へ

2017年04月30日 01時45分29秒 | 障害者の自立

 岡山市社会福祉協議会は、市の委託を受け運営する「福祉の店 元気の輪」(北区表町)で取り扱っている商品を中心に、障害者による手作り品のカタログを初めて作製した。市民らに幅広く知ってもらい、購入者の裾野を広げることが狙いで、菓子や日用品、木工・ガラス製品など市内27事業所の166品を紹介している。

 カタログはA4判、カラー32ページ。手作りのクッキーやパンのほか、木製の名刺入れ、子ども向けのフェルトのおもちゃなど、商品ごとに写真や値段を載せている。品物に商品番号を割り振り、カタログの最終ページにあるファクス注文用紙を使えば発注もできる。

 商品は、社会福祉法人やNPOなどの事業所ごとに整理。このうち、社会福祉法人浦安荘の作業所・うらやすガラス幸房(南区浦安本町)は、ブルーの花瓶(600円~)やガラスコップ(700円~)、風鈴(千円)といった美しい仕上がりの商品に加えて、吹きガラス体験ができることを案内した。大半の事業所は「楽しく、まじめにをモットーに頑張っている」といったメッセージを添え、商品に込めた思いなどを伝えている。

 同協議会は、これまでホームページで商品を紹介していたが、インターネットを使わない人らにも情報を届けようとカタログの作製を企画。今年3月に完成し、3千部を作って市内の公民館や福祉交流プラザなどで無料配布している。

 同協議会は「元気の輪を知らない人も多い。カタログを見て商品を購入してもらうことで、障害者の社会参加の後押しにつなげたい」と話している。問い合わせは同協議会企画総務課(086―225―4051)。

 

障害者の手作り品を掲載したカタログ


知的障がい者サッカーチーム「横浜F・マリノスフトゥーロ」 港北で写真展 

2017年04月30日 01時36分40秒 | 障害者の自立

 サッカー、Jリーグのクラブチームが運営する唯一の知的障がい者サッカーチーム「横浜F・マリノスフトゥーロ」の活動をもっと知ってほしい-。横浜市港北区鳥山町の障害者スポーツセンター「横浜ラポール」で二十八日、選手の姿を捉えた写真展が始まった。小山良隆監督(47)は「地元でもまだ知名度は高くないが、サポーターが増えるきっかけになれば」と話す。

 「チームメートへの指示を言葉で伝えにくい選手や、ボールに集中すると相手ディフェンダーが見えなくなってしまう選手。さまざまな個性がある中、練習や試合を重ね一つにまとまっていく瞬間が見られるのが醍醐味(だいごみ)」。小山さんは知的障がい者サッカーについてこう語る。

 チーム発足は二〇〇四年。横浜ラポール職員でサッカー経験のある小山さんが一九九九年、市内で障がい者サッカーのチームを組織。地元のJリーグクラブとして横浜F・マリノスのコーチや現役選手も指導に関わり交流を深めるうち、マリノスとして傘下の知的障がい者サッカーチームを常設することになった。

 現在は十二~四十七歳の八十人が特別支援学校や職場に通いながら、月に四回ほど横浜市内に集まり、パス、シュートの基礎練習を行う。年に十回ほど大会やJリーグ公式戦の前座試合などに出場している。

 「指示や指導がうまく伝わらずもどかしい思いをすることもある」と小山さん。だが「経験を重ねるごとに、はっと驚くプレーを見せてくれることが増えた。試合を見に来てくれれば知的障がい者サッカーに対する見方も変わる」と話す。

 日本知的障がい者サッカー連盟(東京都)によると、国内の競技人口は五千人で約百三十のチームがある。大会によって競技時間が短くなることがあるが、ルールは通常のサッカーと変わらない。「もうひとつのワールドカップ」と呼ばれる国際大会も一九九四年から開かれており、八カ国が参加した二〇一四年のブラジル大会では、日本は過去最高の四位だった。来年のスウェーデン大会に向け、フトゥーロに六年間所属する港北区の会社員、小林佑平さん(18)は「一生懸命練習して日本代表に選ばれたい」と語る。

 写真展会場は、横浜ラポール一階ロビー。八年前からチームの練習、大会の様子を撮り続ける写真家の内田和稔(かずとし)さん(48)=同市南区=が企画した。「ボールをひた向きに追い掛ける選手の表情、かっこよさを見てほしい」と呼び掛ける。

 展示は前期(五月五日まで)と後期(十七~二十三日)で内容を変え、それぞれ二十五点を並べる。開場は午前九時半~午後九時(日曜、祝日は午後五時まで)。

 四日午後二時半からは、横浜ラポール三階で内田さんのトークショーがある。フォトジャーナリスト安田菜津紀さんが聞き手を務める。参加費無料、申し込み不要。先着五十人。写真展とトークショーについての問い合わせは内田さん=電080(5417)7396=へ。

ボールを蹴る横浜F・マリノスフトゥーロの選手らを捉えた

2017年4月29日   東京新聞


精神保健福祉法の改正案はなぜ、つまずいているか

2017年04月30日 01時02分34秒 | 障害者の自立

国会で審議されている精神保健福祉法の改正案が、迷走しています。

 主な内容は、措置入院制度の強化と退院後のフォローです。政府はもともと、法改正の趣旨(目的)を説明した資料の冒頭で、昨年7月に起きた相模原市の知的障害者施設殺傷事件を挙げ、「二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」と書いていました。つまり、事件の再発防止です。

 それでは、治安目的の法改正になるという批判が障害者関係の団体や野党議員から強まり、答弁に困った塩崎恭久・厚生労働大臣は、その部分の趣旨説明を削除して陳謝しました。提出した法改正案の趣旨を審議中に削るのは、おそらく前代未聞です。

 けれども、法改正案の本文は変わっていません。では、何のための法改正なのか、やっぱり精神障害者を危険視して閉じ込め、監視を強める制度づくりではないか、との議論が続いています。政府は「監視するわけではない。支援の強化が必要だ」と説明しています。

 支援の強化? 本当の支援ならよいのですが、精神科の入院患者や地域で暮らす精神障害者を支援するために、政府は、はたしてどれだけのことをしてきたでしょうか。入院患者の人権を守るしくみは整っているのでしょうか? 退院支援を本気で進めてきたでしょうか? 地域生活を支える福祉に力を注いできたでしょうか? そのアンバランスに、つまずきの要因があると思います。

相模原事件の原因を取り違えていないか

 このコラムでも以前に書いたように、相模原事件の原因は精神障害ではなく、知的障害者の生存権を否定する差別思想と見るべきです(「 相模原事件再考(上)(下) 」参照)。差別的な考え方を社会からなくしていく取り組みが肝心であり、精神障害者への対策で防ごうというのは的外れです。

 植松聖被告は捜査段階の精神鑑定で「完全責任能力があった。自己愛性パーソナリティー障害などがある」と判断されたと報道されています。鑑定の具体的内容は公表されていませんが、かりに、今回の鑑定が正しいとしても、パーソナリティー障害は思考特性や行動特性の「傾向・程度」であって、差別思想に直結するわけではありません。はたしてパーソナリティー障害が犯行原因だとする鑑定になっているのかどうかも不明です。なのに、精神障害のせいだと決めつけて法制度を作ったら、偏見を助長することになります。

精神保健福祉法の目的は、事件防止ではない

 精神保健福祉法は、その目的を次のように定めています。

 第1条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者総合支援法と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

 つまり目的は、精神障害者の福祉の増進、国民の精神保健の向上であり、そのために行うことは医療、保護、援助、保健予防活動です。社会防衛(治安対策)は、まったく登場しません。

 措置入院は、自傷または他害のおそれのある精神障害者を対象に、行政権限(知事または政令市長の命令)で行われますが、法律の目的に照らすと、医療や保護を行うのは、患者本人のためと解釈されています。他害行為についても、それを防ぐほうが本人の利益になる、という考え方によって強制入院が正当化されるという解釈が一般的です。実際の運用はともかく、少なくとも建前上は、治安対策のための法律ではないわけです。

 にもかかわらず、法改正にあたって事件の再発防止を掲げたら、おかしい。この矛盾を突かれて、塩崎大臣が確かにまずいと判断したから、改正案の趣旨から再発防止目的を削除したわけです。

 とはいえ、法改正案は、政府が相模原事件の検証と再発防止策を検討するために精神科医などの専門家を集めたチームの報告をベースに作られました。しかも、昨年9月の中間とりまとめの段階で、検討チームがいったん合意した内容を、塩崎大臣が指示して、自分の意向に合うよう大幅に書き換えさせてから受け取ったといういきさつがあります。再発防止目的の言葉を削っただけで法案の性格が変わるものではないでしょう。

措置入院の解除が遅くなるおそれ

 改正案の内容のうち、措置入院開始の妥当性に対する精神医療審査会による審査の新設、措置入院の診療ガイドラインの整備、院内での退院後生活環境相談員の選任はよいでしょう。

 次に、行政(保健所設置自治体)が中心になって、本人、家族、医療・福祉・市町村など関係機関の担当者を集めて個別ケース検討会議(調整会議)を開き、退院後支援計画を作成する、となっています。これは原則として入院中に行われます。この点はどうでしょうか。

 支援計画の作成はよいことだと思いますが、精神保健福祉法は、措置入院患者に自傷他害のおそれがなくなれば、直ちに退院させなければならないと定めています。人身の自由を奪う理由がなくなるからです。現状でも、措置入院は1か月未満あるいは3か月未満の短期で終わるほうが一般的です。

 ところが、個別ケース検討会議の日程調整や支援計画の作成に時間がかかると、措置解除(退院)が遅れかねません。現実には、支援計画ができるまで解除しない、簡単には退院させない、という運用に傾くのではないでしょうか。自傷他害のおそれの有無についての精神保健指定医の判断も主観に左右されるので、その判断時期がこれまでより遅くなることも考えられます。

 行政の担当者も病院のスタッフも、退院後に何かあった時に責任を問われたくないと考えがちだからです。実際、相模原事件では、植松被告が犯行の約5か月前に措置入院してから13日間で退院し、その後のフォローも不十分だったとして、塩崎大臣は、行政や病院の対応を問題にしたのです。

生活の安定と孤立防止は、幅広く必要

 改正案では、退院後も、医療その他の援助を継続的に受けられるよう、個別ケース検討会議を開いてフォローする、本人が引っ越しても、その地域の担当行政へ引き継ぐとしています。フォローの期間は、支援のガイドラインで6か月程度になる見込みですが、個別の状況によって延長はありえます。生涯にわたって続く可能性も否定できません。

 医療の利用が必要な場合は多いかもしれませんが、病状が悪化せずに地域で暮らすために、より重要なのは、生活の安定と孤立の防止です。それが結果的に、自傷・自殺や他害行為を防ぐことにもつながります(相模原事件の植松被告は退院後、両親宅を訪れたり、事件前夜に女性と食事したりしており、必ずしも孤立していたとは言えません)。

 生活の安定を図り、孤立を防ぐための支援は、措置入院の経験者に限らず、ほとんどの精神障害者に必要です。措置入院になるかどうかは、その時の状態によるのであって、障害のタイプが本質的に違うわけではありません。また、支援と言うなら、本人の了解なしの支援はありえません。

 ところが、厚労省が作った案は、措置解除された人だけに綿密なフォローをする内容で、本人の意向との関係もあいまいです。だから、支援という名の監視にならないかという懸念が生じるのです。

 精神障害者の地域生活支援は、かつてに比べると広がったものの、まだまだ不十分です。とくに福祉への費用投入額は、医療に比べてわずかです。しかも、障害年金も生活保護も、締めつけられる傾向にあります。そういった福祉の底上げが遅れているのに、措置解除後のフォローばかりを強調するのでは、説得力が乏しいわけです。

警察に氏名や病状が伝わる可能性

 もうひとつ大きな問題は、警察との関係です。

 法改正案では、行政が中心になって精神障害者支援地域協議会を設け、2種類の会議を開きます。措置入院の運用や支援体制などを全般的に話し合う関係機関の「代表者会議」と、個別ケース検討会議(調整会議)です。警察は、前者の代表者会議に出席するけれど、個別ケース検討会議には原則として出席しないと厚生労働省は説明しています。

 そうすると、個々の患者の氏名や病状といった個人情報・プライバシー情報は、警察に伝わらないように聞こえますが、実はそうではないのです。

 「たとえば自殺のおそれが認められるとか、繰り返し応急の救護を要する状態と認められるといったような場合で、保護を行ったり地域生活の継続を支える観点から警察の協力が必要になる場合には、例外的に個別ケース検討会議に参加することもありうる」と、厚労省の堀江裕(ゆたか)・障害保健福祉部長は、参議院の質疑で答弁しました。自殺防止や応急救護に警察がどう役立つのか、よくわかりませんが、これは例示なので、ほかの場合でも警察が参加する可能性があります。

 例外的なら本当に限定されるのか。精神科の入院は本人の同意に基づく任意入院が原則なのに、強制入院がほぼ同程度の人数にのぼること、例外的であるべき隔離、身体拘束が多数行われていることを考えても、例外はすぐに一般化する可能性があります。すでに兵庫県、広島県、宮城県では、措置入院に関する個別ケースの会議に警察が参加していることも、参議院の質疑で明らかにされました。

 一方、代表者会議では、個別事例を扱わないとされていますが、厚労省は「確固たる信念を持って犯罪を企画する者」「入院後に薬物使用が認められた場合」をグレーゾーン事例と呼び、「該当する場合は行政・医療・警察が個別に連携して対応する」としています。

 また、2種類の会議の具体的な運用は、自治体や協議会の判断にゆだねられるので、厚労省がガイドラインを示しても、その範囲内の運用になるとは限りません。

監視の不安は、病状の悪化を招きかねない

 警察への情報提供が、なぜ問題なのでしょうか。

 警察に情報が伝わる可能性は、患者の不安を高めます。それでなくても精神障害者の中には、警察に監視されているという妄想を持つ人が珍しくないのに、妄想が現実化してしまいます。病状の悪化につながりかねません。薬物依存の場合、違法薬物の使用が医療機関から警察に伝わって処罰につながるようでは、医療スタッフと信頼関係を築けず、治療の妨げになります。

 そもそも精神障害の有無、その病状は、高度なプライバシー(センシティブ情報)です。公的機関だからといって、明確な利用目的と本人の同意がない状況で情報を伝えるのは、行政機関の個人情報保護法の考え方に照らしても、適切と言えないでしょう。

 それでも事件を防げるなら、と考えるなら、まさに治安目的の制度になってしまいます。

 刑務所を出所した人の中には、再犯のおそれのある人がいるでしょうが、警察への情報提供は基本的に行われません。仮出所した人の再犯防止は法務省の保護観察所が担当しますが、刑期を終えた人の動向を権力機関が監視する制度はありません。人権上、問題があるからです。満期出所した人への地域生活定着支援事業は、純粋に福祉的支援です。

 それに比べ、少なくとも心神喪失者等医療観察法の施行(2005年7月)の後、措置入院になった患者は、重大な他害事件を起こしたわけではありません。性質として凶悪な行為をする「サイコパス」なら、最初から刑事処罰の対象です(ほとんどの精神障害者の実像とは、まるで違います)。

 警察への連絡は、犯罪としてぜひとも処罰すべき案件がある場合、他者または本人の生命・身体に具体的な危険が生じた場合、本人が自主的に希望した場合に、限定すべきでしょう。

患者の味方になる人を付けよう

 精神保健福祉法による入院には、大きな欠陥があります。措置入院・医療保護入院といった強制入院は、人身の自由を奪うものなのに、患者の味方になる人が付く制度がありません。また、任意入院の場合を含めて精神科の入院中には、保護室などへの隔離、身体拘束、通信・面会・外出の自由の制限など、人権の制限がしばしば行われ、病院職員による虐待事件も少なからず起きているのに、患者の権利を守る人が付くしくみがないのです。

 本人・家族・代理人が退院請求、処遇改善請求をすれば、行政から独立した精神医療審査会が審査する制度はありますが、請求自体が少なく、ろくに機能していません。

 権利擁護があまりにも不備なのです。しかも強制入院や隔離、身体拘束は、この十数年、増え続けています。支援を強調するなら、それらの改革こそ、最優先で取り組むべき課題です。

 措置入院制度を見直すなら、患者の付添人として弁護士と、病院からも行政からも独立した精神保健福祉士を必ず付けるしくみを導入してはどうでしょうか。患者が自分の味方と思える人を付けるほうが、入院中からの退院支援、退院後の継続的支援、精神的な安定に結びつくでしょう。

 措置入院患者を危ないと見る発想が法改正案の背景に漂っているのを改め、患者本人を本気で支援する姿勢に転換することです。

2017年4月28日     読売新聞