障害者や高齢者に、スポーツによって交流や屋外活動の機会を増やしてもらおうと、障害者スポーツ教室(壱岐市身体障害者福祉協会主催)が25日、同市郷ノ浦町の大谷体育館で開かれた。市内の障害者や高齢者約70人が参加した。
教室では▽屋内でできるペタンクに似た「ボッチャ」▽約25センチのプラスチック製のディスクで5メートル先の円形ゴールを狙ったり、飛距離を競ったりする「フライングディスク」▽カーリングを屋内で手軽に楽しめるようにした「ユニカール」-の三つの競技を紹介。講師から指導を受けながら競技を楽しんだ。
同市勝本町のマッサージ師、殿川敏朗さん(65)は「全て楽しかった。普段はスポーツをしないが、環境が整えばやっていきたい」と話した。
「私は身長が伸びないんですけど、子どもたちはどんどん大きくなるので...」
そう語るのは、コラムニストの伊是名夏子さん。
生まれつき骨が折れやすい障害「骨形成不全症」があり、電動車いすで生活している。身長100センチ、体重20キログラム、足の大きさは17センチの"小さな"ママの車いすに飛び乗ってくるのは、5歳と3歳の子供ふたりだ。
伊是名さんには出来ないことが多い。5キロ以上のものを抱えられないため、子どものだっこはできない。動き回るこどものオムツ替えもむずかしい。熱を急に出したとき一人でパッと病院に連れて行くのは無理だ。<iframe class="teads-resize" style="height: 0px !important; width: 100% !important; min-height: 0px !important; margin: 0px; display: block !important; border-image: none; padding: 0px !important;"></iframe>
伊是名さんは、 "出来ないことが多すぎる"育児をどう切り盛りしているのだろうか? 困難を乗り切るヒントを教えてもらった。
10人のヘルパーさんと一緒に子育て
身体に障害を持ちながら、2人の子供を育てる伊是名さんの生活を支えるのは、合計10人のヘルパーさんだ。
1日に3人のヘルパーさんが基本は《朝7時半から9時》《10時から午後1時》《午後2時から9時》と交代でやってくる。パティシエやピアニストなど、他の仕事と「ダブルワーク」している人もいる。「出勤前にちょっと」の感覚で手伝いに来る。
ヘルパーは、障害者サービス事業者を通さずに、すべて自分で見つけてくる。「週に一回、洗濯物を干すのを手伝ってくれませんか?」「スーパーの買い物に付き合ってもらえないかな?」知り合った人をそんな風に"スカウト"していくのだという。
10人もいれば、個性も様々。大まかなタスクは決まっているものの、その日のヘルパーさんによって「今日はキレイ好きな人だから、掃除を手伝ってもらおうかな」「フットワークが軽くて、気が利く人なら外出しようかな」などと、相手によってお願いする仕事を変えている。
そんな伊是名さんが大切にしているのは、年に2回の「ヘルパーパーティー」だ。ヘルパー10人が一気に集まって交流する。
交代制で働いているため、普段は顔を合わせることのないヘルパーさん同士が、顔見知りになり繋がることで、「いざって言う時に助け合いやすい」と伊是名さん。
例えば、あるヘルパーさんが来られなくなってしまった時、他のヘルパーさんに"代打"を頼まなくてはならない。お互いを知っていたら、「私、行きます!」となりやすいのだという。
人間、全然わからない人のことは怖いし、立ち入りたくない。でも、一緒に時を過ごすことで、支え合うことが可能になる。
色んな大人に育てられて、「学んでいって欲しい」
10人のヘルパーさんと一緒に子育てをしている伊是名さんは、まるで企業経営者のような目線でチームに目配せをしている。その眼差しは、子供に対しても同様だ。
例えば、お風呂上りの子供の体にクリームを塗るという作業ひとつにしても、ヘルパーさんごとにやり方は十人十色。性格が細かくて丁寧なヘルパーさんなら、子供達に対して「クリームは500円玉の大きさで、こうしてペタペタ優しく塗って...」と教えるが、豪快に塗って「はい終わり!」という人もいる。
子供たちは「昨日とは違う」と怒り出す時もあるが、伊是名さんは「頑張ってね〜」と涼しい様子だ。
「世の中色々な人が生きていて、色々なやり方があって、正直、好きな人もいれば、苦手で合わない人もいる。そういう人とどうやって折り合っていくのかを学んでいって欲しい。その方が引き出しが増えるから。もしも合わない人がいるならば、試行錯誤して頑張ってやってくださいっていう(笑)」。
「15歳からヘルパーできるんです!」
伊是名さんの家に来ているヘルパーは重度訪問介護従業者と呼ばれる人たちで、厚生労働省が定めている20時間程度の研修を修了すれば、誰でもヘルパーとして働くことができる。
「15歳からだって働けるんですよ」と伊是名さん。「コンビニでバイトする感覚で、みんながヘルパーさんになってくれたら良いんじゃないかな」と語る。
「(今の社会では)障害のある人が身近に触れられない、まるで『宇宙人』みたいな架空の人と感じてしまう状況がやっぱりあると思う。映画も見るし、好き嫌いもあるし、当たり前の人っぽいところがたくさんある」。
「学校で一緒に生活していればそれがわかるんだろうけど、それが実現されていないのが実情。だからこそ、(違いのある人同士が)お互いに支え合っていくことを、自然と知るという意味でも、10代のうちからバイトで障害者の家に行って、お互いが助け合うということができたらいいなと思っているんです」
すべては、ふれあうところからはじまる。
障害者スポーツの「パラリンピック」が注目され、タレントのように活躍する障害者も増えた。障害者が「出来る」ことがたくさんあり、評価されるのは嬉しいことだが、「出来ないことを、素直に言う」ことも大切だ、と伊是名さんは話す。
出来ないこと、やれないことを「オープン」に語ることで、自然とみんなが助けやすくなる。それがチームを形作っていくことになるのだと。
起業、転職、独立。ビジネスの現場でも「一人で生きる」ことの大切さばかりが語られているが、伊是名さんはこうした「個人の能力」ばかりが注目される風潮に違和感をおぼえる。
お互いができること、できないことをおぎないあう。オムツを替えられないママがいたら、できる人がサポートする。キャンプにいくとき、キャンプ場の予約や計画、持ち物分担をするのが苦手な人がいたら、得意な人が計画し、みんな一緒に楽しむ。細かい作業が苦手な人もいれば、器用にできる人もいる。みんな違って、みんな良いのだ。
最後に伊是名さんに聞いた。違う人同士でチームを組むためのコツは?
「それぞれに違いがある人たちが一緒に過ごすためには、お互い(の存在)を知るのが大事だし、もちろんサポートし合うための制度も大事です」
「ただ、やっぱりまずは、同じ場所にいるということだと思います。一緒にいて居心地がいいよね、と確かめ合うことじゃないでしょうか」
伊是名さんは、まだまだヘルパーさんを募集しているという。
「これからインフルエンザの時期。月1回でも来てくれる方がいたらぜひ!!」
今日も伊是名さんの、"チームで子育て"は続く。
中央省庁が障害者の職員を募集する際に「自力で通勤できる」「介護者なしで業務遂行が可能」と不適切な条件を付けていた問題で、兵庫県北播磨6市町のうち加西、小野、三木市が、2019年4月採用の求人で同じ条件を設けていたことが分かった。過去の募集で条件を付けていた加東市も含め、各自治体は見直しなどの対応を迫られている。
16年4月施行の改正障害者雇用促進法は、障害を理由とする差別を禁止。かつてこの2条件があり、後者が残っていた兵庫県は同法施行を機に削除している。
今月27日に採用試験を行った障害者枠で条件を付けていた加西市は「不適切だった。次回から見直す」とする。11月11日に3次試験を行う障害者枠を同条件で募集した三木市は、同1日から募集する非常勤嘱託などの求人からは条件を削除した。
16年10月の採用で同様の条件を設けていた加東市は「今後、採用の段階になれば、国や県の状況を参考にして判断する」。小野市は「例えば介助者の雇用をどうするのかなどを詰め切れていない。今後の対応は検討中」とする。
多可町は16年度採用の募集要項では「介護者なしで仕事ができる人」との条件を付けていたが、同法施行を受け、今年12月から募集する19年4月採用の一般事務補助の求人では外した。
西脇市はこれまで障害者対象の求人は行っていないが「介護者が必要な人からの応募があれば、受け入れ体制を整えるように内部で確認している」という。
障害者の自立支援などに取り組むNPO法人「skyトゥルーカラーズ加西」代表の池沢等子さんは「介助があれば通勤や仕事ができる人はいる。法律もできているので、行政はしっかり考えてほしい」と話している。
2018/10/31 神戸新聞NEXT
作成:2018-10-30