鹿児島ユナイテッドFCは来年2月、知的障害者サッカーチーム「鹿児島ユナイテッドFCフューチャーズ」を発足させる。Jクラブでは、J1横浜F・マリノスに次ぐ2例目で、18日から練習会を実施。選手の募集を開始する。クラブチームとしての意義や、目指すチームの姿とは。総監督に就任した西真一さん(45)に聞いた。
――チームの設立、総監督就任の経緯は
昨年8月、日本知的障がい者サッカー連盟でスペインリーグの視察に行き、サッカーを通じて障害者と健常者の垣根のない社会ができている印象を受けました。クラブのみなさんが障害に対してよく勉強しているからこそ、障害者の方も自然と一緒にサッカーができていました。
ユナイテッドの徳重剛代表もスペイン視察で感銘を受けており、自然と話がまとまっていきました。
――名前の由来は
未来を意味する「フューチャー」に、複数形の「ズ」をつけて「明るい未来をみなさんで」という意味を込めました。
――クラブチームとして活動する意義は
今までも県選抜チームはありましたが、ユナイテッドのチームになると、サッカーをする場所がよりわかりやすく、明確になります。障害があるから制限されるのでなく、一般の人たちがやってうれしいことは、誰でもできる環境がないといけない。
――今年3月には、県知的障がい者サッカー連盟も発足しました
連盟というのはサッカー環境を整える大きな枠組みです。連盟中心に環境整備に取り組みながら、フューチャーズは地域に根ざして具体的な活動として、発信していきたいです。
――総監督として目指すチーム像は
みなさんから応援されるチームです。一生懸命サッカーに取り組み、サッカーを通じて自信をつけ、社会参加し、社会貢献に結びつけていきたい。例えば、ユナイテッドのホーム戦では、選手は運営のサポートもさせて頂きます。
――目標は
日本代表になる選手が育ってくれれば。もっと言えば、フューチャーズの選手たちに、ユナイテッドのU18やトップチームに入る夢があってもいい。
海外では、知的障害者の世界大会に出る選手で、ヨーロッパの2部リーグでプロとして活躍している選手もいます。高い目標を持つことを選手に伝えていきたいです。
――13歳以上なら誰でも練習に参加できますね
まずは、多くの人に参加してほしい。そのなかで仲間を知り、「あいつには負けたくない」という競争心も芽生えて、今までとは違う感覚を選手たちが抱いてくれたらそれが成長かなと思うのです。
試合を通じて、勝った喜び、負けた悔しさをチームとして共有する。サッカーを通じて我々スタッフたちもともに彼らと成長していきたいと思います。(聞き手・井東礁)
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にし・しんいち 1973年、鹿児島市出身。ヴォルカ鹿児島(現鹿児島ユナイテッドFC)に13年間在籍し、旧姶良町役場に勤めながら、FWとして九州リーグ得点王9回、通算266ゴールをあげた。2010年、知的障害者サッカーの県選抜チームの監督に就任。14年には日本代表コーチとして、ブラジルでの世界選手権で4強入りに貢献した。15年から日本代表監督。
西真一さん
2018年11月18日 朝日新聞社