中央省庁や地方自治体での障害者雇用の水増し問題などを受けて、厚生労働省は障害者雇用促進法の改正の検討を始めた。20日にあった参院厚労委員会の参考人質疑では、障害者団体の関係者らから、短時間や週数日の勤務でも働きやすい仕組みの導入を求める意見が相次いだ。
厚労省は法改正で、障害者が能力を発揮できる環境の整備や、中央省庁での障害者数の算定が適切に行われているかチェックする機能を強化したい考えだ。来年の通常国会への提出をめざしている。
この日の参考人質疑で、知的障害者を支援する「全国手をつなぐ育成会連合会」の久保厚子会長は、短い時間しか働けない障害者は、企業への就職が難しい現状を説明。その上で、同法で障害者雇用率に算入できる対象を週20時間以上働ける人としていることが影響していると指摘し、「障害特性や体力から短時間でなら働ける人が除外されている」として、より短い時間の勤務でも算入できるように改正を求めた。
全国精神保健福祉会連合会の本條義和理事長も「短時間でも職場に参加できることが大事」と強調。週数日の勤務や在宅勤務の支援策の拡充が必要だとした。
政府は、法定雇用率の達成に向けて、来年末までに計約4千人の障害者を採用する方針を示している。これに対して、障害者の就職支援などをしている参考人からは、すでに障害者の間で民間企業への就職活動を控える動きが出ているとし、企業の障害者採用への影響を懸念した。
2018年11月21日 朝日新聞