知的障害者自立の助け、ふりがな・イラスト・写真多用
知的障害のある人が料理に挑戦できるよう工夫された「たのしい、わかりやすい 料理の本」=写真=が出版された。発行したのは、知的障害者やその家族らで作る全国組織「全国手をつなぐ育成会連合会」。調理技術を身に付け、自立生活の実現につなげてほしいという思いが込められている。
知的障害者は大人になっても家族と同居したり施設で暮らしたりと、常に保護される環境にいることが多かった。しかし近年、生活支援や差別解消、雇用促進などの法律が整備され、障害者が自立生活を選べる環境が整ってきた。
「自立生活には料理の知識が欠かせないが、調理経験がない人も少なくない」と同会会長の久保厚子さん。市販の料理本で学ぼうとしても、一定の知識があることを前提に書かれ、手順を示す写真が省略されているなど、理解が難しいことも多かったという。
「自立を目指す20~30歳代が作りたくなる本を作ろう」と人気の料理研究家、枝元なほみさんにレシピを依頼。炊き込みご飯やみそ汁、ハンバーグ、フレンチトーストなど約30のメニューを紹介した。全ての漢字にふりがなをつけ、野菜の切り方は調理の途中でも確認しやすいよう、本の冒頭にまとめた。米の研ぎ方を細かな手順ごとに写真で示すなど、イラストと写真を多用して理解を促している。
久保さんは「調理の楽しさと自分で作った料理のおいしさを知ってもらいたい。1人で料理するのが難しい人は、家族や支援者と作ってみてほしい」と期待する。
A4判変型、48ページ。税別1000円。購入の申し込みは、日本発達障害連盟に ウェブサイト からか、ファクス(03・5814・0393)で。
2018年11月5日 読売新聞