習志野市に正規採用され、試用期間終了後に解雇された障害者の男性(28)が解雇理由に関する自己情報の開示を市に求めたところ、評価の記載部分が全面黒塗りで開示された。男性は二十七日、「不開示は不当」と全面開示を求め、市に異議申し立ての審査請求をした。市は受理、弁護士や大学教員ら五人でつくる市行政不服審査会で審査する。
男性は解雇日の今年二月末、自身の勤務評価の開示を請求。市は翌月下旬、男性が勤務した介護保険課と総務課のそれぞれ勤務実績報告書など計四通を公開したが、評価部分はすべて黒塗りだった。男性は今月十三日に再申請したが、開示内容は変わらなかった。
試用期間を解除し正式採用するか判断する際、市は責任感や仕事の速度など十七項目の総合判断で評価する。市は解雇理由について「男性は基準に達しなかった」とだけ述べ、詳細を明かしていない。
男性の請求に基づき公開された文書によると、十七項目の配点に加え、男性の点数と総合得点の部分を非公開とした。また両課長による自由記述も評価部分を黒塗りとした。市は「職員のありのままを評価するのが基本。配点が分かると、作為が生じて評価ができなくなる。自由記述も点数が推測できる」と、今後の勤務評価に影響が出ることを非開示の理由としている。
男性は審査請求書で「不当解雇された上に、まともな説明すらしてもらえない二重の苦しみを受けている。憲法の『知る権利』の否定で、透明性が求められる自治体行政ではあってはならない」と指摘している。
2016年6月28日 東京新聞