県総合教育会議が29日開かれ、県立高校で知的障害がある人を受け入れる「インクルーシブ教育実践推進校」(3校)の成果に関する報告があった。今年度は前年度より10人多い41人の知的障害者が入学しており、県教委は「知的障害のある生徒が高校で教育を受ける機会の拡大につながった」と報告した。
不慣れな入院生活への対応や手術内容を十分理解することが難しい視覚障害者を支援するため、京都市は必要書類の代読などのサービスを受けられる新たな支援事業を6月1日から始める。月4回(1回1時間)までで無料。市によると、近畿地方では和歌山県内の自治体に例があるのみという。
同市では別の事業で入退院日のみに支援が受けられる制度はあったが、「急な入院に対応できない」などの要望を受けて検討していた。新事業では、利用者が入院中の希望する日時に、障害者の外出をサポートするガイドヘルパー資格を持つ支援者を派遣。病室からトイレへの行き方や使い方など、障害がある人の立場から状況を説明する音声訳や、手術内容や病院での注意事項などの書類の代読、署名の代筆サービスなどを受けられる。
申込先は委託先の府視覚障害者協会ガイドヘルプステーション(075・463・5569)。
毎日新聞 2018年5月30日
横浜で来月2日上映 殺傷事件の被害者家族登場
重度の知的障害者が親元や施設を離れ、自立生活を送る日々を追ったドキュメンタリー映画「道草」が完成した。6月2日には横浜市中区で開かれる集会で上映される。相模原市の障害者施設殺傷事件で息子が重傷を負った尾野剛志さん(74)家族も登場する。宍戸大裕監督(36)は「彼らが伸びやかに生きる姿を見てほしい」と話している。
街中のアパート。起床して朝食をとり、外に出かける。大好きな電車が通る姿を眺め、公園に立ち寄ってブランコをこぐ。映像は介助者の手を借りながら1人暮らしをする障害者らの、何気ない日常が映し出されている。
製作のきっかけは2016年4月。人工呼吸器を使って生きる人々の姿を描いた宍戸監督の作品「風は生きよという」の上映会で、早稲田大の岡部耕典教授(福祉社会学)から依頼を受けた。岡部教授の息子は知的障害と自閉症があるが、訪問介護で自立している。岡部教授は「息子のように、自立している障害者の姿も伝えてほしい」と頼んだ。
入所施設に入ることが難しい重度の知的障害者と出会い、その行く末に疑問を持っていた。そんな中、入所施設やグループホーム、親元でもない場所での暮らしは、一筋の光に思えた。宍戸監督は岡部教授の息子ら、障害を持ちながら自立生活を送る3人の青年の日々、彼らに寄り添う介助者の姿にカメラを向けた。外出中にコンビニのガラスを割ってしまうなど、激しい行動障害を持つ青年もいる。二人三脚で葛藤しながら歩む日常を映像に収めた。
撮影の途中、相模原の事件が起きた。あまりに凄惨(せいさん)で、映画の中で触れられないと思った。だが、昨年5月、相模原市の集会で尾野さん夫妻と出会い、考えが変わる。「入所者家族の思いを背負って代弁する尾野さんの姿を見て、このままではいけないと思った」と宍戸監督は言う。悩みながらも尾野さん家族の撮影を始め、会うたびに変わる息子の一矢さん(45)の表情や、地域に目を向け始める夫妻の姿を記録した。
タイトルの「道草」には、そんな彼らと道草を食うように生きる日々のいとおしさが込められている。宍戸監督は「目的地に向かって真っすぐだけの人生ではなく、目的を持たず伸びやかに生きる彼らの姿をみてほしい」と語る。
映画は6月2日に横浜市技能文化会館で開かれる、障害をもつ人のNPO「障害者インターナショナル(DPI)日本会議」の全国集会で上映される。年内には各地で上映も予定している。
毎日新聞 2018年5月29日
山梨労働局のまとめた県内の2017年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は前年度比13・2%増の669件で8年連続増加し、過去最高となった。同局によると、4月から民間企業の障害者の法定雇用率が引き上げられたことが要因とみられるという。
就職者の内訳を障害別でみると、精神障害者322件(同15・8%増)▽身体障害者175件(同13・6%増)▽知的障害者143件(同7・5%増)▽発達障害や高次脳機能障害など29件(同11・5%増)--だった。産業別では、医療・福祉分野が191件▽製造業117件▽卸売業、小売業89件--の順となった。
業務別では「運搬・清掃・包装等の職業」が全体の3割にあたる201件で最も多く、「事務的作業」の134件▽「生産工程の職業」93件▽「サービスの職業」73件が続いた。身体障害者は「事務的作業」の割合が高く、知的障害者と精神障害者では「運搬・清掃・包装等の職業」の割合が高かった。
毎日新聞 2018年5月29日
障害者の自立支援に取り組む群馬県吉岡町のNPO法人山脈(やまなみ)(笹沢繁男理事長)は1日、榛東村のしんとうふるさと公園に、障害者福祉サービス事業所「麦のゆめ」をオープンする。吉岡町から製菓製パン設備を移転するとともに店舗を併設。障害者と健常者との交流促進や同公園の活性化を目指す。
新事業所は、公園内の農産物直売所を改修して開設。事務所と厨房(ちゅうぼう)、包装作業室、商品を対面販売する店舗を設ける。「ふすま」を使った菓子パンや食パン、まんじゅうなどを製造するとともに、将来は同法人農業部門の野菜などを使ったメニューも手掛ける。