夕食前の風呂に入り
ふと東京にいる妻のことを
あれこれ考えた
妻は 孫や娘の世話のため
都心部に出かけているのだ
リフォームが済んだら
引っ越すつもりだったが
去年の熊本地震で
否応無く現在の家に越した
被災後 今年の春に
ようやく
修理とリフォームが済み
落ち着いてきたこの秋に
取り急ぎ運んだ荷物の中に
ミニアルバムと手紙があり
僕は
ゆっくりとアルバムをめくり
カードを開いて
メッセージを読んだ
アルバムには
私や義父が撮りためていた
沢山の写真から
十数枚ほど選んで
大事に挟んでいた
それらはみんな
私らの結婚前後の写真だ
あらためて見ると
とても懐かしく切ない
若かったなあ!あの頃
僕は そして 君も‥
小さかった娘たちも
今では
それぞれに 一児の母
あの頃の僕は
職員旅行でも
出張旅行でも
妻Jと離れるのが
つらく思えて
今思えば おかしいけれど
あの頃は 少しでも
一緒に居たかったのだ
それが
リフォームして引っ越して来た
この家では
台所のレイアウトも変わり
テーブルで向かい合いになった
すると
二人ぼっちで話すことも
急になくなり 僕は
毎日 ひどく焦った
最初は
さながら
新婚生活のようだったが
まるで違うようで
それは ビタームーンだ
だけど
野良の黒猫スミレを
空き家から引き取って
話題も笑顔も増えてきた
見つかった手紙の中で
バレンタインデーの
赤いステキなカードがあった
僕は
ありきたりの言葉が
書いてあるだろうと思った
が しかし
中身を読み進めるうちに
心を込めて
ロマンチックに
書き綴られたカードであった
白々しいことや
歯の浮くようなことなどを
きらう彼女にあって
この手紙は 滅多に見せない
ロマンチックな告白であった
僕は
四十年前に読んだかもしれないが
すっかり忘れていたこの手紙を
半分くらい読んだところで
なぜか やめた
全てを読んではいけないような
一気に読んだら勿体ないような
いろんな思いが交錯したのかも
あれから 半年くらい過ぎたが
彼女Jのあの手紙の続きは
まだ読んでいない
写真のこと 手紙のこと
そして 地震を乗り越え
黒猫スミレのこともあり
あのビタームーンが
この頃は
第二のハネームーンではないかと
思うようになってきた‥
Ps 2017.11.1 水曜 草稿
去年の熊本地震で
あらためて思った
二つとない命の大事さ
掛け替えのない人生
やり直せない妻Jとの生活
明るくて 健気で
元気で 芯の強い
逞しくて 愛おしい女性
それは カミさんのJです
Ps 2 11.2 木曜 空青く 風は微か 今日も爽やか お昼頃まで 晴れが続くかな?