つれづれ写真ノート

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富士「XF 56mm F1.2 R APD」の画質

2015年01月25日 | カメラ

滑らかなボケ味のレンズ

富士フイルムが昨年12月11日に発売した、ポートレートに最適のレンズ「XF 56mm F1.2 R APD」について、デジカメWatchが実写レビューを掲載しています(『XF 56mm F1.2 R APD “滑らかなボケを生みだす”アポダイゼーションフィルターの実力は?』)。

おおむね高い評価なのですが、少し辛口のくだりもあって、オヤと思いました。

    アポダイゼーションフィルターを搭載した

   富士フイルム「XF 56mm F1.2 R APD

     (富士フイルムホームページより)

 

デジカメWatchでは、このレンズのベースとなった「XF 56mm F1.2 R」と比較しながら作例を紹介。

『開放F1.2の大口径レンズだが、開放近辺で滲みはさほど感じられず、周辺部もしっかりと解像している。周辺減光もほぼ気にならない。F4~F5.6を境に、シャープさがぐいぐいと増していく。ポートレートレンズというとやわらかい描写をイメージしがちだが、シャープさといいコントラストといい、思いの外硬派な描き方のレンズだ。』

と評価。

開放からシャープでコントラストの高いレンズなんですね。

 

ところが、コントラストの高さが災いする場合も…

『ただし、女性ポートレート撮影に関しては、コントラストが強すぎる印象を受けた。肌の明るさを基準に露出を合わせると、ハイライトが白飛びする場面が多い。女性ポートレートは開放のやわらかい描写を活かすことが多いと思うが、そうした撮り方をしたい場合は、XF 56mm F1.2 Rの方が使いやすいだろう。』

というのです。

 

へえ、そうなのか、という印象ですね。

ソニーのアポダイゼーションレンズ「135mm F2.8[T4.5]STF」が、美しいボケ味で定評があるだけに、富士のこのレンズにも期待していました。しかもソニーの「STF」がマニュアルフォーカスなのに対して、富士のこの新レンズはAFが効き、使いやすい。

でも、ハイライトが飛んでしまうというのはちょっとネ… 

 

MTF特性は「XF 56mm F1.2 R」よりアップ

シャープさとコントラストの高さについては、同じデジカメWatchの開発陣へのインタビュー『ボケへのこだわり――富士フイルム「XF 56mm F1.2 R APD」  アポダイゼーションフィルターの仕組みとは?』でもはっきり書かれています。

『(富士開発陣の話) APDフィルターを入れると、一種の絞り効果が出てMTFは若干上がる傾向があり、ピントの合った部分は非常にシャープに描写できます。』

とのこと。

 

下の図は2つのレンズのMTF特性曲線を比較したものです(富士フイルムのホームページより引用して作図)。

縦軸はコントラスト、横軸は画面中心からの距離。

これを見ると、アポダイゼーションフィルター搭載の「XF 56mm F1.2 R APD」のほうが、曲線が上へ上がっており、コントラストが高いことが裏付けられています。

MTF 特性が向上したので、ポートレート以外の用途でもキリッとした描写が期待できそうです。

 

ボケ味の差は明らか

さて、肝心のボケの美しさですが、デジカメWatch 開発陣インタビューの実写例でも明らか。

「XF 56mm F1.2 R 」では花の背景ボケの輪郭がはっきりしているのに対して、「XF 56mm F1.2 R APD」のボケは滑らかです。

 

海外サイトでは、FUJI RUMORS で、Rico Pfirstingerさんが「XF 56mm APD vs. XF 56mm」という記事で2つのレンズの比較をしています。

flikr にアップされているRico Pfirstingerさんの作例を引用させてもらうと、こんな感じ。

 

XF 56mm F1.2 R APD

RP015314 – APD

 

XF 56mm F1.2 R

RP015317

 

「XF 56mm F1.2 R APD 」のほうが、点光源ボケがうるさくないですね。

ただし、2つのレンズの差があまり分からないような作例もあります。

 

コストパフォーマンスは…

価格.comでは、「XF 56mm F1.2 R 」 の最安値が88,615円なのに対して、「XF 56mm F1.2 R APD 」の最安値は149,246円と、とても高価。

「XF 56mm F1.2 R APD 」がユニークで良いレンズだとしても、値段に見合うかというと、どうでしょうか…

もともと「XF 56mm F1.2 R 」は、富士の開発陣が『究極のポートレートレンズを作ろうというコンセプトで開発しました。(デジカメWatch)』と自負するだけに、かなり良いレンズ。

なので、あえて「APD」バージョンでなくてもいいのでは…

 

 

「XF 56mm F1.2 R 」の開放での描写。とてもソフトで、背景ボケもきれいです。

個人的にはこれで十分なんじゃないかな、と思ってしまいます(カメラは X-T1。レンタルで試用)。

 

もちろん、「XF 56mm F1.2 R 」と「XF 56mm F1.2 R APD 」2つとも購入して、状況に応じて使い分ける… そんなリッチなユーザーは別ですけど。

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