キヤノンが、レンズ一体型のコンパクトカメラ「G3 X」 を6月25日に発売すると発表しました。
2月の「CP+ 2015」や、その後のイベントで参考展示していたもの。(キヤノンのニュースリリース)
「PowerShot G3 X」(キヤノンのニュースリリースより)
プレミアムコンパクトカメラ「Gシリーズ」の3番目のモデルで、大きめの1型センサーによる高画質に加え、35mm判換算で 24 - 600mm という広範囲な焦点距離をカバーする高倍率ズームが特長。
◆ソニーとの比較
キヤノンの「Gシリーズ」は、1.5 型センサー搭載の「G1 X Mark II」は独特のプレミアムカメラなのでこれは別として、1 型センサーについてはソニーを追いかけている印象があります。
たとえば「G7 X」は、ソニー「RX100」シリーズそっくり。
初代「RX100」がヒットした後、ソニーは、同じ1 型センサー画質で望遠域までカバーする「RX10」(35mm判換算で24-200mm、ズーム全域F2.8 )を発売。今回のキヤノン「G3 X」は、その「RX10」とよく似たコンセプトのカメラです。
そしてソニーはこのたび、「RX10」の後継で4K 動画が撮れる「RX10 II 」を海外で発表。一気に引き離しにかかっている、というところ。
というわけで、「“望遠が撮れる”1 型センサーコンパクトカメラ」は、キヤノンとソニーのどちらがいいのか、「G3 X」と「RX10 II 」を簡単に比較してみました。(「RX10 II 」がいずれ国内販売されるという前提で…)
◆ボディー
キャノン「G3 X」。(3月21日、「5Ds/5DsR 」などの体験イベント「CANON GRAND PRESENTATION 2015」(3/21記事)で参考出品されていたのを撮影。実際の製品と微妙に違っているところがあるかも知れません。)
コンパクトカメラとしてはレンズが大きく、何となく武骨。「こういうカメラ、売れるのかな~」という印象でしたが…
大きさ(幅・高さ・奥行き)は、123.3×76.5×105.3mm 。重さ約733g(バッテリー、カード含む)。
一方のソニー「RX10 II 」。写真は海外のソニーサイトから引用。
「RX10」が出たころから、ソニーの人が冗談で「レンズのお化け」と言っていたように、異様にレンズがデカい外観。
大きさ(幅・高さ・奥行き)は、129.0×88.1×102.2 mm 。重さ約813 g(バッテリー、カード含む)。
ソニー「RX10 II 」の方が80g 重いです。
また、キヤノンはアウトドアでの使用を想定して、防塵・防滴仕様(短時間の小雨程度)。
◆レンズ性能
キヤノン「G3 X」は、35mm判換算で24-600mm、F2.8 - 5.6。
ソニー「RX10 II 」は、同24-200mm、ズーム全域F2.8
キヤノンの方が望遠端が長く、超望遠の領域までカバー。さらに、電子ズーム「プログレッシブファインズーム」を使用することで、高解像感を保ったまま50倍(35mm判換算1,200mm相当)までズームできます。
35mm判換算で1,000mm以上となると、野鳥の撮影にも十分。一方で最短撮影距離が、ワイド端5cm ~ テレ端85cmとマクロ撮影にも対応しているので、マクロから超望遠まで対応できます。
これはなかなかすごい。
その代りソニーは、ズーム全域でF2.8 という非常に明るいツァイスブランドのレンズ。最短撮影距離もワイド端3cm、望遠端25cmと、キヤノンより寄れます。
両機種とも非球面レンズ、色収差補正用のレンズを使用して光学性能にこだわっているので、高品質な描写が期待できそう。
◆シャッター性能
キヤノン「G3 X」は、バルブ~1/2,000秒。連写は5.9コマ/秒。
ソニー「RX10 II 」は、メカニカルシャッターの場合、バルブ~1/3,200秒。電子シャッター(ローリングシャッター歪みを極力補正)で最高1/32,000秒。連写は14コマ/秒。
これは、はっきり言ってソニー優位。
◆液晶・ファインダー
キヤノン「G3 X」は、背面液晶(チルト式・タッチパネル)3.2型約162万ドット。電子ビューファインダー(EVF)は外付けで約236万ドット。
ソニー「RX10 II 」は、背面液晶(チルト式)3.0型約123万ドット。電子ビューファインダー(EVF)は内蔵、約236万ドット。
キヤノンは、背面液晶が大きくて見やすそう。電子ビューファインダーの性能はほぼ同じ。電子ビューファインダーを多用する場合は、内蔵しているソニーの方が便利ですね。
◆感度
キヤノン「G3 X」は、ISO 125~12,800。
ソニー「RX10 II 」は、ISO 100~12,800。
◆動画
キヤノン「G3 X」は、フルハイビジョン:1,920×1,080。
ソニー「RX10 II 」は、4K動画(3,840×2,160)をカメラ単体で記録、29分まで(米国の場合)録画が可能。最大40倍(960fps)のスーパースローモーション動画も。
ソニーの完勝! 4K動画のアピール度は大きいでしょうね。センサーの裏にメモリー(DRAM)を直接張り付け、データ読み出し速度をアップさせた新しい積層型センサーを開発したそうです。すごい技術力…
◆Wi-Fi/NFC
両機種とも対応。
◆結論は…
4Kなど動画を重視するならソニー、超望遠を優先するならキヤノン、といったところでしょうか。
なかなかいい勝負だと思います。
*1型センサーで超望遠が可能なのは、レンズ交換式のニコン1 シリーズ + 1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6(35mm判換算で189-810mm相当)もあります。これも選択肢に入るでしょうね。
下はキヤノン「G3 X」の公式ムービーです。
----------------------------------------------------------------------------------------------
関連記事
・『キヤノン「PowerShot G3 X」実写速報、接写をはじめ満足度は期待以上!』(日経トレンディネット)
・『キヤノン「PowerShot G3 X」実写レビュー - 光学25倍ズームと1型センサーを小型ボディに凝縮』(マイナビニュース)
・『海外発表:1型“積層型CMOS”採用の「RX10 II」 』(デジカメWatch)