キヤノンの5060万画素フルサイズ一眼レフ「EOS 5Ds 」と「EOS 5Ds R 」が6月18日から発売。さっそく「キヤノンデジタルハウス梅田」で「EOS 5Ds R 」を実写、データ持ち帰りをさせてもらいました。
実写といえばカッコいいですが、素人の単なる試し撮り。
「EOS 5Ds R 」。
5060万画素。キヤノンと同業他社の35mmフルサイズ一眼レフの中で最高の画素数。いずれ出るソニー「α7R II」も4240万画素ですからね。中判カメラを除いて、現在望み得る最高画質です。
高画素に加えて、ブレを抑える技術が随所に施され、そのためシャッターは静かだし、いかにも良いカメラだという感触が伝わってきます。
レンズは「 EF24-70mm F4L IS USM 」が付いていました。別のレンズに付け替えることもできましたが、来店者も多く、そのまま撮ることに。
店内のショット。三脚なし、手持ちでAFを使い撮影。
上の写真の撮影データは下記の通り。
カメラ : Canon EOS 5DS R
撮影モード : 絞り優先AE
シャッター速度 : 1/20秒
絞り : F5.6
測光方式 : 評価測光
露出補正 : 0
ISO感度 : 100
レンズ : EF24-70mm F4L IS USM
焦点距離 : 70.0mm
画質 : RAW
ホワイトバランス : オート(雰囲気優先)
AFモード : ワンショット AF
ピクチャースタイル : オート
手持ちでシャッター速度 1/20秒! これで、高画素機の実写画像をあれこれ言うこと自体、無茶なんですが…
レンズの手ブレ補正に頼りつつ、感度ごとの画像比較をしてみました。
◆感度別の画像比較
中央の白四角内をピクセル100%で表示してみます。(Digital Photo Professional 4.2.32.0 でRAW現像。デジタルレンズオプティマイザ適用。シャープネス「 3 」 。 以下の作例ではAE による微妙な明暗の差があります。2つの照明ランプが近く、逆光でのハレーションも心配しました。)
ISO 100 。
ピクセル100%でも精細感は十分ありますね。
三脚、レリーズ使用、さらに高解像のレンズならシャープネスはもっと際立つと思います。くどいですが、手持ち・1/20秒でこれですから…
ISO 200 。
ISO 400 。
ISO 800 。
ISO 1600 。
ISO 3200 。
ISO 6400 。
「EOS 5Ds R 」の常用ISO感度は 100~6400。ISO 3200~6400 ぐらいになると、ノイズや解像感の低下が見られます。
やはり高画素機だけに、高感度域はやや弱い。
ただ、画像サイズそのものが大きい( 8688x5792 )ので、縮小して印刷するとノイズは全く目立たない、という実践的なレビューも見ました。ISO 6400 で色のバランスは保たれているように見えますし、用途によってはISO 12800 でも使えるかも。(ISO50、ISO12800 の感度拡張が可能。)
「EOS 5Ds 」と「EOS 5Ds R 」については、伊達淳一氏によるデジカメWatch のインタビューが詳しく掘り下げています。そのなかで、以下は常用の最高感度をISO 6400 に決めた理由のくだり。
キヤノン側は、
『フルサイズである5Ds/5Ds Rは、APS-Cサイズのセンサーと比べて入射光角度の違いなどによりノイズ以外の特性も異なります。詳細はお話しできませんが、常用感度の設定にあたっては、ノイズレベルだけではなく、キヤノン社内におけるさまざまな基準があり、総合的に画質を判断し5Ds/5Ds Rでは最高感度をISO 6400にしています。』
と、ノイズレベルだけではない基準で決めたとしています。
今一つ釈然としませんが、おそらく画像周辺の画質も関係した社内基準があるのでしょう。プロ向けを意識して、許容範囲を厳しくした感じもします。
◆ホワイトバランス
オートホワイトバランスが「雰囲気優先」と「ホワイト優先」の2つのモードになりました。
キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional 4」では、「5Ds/5Ds R 」で撮った画像を表示した時だけ、下のようにオートホワイトバランスが「オート(雰囲気優先)」と「オート(ホワイト優先)」の2種類に分かれて表示されます。他のカメラで撮った画像は「オート」とだけしか表示されません。
(「オート(雰囲気優先)」で撮った画像も、あとで「Digital Photo Professional 4」を使って「オート(ホワイト優先)」に変えることは可能。)
で、どこが違うのか。試しに撮ってみました。まず「オート(雰囲気優先)」から。
「オート(雰囲気優先)」画像。
次に「オート(ホワイト優先)」で撮った画像。
「オート(ホワイト優先)」画像。
「オート(雰囲気優先)」は少し赤味が乗っています。「オート(ホワイト優先)」は赤味がなく、白が純粋の白に写っています。
ここで、思い当たるフシがありました。キヤノンはポートレ―トを撮る人に歓迎されているのですが、それは少し赤味を乗せた絵作りにあるのではないか。ホワイトバランスのチューニングの段階から赤味を乗せているからではないか…
実際、伊達淳一氏によるデジカメWatch のインタビューに興味深いくだりがあります。
『伊達淳一氏――オートホワイトバランスが「雰囲気優先」と「ホワイト優先」の2つのモードになりましたが、具体的にどんなシーンで差が出るのでしょう? 電球タイプの照明だけですか?
キャノン側 : 従来からあるオートホワイトバランスが、自然な赤みを残す「雰囲気優先」です。これに対して、不自然にならない範囲でできるだけ白を白く再現するのが「ホワイト優先」です。基本的には電球色に特化していますので、それ以外の照明では差が出ないようにしています。夕景を撮影したときには若干の差は出ることはありますが、どちらも夕景の雰囲気を損なわないように適度な赤味を残すようなアルゴリズムにしています。
伊達氏――同じ色温度でも照度によって差が出ますか?
キャノン側 : 明るさも考慮しています。明るいシーンは少し赤味が残るように、暗いシーンではより赤味を抑えるようなチューニングにしています。これは従来の「雰囲気優先」も同じです。従来よりも赤味を補正して、白を白く見せるのが「ホワイト優先」ですが、マニュアルセットでホワイトバランス調整するよりもほんのわずかに赤味を残すようにしているので、完全に電球の雰囲気を取り除かないように配慮しています。
キャノン側 : 最近のエントリーモデルに搭載しているSCNモード「料理モード」は「ホワイト優先」的なオートホワイトバランス(ユーザー側でのオン/オフは不可)をすでに採り入れています。海外のレストランなどでは電球照明により赤味が強すぎる場合があるというご意見を多数いただき、以前から開発に検討を依頼していました。ようやく5Ds/5Ds Rで「ホワイト優先」という形で実現することができました。』
キヤノンの絵が、他のメーカーより赤味が強いかなという経験上の感覚はあったのですが、それが確かめられ、納得できました。
キヤノンが「ホワイト優先」を導入したこと、これって結構重要なことではないでしょうか。
「ホワイト優先」はシャープでクリアに見えます。ちょっと冷たいけど。何となくニコンの絵作りみたい…
オートホワイトバランス「雰囲気優先」。
オートホワイトバランス「ホワイト優先」。
◆画像データの大きさ
5060万画素の画像ということで、身構えていたところがありますが、今回撮った写真を処理すること自体は、従来のパソコンでもさほど問題はありませんでした。ただ、Photosopで加工しても劣化しない無圧縮のTIFF画像にすると、1枚が約288MBにもなり、TIFF画像を何枚も表示して作業しようとすると動きが鈍くなったり止まったり、支障が出ました。
こぼれ話ですが、「EOS 5Ds R 」の画像を保存したSDカードをEOS 6D に入れて再生したところ、
何これ! EOS 5Ds R の画像をEOS 6D で表示できない!
こういうの、初めてですね。ニコンD810 の画像なら表示出来ましたが。5060万画素ってそんなに大きな画像なんでしょうか。
◆Otus と組み合わせれば最強!
海外サイトで、「5Ds 」にツァイスの極上レンズ「Otus 85mm f/1.4」 を付けて撮影した作例が出ていました。(Canon EOS 5Ds with the Zeiss Otus 85mm f/1.4 Sample Images)
高画素カメラ「5Ds 」の真価を最大限に発揮する組み合わせ。
モデルの顔の毛穴、うぶ毛をここまで超リアルに写していいものだろうか、という気もしますが…
しかし、ぜひ一度このサイトのオリジナル画像をご覧ください(ダウンロードには時間がかかります)。
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