つれづれ写真ノート

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「カフェイン中毒死」 コーヒーは…

2015年12月23日 | 食・健康

カフェイン入りの清涼飲料水を飲み続けていた、九州の20代男性が死亡した事件。

12月21日に福岡大学法医学教室が発表しました。

国内で初のカフェイン中毒死の報告とか。(NHK西日本新聞など)

 

「カフェインで死ぬなんて!」びっくりしました。

 

報道によると、男性は24時間営業のガソリンスタンド従業員で、深夜から朝まで勤務。眠気を覚ますため、「エナジードリンク」と呼ばれるカフェイン入り清涼飲料水を1年ぐらい常飲。これに加えてカフェイン入りの錠剤も飲んでいた可能性があると…

 

「そこまでカフェイン漬けにならなくても」とも思いますが、相当きつい深夜労働だったのでしょう。かわいそうです。

 

コーヒーは何杯まで安全?

ドリンク類に限らず、コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、チョコレートにもカフェインが含まれているのは一般に知られている通り。

とりわけコーヒーは大好きなので、どの程度まで飲んでも大丈夫なのか、気になりました。

 

今日もオジサン同士、近くの喫茶でコーヒーを。ニュースを聞いてからは、「カフェイン」が気になって…

 

 

国内では、そもそもカフェイン摂取量の規制がないそうです。厚労省がこれから検討することになりそう。

ニュースでは、海外の例を引き合いに出していました。

 

西日本新聞によると、

『海外では、若者を中心にカフェインの過剰摂取が問題化。2000年代からエナジードリンクが販売されている米国では、11年に14歳の少女がエナジードリンクを飲んだ後に死亡する事故が起きたと報道された。米国では、このほか十数件の死亡例が報告されているという。 (中略) 海外のリスク管理機関などが目安として勧告している摂取量は、健康な成人で1日当たり400ミリグラム(コーヒーマグカップ3杯分)▽4~6歳の子どもで同45ミリグラム(355ミリリットルのコーラ飲料1缶分)▽妊婦は同200~300ミリグラム(コーヒーマグカップ2杯分)-など。』

NHKでは、

『WHO=世界保健機関は妊婦を対象にカフェインが含まれるコーヒーの摂取量は、1日当たりマグカップ3~4杯程度にすべきだとする目安を示しているほか、カナダの保健省は、副作用のリスクがない摂取量の目安として、健康な成人で1日に400ミリグラム以内、妊婦で300ミリグラム以内などと具体的な数値を示しています。』

と、一応の目安は、コーヒーで1日当たりマグカップ3~4杯程度のようです。

 

このほか、ネットで調べたところ、

カフェインの過剰摂取に注意 コーヒーは1日4~5杯までが安全な量』という記事もありました。(保健指導リソースガイド

それによると、

『欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量について、成人では1日400mg未満に抑え、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべきとする提言を発表した。 通常のコーヒーであれば、1日のカフェインの摂取量は4~5杯までが適当な量だという』

 

◆「コーヒーは死亡リスクを下げる」研究報告も

でも、まてよ、「コーヒーを多く飲む人ほど死亡率が低い」という研究があったのでは、と思い出しました。あれはどうなってるの?

 

全日本コーヒー協会のページで、以下のように紹介されています。

『(2015年春、国立がん研究センターの発表によると)コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、まったく飲まない人に比べて24%も低いことになる。さらに、飲む量が増えれば増えるほど死亡リスクが下がるという傾向が、統計学的に有意と認められた。』

 

コーヒーを制限する方がいいのか、逆に多く飲む方がいいのか?

これについて、科学的に面白い記事があったのでご紹介します。

 

◆「微量毒素」が体に良い

日経サイエンス1月号の記事「野菜が体によい本当の理由---微量毒素の研究」がそれ。

米国立老化研究所のM.P.マトソン氏の論文で、記事の中身を私なりに要約すると次のようになります。

 

 ・植物は動くことが出来ないため、昆虫や動物を撃退する有毒物質(植物由来の化合物)を作り出してきた。

 ・そうした有毒物質は果物や野菜にも微量に含まれている。

 ・人間が果物や野菜を食べると、体内では微量の毒性に対して弱いストレス反応が起こり、抵抗力が高まり、健康に良い影響を与える。これを「ホルミシス(hormesis)」という。

 ・カフェインやトウガラシのカプサイシン、お茶のカテキンなども、同様の植物由来の化合物で、脳機能を高める働きがある。

 ・植物由来の化合物は微量で十分。多すぎると体に有害となる。

 

「ホルミシス」によって、脳機能を高める植物由来の化合物としては、ほかに次のようなものが取り上げられていました。

 ・マツユキソウ(スノ―ドロップ)から採れるガランタミン----アルツハイマー病患者の脳で不足する神経伝達物質アセチルコリンの量を増やす。(すでに治療薬になっている)

 ・ブロッコリーに含まれるスルフォラファン。

 ・ウコンに含まれ、カレー粉の黄色い色素であるクルクミン。

 ・ブドウ、赤ワインに含まれるレスベラトロール(一部のニューロンの死を早める?説も。 今後の研究必要)

 

科学論文だけに説得力があります。

カフェインも結局、微量の「毒」と思った方がいいんですね。微量なら脳を活性化させる。

 

ピザにタバスコをかける友人。トウガラシのカプサイシンも脳を活性化させる微量の「毒」か…

 

カレーや香辛料も脳にはいいみたいです。

先の論文には、

『ニンニクやトウガラシを多く食べる国の人たちは年を取っても脳機能が高く維持される傾向がある。(それが植物化合物のおかげなのか、他の食習慣や生活習慣の影響なのかは、さらに調べなければわからないが)』

とあります。

 

一方、大事だと思ったのは次のくだり。

『(運動のあと休憩が必要なように)植物化合物の摂取にも休憩がいる。果物や野菜を食べると体はいわゆる「ストレス耐性モード」に入り、新たなタンパク質の合成は総じて抑えられ、損傷分子の除去と細胞の存続に必要な特定のタンパク質の合成が優先される。

 細胞がこの状態に耐えられるのはそう長い期間でなく、いずれ新たなタンパク質を作り始めないと死んでしまう。ストレスが消えるとタンパク質合成が増えて細胞が成長し、後回しになっていた損傷分子の修復が始まる。

 神経細胞の場合、この回復期に他のニューロンとの新たな接続が形成される。

 (中略)  実生活では、夜に通常の睡眠を取れば、日中の運動や植物化合物の摂取で受けたストレスから細胞が回復するのに十分だろう。』

 

植物の「毒」から受けたストレスから回復するには休憩=睡眠が必要。冒頭のカフェイン中毒死のケースで、もし睡眠時間を削っていたのなら、最悪だったといえそうです。

 

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*「植物由来の化合物」は、最近「第7の栄養素=ファイトケミカル」と呼ばれて注目されています。「ファイトケミカル」でネット検索すれば、ポリフェノールをはじめ膨大な化合物が出てきます。あまりに多くて、いわゆる健康食品群の中に迷い込む感もありますので、気にするのもほどほどに… どれだけ健康にいいのか、逆効果はないのか、科学的に実証されていないものも多いので…