梅雨の雨が続きます。撮る花といえばアジサイぐらい…
この季節で気になっていた言葉に「半夏生(はんげしょう)」があります。
「半夏生にはタコ食べるのよ」とヨメさん。
何でそうなのか分かりません。そもそも、半夏生とは何なのか。
そこで調べてみたところ、実にややこしい。
◆半夏生という「日」
夏至から数えて11日目にあたる日のこと。また、「太陽の黄経が 100 度になる日」とも。
太陽の黄経? 下がその説明図です(ウィキメディア・コモンズより)。
地球から見た、太陽の見かけ上の通り道が「黄道」。春分のころの太陽は黄経0 度で、夏至のころが黄経90 度。
黄経100 度は、夏至を少し過ぎたあたり。そのころが「半夏生」。
太陽暦では7月2日ころ(2016年は7月1日)で、古くから、このころまでに田植えを終える目安とされていたそうです。(暦の上で半夏生は「雑節」という扱い)
農家にとっては、田植えを終えてヤレヤレという休息の時期ですね。
地方によっていろいろな風習があり、関西では、植えた稲の苗がタコの足のように大地にしっかり根を張り、豊作になるようにとの願いから、タコを食べるとか。
ヨメさんが言っていた「タコ食べるのよ」というのは、そういう意味らしいです。
奈良・大阪・和歌山では「半夏生餅」といって餅をつく農家も。
四国・香川では、農作業を手伝ってくれた人達にうどんを振る舞う風習があり、これにちなんで香川のうどん業界が1980(昭和55)年、7月2日を「うどんの日」に制定(そば・うどん業界.com 参照)。
福井県では、焼き鯖を食べるそうです。
その他の地方にも色々な風習が…(ウィキペディア 参照)
農作業に伴う大事な日であることは分かりました。(この日に『毒気が降る』とか、古い言い伝えもあったようですが、現代では本気にしない方がよさそう。)
◆言葉の由来になった草
「半夏生」という言葉は、「半夏(はんげ=カラスビシャク)という草が生えるころ」からきているというのが一説。
カラスビシャクはサトイモ科の雑草。根茎の乾燥したものが漢方の生薬として使われ、吐き気止め、去痰、鎮静効果があるとされます(武田薬品の健康サイト 参照)。
カラスビシャク(半夏)(ウィキメディア・コモンズ より)。
蛇が舌を出したような、変な草ですね~
形が柄杓のようだけど、小さくて使えないので動物の名前をつける、「カラスノエンドウ」と同様の命名。雑草はこういうのが多いです。
この半夏=カラスビシャクが生えるから「半夏生」というのは、一応納得できる話です。
◆ハンゲショウという草
ところが、「ハンゲショウ」という草が別にあるので、話がややこしくなります。
むしろ今ではこちらの方が良く知られ、カラスビシャクは忘れられた存在に。
ハンゲショウは水辺に生えるドクダミ科の草。
梅雨のこの時期に、地味な花(花穂)が伸びて咲くころ、花に近い上部の葉が白くなります。葉先や葉の裏側は緑のままなので、半分化粧していると言う意味の「半化粧」、あるいは「カタシログサ(片白草)」とも呼ばれます。
大阪・長居植物園で、実際に撮って来ました。
ハンゲショウ(半夏生)。
アップにすると、なるほど葉の一部だけが白くなっている、変わった植物です。
もじゃもじゃ伸びているのが花。
花が地味すぎるため、葉が花の代わりに白化して目立つことで虫を誘っているのでは、とも言われています。
雑草のカラスビシャクとは違って、庭園に植えられることもあり、京都の建仁寺塔頭・両足院では「半夏生の庭園特別公開(6月6日~7月6日)」が開催中。
長居植物園のアジサイ園の近く、メタセコイヤの池のほとりに生えているハンゲショウ。
“生きている化石”メタセコイヤに囲まれ… 植物の悠久の歴史。
暦の上の日であったり、植物の名前であったり、ややこしい半夏生。
さしあたり7月1日、わが家ではタコが食卓に出そうですが…
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