つれづれ写真ノート

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夜のエッフェル塔撮影 許可必要?

2014年11月16日 | モラル

11月も中旬を過ぎると、街はイルミネーション華やかな季節になりました。

そろそろ夜景を撮りに行こうかと思っていた矢先、こんな話がネットに出ていて、一時考え込んでしまいました。

 

エッフェル塔の夜の写真を撮影・シェアするのは違法のようです(昼はいいよ!)』(GIZMODOジャパン)

それはナイんじゃないの? と思って読んでみると、

『建物そのものは公共のものですが、それを彩るイルミネーションは、ライティングを生み出したアーティストの作品だというのです。そしてその作品を再現するためには、アーティストの許可がいります。』

『ただの一説ではなく、公式ウェブサイトには、エッフェル塔画像の商業利用は事前にSociété d'Exploitation de la Tour Eiffel(エッフェル塔管理事務所)へ許可を得る必要があるとの記載があります。』

とのこと。


そうだったのか! 

そこでさらに詳しく原文を読むうち、深入りする羽目に…

 

欧州は国によって撮影に制限

以下はGIZMODOの原文

『Sharing Night-Time Photos Of The Eiffel Tower Is Illegal(夜のエッフェル塔の写真をシェアするのは違法)』という見出し。

本文は、GIZMODO日本版とほぼ同じことが書かれています。

『楽しいが気の滅入る土曜日の午後(これって慣用句?)のような事実がある : 夜のエッフェル塔の写真を撮ってシェアすると著作権侵害になり、多額の罰金を科される恐れがある(もちろん、一般の人が自分撮りすることまで禁止されているわけではない)。』

『Torrent Freak の説明によればこうだ。建物自体はパブリックドメイン(公有--知的財産権がない状態)であるとしても、夜に建物を照らす光のショーはアート作品。したがって、それをreproducing(再生--たとえば写真を撮影)することはアーティストの許可が必要になる。それは、劇場のショーを撮影できないのと同じことだが、少し極端すぎる話でもある。』

 

引用元としてTorrent Freak というサイトの関連ページがリンクされていました。

Torrent Freak は、ファイルシェアリングについての著作権、プライバシー問題に詳しいサイトのようです。

しかし、このサイトもEU Observerというサイトをもとに書いています。

 

そこでEU Observer の該当するページへ飛ぶと、EUにおける複雑な著作権事情が書かれていました。

以下、おぼつかない英語力での拙訳です。

『---ベルギー、フランスの著作権法は欧州議会ビルの写真を禁止(By Nikolaj Nielsen 2014.11.04)---
あいまいなEUの著作権ルールの条項が意味するところによると、アトミウムのようなベルギーの公共建築物やフランスの夜のエッフェル塔の写真を出版する場合、だれでも権利所有者の事前の許可を得なければできない。
 このオプションルールがブリュッセルとストラスブールにある欧州議会ビルにも拡張される。』

 

フーン… 欧州議会ビルはいいとして、やっぱり夜のエッフェル塔の写真は面倒なんだ。

(一緒に併記されているアトミウムというのは、1958年のブリュッセル万国博覧会のために建設された、鉄の結晶構造をあらわすモニュメント。ベルギーの著作権団体が世界中に知的財産権を強く主張しているため、多くのサイトで黒塗り画像になったりしています。ウィキぺディアも、オーストリアにあるミニチュア写真で代替。アトミウムの写真を断りなく撮ってFacebookに載せると著作権の侵害になるとのこと。)

 

EU Observer をさらに読んでみると、

『EUの2001情報社会指令(著作権に関する規定)には、公共の場所にある建築物は無料で自由に写真を撮れる、という条項が含まれている。---(中略)---しかしこの条項はオプション。フランス、ベルギー、イタリアはこれを国内法化しないことを決めた。』

のだそうです。

EUは、通貨は別にして、それぞれ違う事情があるらしく、ややこしいですね。

EU Observer は、

『ルールは国によって異なる。
 たとえばブルガリア、ルーマニア、スロベニアでは、販売さえしなければ公共建築物を撮っても大丈夫だ。
 英国やオランダ、ドイツではだれでも、どのような目的でもリスクなく公共建築物の写真を撮ることができる。』

と書いています。

 

これ以上、特に興味のある方はEU Observer をお読みください。私としてはもう十分なので、訳すのはここまでにしました。また、著作権の専門家ではないので、誤訳があるかも知れませんし、理解不足があるかもしれません。ご了解願います。

 

The Eiffeltower in the blue hour, seen from the jardins du Trocadero

 The Eiffeltower in the blue hour, seen from the jardins du Trocadero (Ron.Jansen)

何とbeautiful! 

こういう写真を撮ってシェアするには事前の許可が必要だそうですが… 

flickr に掲載されている、おびただしいエッフェル塔の夜景写真がすべて許可を得たものかどうか。

(この写真がどうかということではなく)一般論としては、はなはだ疑問が残るところではあります。

 

日本では…

では、東京スカイツリーやビルの壁面などを彩る、日本の夜のイルミネーションはどうなのか。

 

文化庁の著作権に関するページによると、

公開の美術の著作物等の利用(著作権法 第46条)で、「屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は,方法を問わず利用できる(若干の例外あり)」とあります。

「若干の例外」(してはならないこと)は、

(1)彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2)建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3)屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4)もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

 

この4つに抵触しなければ、建物、舗道の彫刻などの写真を撮ってネットで公開するのはOKというわけ。イルミネーションも光の美術であり、これに含まれると思われます(そうでないとすると、ちょっと面倒なことになります)。

「屋外に設置された美術の著作物」が、ショーウインドウの場合は、屋外か屋内かの区別が微妙で見解が分かれるようです。

 

次のサイトも参考にしました。

著作権法相談コンサルティング

著作権法ガイド(無料引用のルール)

Moving Design Office

著作権で稼ぐ

 

「日本では大丈夫」ということで、自分なりに納得できたので、さっそく夜景を撮りに出かけました。(我ながら、理屈っぽい…)

その写真は次回に。

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11/17追記

ウィキペディアに『エッフェル塔自体の著作権は、既にパブリックドメインに属しているが、2003年に施されたライトアップ装飾によって「エッフェル塔に新たな創作性が付与された」と解釈され、2005年2月2日に改めてパリ市が著作権を取得した。このためライトアップされた夜景の映像を許諾無しに公表すると著作権侵害となってしまう。日本ではこのような規制はない。』という記述がありました。

 



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