「日刊SPA!」というサイトに、「食べ物の勝手な撮影は是か非か? 飲食店のホンネ」という記事が出ていて、ちょっと考えてしまいました。
最初、引っかかったのは「勝手な撮影」という言葉。
普段何の気なしに旅先で料理の写真を撮っていた私としては「え、それって勝手にやってはいけないこと?」と意外に思って読み始めました。
←旅先では、自分が食べた料理の写真を撮ってきました(写真は京都・北野天満宮前の湯豆腐店で)。問題があったのかなァ…
記事によると、デジカメ、携帯電話、スマートフォンの普及、そしてTwitterやFacebook人気で、食事を写真に撮ってアップする人が急増している、というのですが、それに顔をしかめる人もいるという。
(なるほど、そうかも。ラーメンが出てきたら「カシャ」。パスタが出てきたら「カシャ」。おいしそうなスイーツも「カシャ」。そしてメールに添付して「おいしかったよ~♪」。よくやってますね。)
飲食店側の意見として「否定派」「肯定派」に分けて書かれていました。
「否定派」の理由としては、
- 「カシャ」という音が不愉快
- 「カシャ」という音がほかのお客に迷惑
- 取材は断っているのに、食べログやブログ、Twitterなどに載ってしまう
- Twitterで「まだレバ刺し、ユッケが食べられる店」と書かれてお客が増え、説明に困った
- てんぷらを挙げているところまで撮る。油がはねて火傷でもされたらたまらない
- もっと落ち着いて味わってほしい
- 団体客が一斉に携帯で撮るところを見てギョッとした
- トイレの中まで写真撮られてたりする
- 撮られた写真を(ブログなどで)見ると、美味そうでない。こういうものを出す店だと思われる
撮影が問題なのか、ブログやTwitterに載ること自体が問題なのか、ごっちゃになっているような気がしますが、ともかく置いておきましょう。
一方「肯定派」は、
- 料理を出した以上は、どうされようとお客の自由
- ネットで評判になって来てもらえることもあってうれしい。撮影は大歓迎
- 写真を見ると食べたくなるもの。口コミよりも写真が集客に繋がりやすい。
とあって、どちらかというと否定派の意見を多く載せているような気がしたのですが、さあ、どうなんでしょうね。
◇撮ること自体は自由では
対価を払って(前払い、後払いは別にして)注文した料理について、しばらく眺めようが、何から食べようが、それを写真に撮ろうが、基本的に自由だと思います。
せっかくの自由で楽しい時間、好きなように過ごしたいですよね。
料理に著作権でもあって、それを撮ってネットに載せるのが悪いでしょうか? 料理には著作権はないとされています。
だから、基本的には「肯定派」の店のいうように「料理を出された以上は、どうしようとお客の自由」なのではないでしょうか。
◇店のルール
ただ、何をしてもいいかというと、店の中ではルールに従わなければならないのも事実。店側では、雰囲気や他のお客への配慮、その他色々な理由でルールを設けています。
「いちげんさんお断り」という京都の老舗のやり方が気に食わないと思っても、それはしようのないこと。そもそも、禁煙・喫煙のやり方、料金の払い方、座る席などは店が決めていることで、それに一応納得して店に入り、料理を食べているわけです。
「撮影お断り」とどこかに書かれているなら、あるいは書かれていなくても「撮影はご遠慮願います」と言われれば、写真はあきらめるべきです。これは撮る自由とは別の問題。店としての管理の問題です。
◇マナーの問題
さらに食事にもマナーというものがありますよね。レストランで「ナイフやフォークの音をカチャ、カチャ立てない」といったようなこと。
ほかの客が不愉快にならないようにすべきでしょう。とくに静けさも売り物にしているような店では音が気になるのは確か。
音のしないカメラなら良いかというと…難しい。確かにスマホのシャッター音を消したり、レンズシャッターのカメラを使うなら、あまり周囲の迷惑にならないでしょうが、撮影という動作そのものが雰囲気を乱して落ち着かないという客もいるかもしれません。
どんな雰囲気の店か、ということと、迷惑の程度の問題。こういう話は幅があることで、一律に決めつけるわけにもいかないと思います。
先のタイトルの「勝手に…」に戻りますが、ほかの客に「撮ってもいいですか」と了解を得るのもおかしな話でしょう。自分の食事なのですから。ほかの客にすれば、自分が撮られると誤解するか、「えっ? どうぞご勝手に…」と言うだけでしょう。
つまり「勝手に」を問題にするのはおかしなことで、基本的に「勝手に」するようなたぐいのこと。同時に、写すか写さないかは、自分で良識を持って判断することだと思います。
飲食店というのは、美術館のように「撮影、いいですか」と聞くのが慣例になっているような場所とも思えません。周囲にある程度配慮しつつ撮影、店の人から「撮影はご遠慮願います」と言われれば、「あ、この店はそうなの」と言ってやめればいいのでは、というのが私の結論です。
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