名古屋の白ウサギ・1964年生

自称・宗教家・・宗教家とは職業ではなく「私の生き方」です。
職業・会社員、投資家  趣味・偽善事業

「許す」 という傲慢

2013-04-17 | 思う事
宗教関係の本を読んでいると

「 人を裁いてはいけません。‘ 許しの心 ‘ を持ちなさい 」

と言うようなお話がでてきます。

こういう教えは

確かに尊い教えであると思いますが

この言葉を浅はかな捉え方で吸収してしまうと

大きな落とし穴にはまるような気がします


私が20代の頃  深夜アルバイトで働いていたレストランに

Tさんという50代の男性がいました

Tさん本職は 洋服の仕立て職人 

近年、洋服をオーダーメイドする人が激減して

本業だけでは生活できる収入を確保できない

やむを得ず、毎日8時間、パート社員として

このレストランで働いていました。


Tさんの仕事は主に 仕込み でした。

店に出たり、厨房で料理を作ったり といったことは

一切できません

野菜を切ったり、米を研いだり、皿を洗ったり

といった 裏方の仕事のみを毎日黙々とこなしてゆく

そういった仕事を任されていました

このTさん、真面目で大人しく、温厚な人柄

悪い人ではないけれど

周りの評判は物凄く悪い

何故かというと 

Tさん 常に マイペース

ピークの時間 他の人達は必死になって走り回っているときも

自分だけは常に涼しい顔をしている

人手が足りないとき、他の人達は、自分の担当以外

の仕事でも無理をしてでも助け合う

Tさんはそういう状況でも、自分の仕事さえ切りがつけば

あとは、さも仕事をしているようなフリをして時間を潰す


他の従業員はこういうTさんの態度に相当イラついている

しかしながら

従業員のなかで

Tさんが最年長であったこともあり

Tさんをバカにしたり

感情的に苦情を言ったり

そういった態度は誰もしませんでした

そういった意味でこのレストランの従業員はみな紳士的な

人ばかりでした

「 あれでも、Tさんは Tさんなりに精一杯やっているのだろう 」

そう言って、Tさんの態度をかなりの部分で黙認していました


それでも、ごくごく稀な事ではありますが

忙しいとき 誰かが Tさんの態度に腹を据えかねて

強い口調で 

「 Tさん! 少しは周りの状況を考えてください!!!! 」

「 Tさん、早くやってください!!! 」

などと言ったりすることがありました。


こういうとき私は Tさんをフォローしようと思い

Tさんのそばに近づくと

Tさんが必ず言う言葉


「 ああいう人はどこにでもいるけど、私は憎んだり怨んだりしませんよ

‘ 許す ‘ という気持ちが大切だからねー 」



  許す??????? 



この言葉、Tさんが使うべき言葉なの?


口まで出掛かるけどいつも我慢しました


いつも許されているのはTさんであって
他の多くの従業員ではありません

要するに、Tさん 自分の立場 自分の状況 自分の能力  

がまるで分かっていない


Tさんの「 許す 」 という言葉の裏には

傲慢さがあるのではないでしょうか・・・


じつは許されているのは Tさん であり

許されている Tさんが

人を 「 許してやる 」 などと思うのは全くオカシナ話であると思います



Tさんは極端な例ではあるけど、

Tさんに限らず

 ‘ 許す という傲慢 ‘ を

何の恥じらいも無く犯している人を時々見かけます。


こういう人は 、何らかの宗教を信じていることが多いと感じます



これが 「 宗教の落とし穴 」であるといつも感じます


わたしは常々 ‘ 人を許す ‘ と言う言葉に対して

大きな警戒感を抱いています。

この言葉を軽々しく発する人を見ると何かの違和感を感じます


誰かに対して腹が立った瞬間、

許してあげよう と思った瞬間、

「 許されているのは実は自分ではないだろうか? 」

常に こう自問自答してゆく事が大切であると

自分に言い聞かせる今日この頃でございます。


 
コメント
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