「 東都三ツ股の図 」
この浮世絵は、
奇才浮世絵師 歌川国芳 ( うたがわ・くによし )
の作です。
天保2年( 1831年 )に描かれたものです。
今から184年前の風景ですが・・・
何やら不思議な建物が左側の遠方に描かれています。
東京スカイツリー????
この浮世絵は、184年前に描かれた、
「 未来を予言した絵 」なのでしょうか?
これは、
184年前、国芳さんが絵を書いた場所から見た、
現在の風景です。
なるほど・・・よく似ています・・
もし、これが予言の絵ならスゴイです。
・・・好奇心をくすぐります。
いろいろ調べてみると、
ネット上には「 予言されていた・・・ 」
という論法の記事が多く見受けられます。
私が思うに・・・
これは、 希望的観測
「 希望的観測 」 とは?
合理性や、客観性を排除し、
「そうあって欲しい」 とか 「そうだったらいいな」
という感じで、
希望に影響されて判断することです。
こういう感覚を 「 科学的 」などと思っている
擬似科学者は大勢います。
疑似科学も、メルヘンの世界のお話として
捉えるなら問題はありませんが、
大真面目に疑似科学を振り回すと、
その結果は、
「 カルト宗教 」になります。
こういうお話を 「 善意 」を前提とした、
方便として用いるなら、
あくまで 「 ご愛嬌 」で済まされます。
私は、科学万能とは思っておりません。
科学にも、限界があることは確かだと思います。
だからと言って、希望的観測を 「 科学的 」
などと言って振り回すことを容認してはいけないと
思えるのです。
日々、真面目にコツコツと科学的な研究をしている
学者や、研究者に対して失礼です。
現代科学は、多くの科学者達の、
気の遠くなるような、単純作業の繰り返しと、
検証によって築かれています。
悪意をもった・・・・などは、
予知能力とか、ミステリー現象とか、
奇抜な話で関心を引き付けておいて、
最後に洗脳してしまう。
こういった、カルト集団の格好の教材
にされてしまう危険性もあります。
こうなると、「 ご愛嬌 」では済まされません。
もし、「 〇ー無 」が現在も存続していたら、
必ずこの事を題材にして、本を出版したり、
講話のなかに取り入れるでしょう。
これは、
ほぼ同時期に葛飾北斎によって描かれた
富嶽三十六景 ・ 「 東都浅草本願寺 」
という作品です。
左側に、高い櫓が描かれています。
これは、井戸を掘るための櫓( ヤグラ )です。
このヤグラはよく見てみると、
雲を突き抜けています。
この絵をみて、
「 180年前、雲より高い建物があった!!! 」
「 これは、東京タワーを予言したものだ!! 」
などと主張したら、笑われるだけです。
当時の人々の感覚は、井戸を掘る櫓は、
天まで届く位の高さに感じたのでしょう。
即ち、
これは、デフォルメ なのです。
対象をイメージで変形させ、
誇張した表現をしているだけ。
そういう意味で、
北斎の絵は、櫓が雲より高くても、
別に何の不思議もない光景です。
北斎さんの絵と、国芳さんの絵を、客観的に比較して、
歌川国芳さんの絵に、何か特異性があるのでしょうか???
国芳さんも、今頃、あの世で苦笑いしているでしょう・・・
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