きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

私の男

2015年02月16日 | 日本
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R15+指定作品。

劇場上映中ずっと気になってたんだけど観に行けなかった映画。
結果、家でひとりでブルーレイ鑑賞したのは正解かもしれないです。
難しい映画でした。
気分はどうかと聞かれればそりゃ悪いでしょ、どうしたらよいのかわからない。
観終っても気持ちの整理がつかなくて、しばらくネットでいろんな人の意見を確認しました。
原作を読んだ方の感想も。

まず最初に思うことは、二階堂ふみはバケモンね(←最上級の褒め言葉)
中学生から高校生、そして大人になるまで演じ分けてて、おんなじ顔してんのになぁ、顔に産毛が生えてる中学生から、最後は妖艶な女の顔で終わった。
彼女はまだ二十歳でしょ、何度も言うけど驚きです。

私の男と交わる時の表情が、それは正常な行為ではないですからね(父親ですから)、異性に対する愛情とも違う、もちろん性欲だけとも違う、何とも言えない目をしてた。
先日この作品でブルーリボン主演男優賞を受賞し男泣きした浅野忠信との主演二人の演技力の確かさがあっての作品なんだと思った。
テーマがギリギリだもんね、近親相姦なんて。

近親相姦といっても、父と娘として暮らしていたとしても遠い遠い親戚。
そのへんが複雑なんだけど、禁断の世界に踏み込んでしまった男と女の愛なのかというと、それは違う。
劇中でも言ってたけど淳悟は「父親になりたかった」んだから。

花は奥尻の津波で10才の時に天涯孤独にり、淳悟だけが唯一の家族だった。
被災直後の行動から、たぶん母親に対しては嫌悪感をもっていて、自分を背負って逃げてくれた父親に対する思いが強かった娘で、先ず前提として彼女はファザーコンプレックスを持ってるみたいでしたね。
そこに父として現れた淳悟が、きちんと成長できてないまま大人になった不完全な男だった。
彼もまた家族に恵まれずに育ったようで、家族(愛情)に対する渇望の激しい人だったわけで、お互いの強い思いが絡まったまま、行ってはいけない方向へねじれながら進んで行ってしまったんだろうか。

「舐める」という行為がちょっとしたキーワードなんだけど、すんごいエロティックよねそれって。
でも赤ちゃんが認識するときにおしゃぶりするみたいにも見えて、二人の幼児性を表しているようにもみえた、かなりエロかったけど。

途中ちょっとだけ出てきた高良君が、突然指を舐められて、汚ねーーって感じですごい時間をかけて手を洗ってるのが面白かった。
金持のボンボン、言われるとなんでもしちゃうのね、あそこで服脱ぐ?
それも面白かった。

淳悟のダメ人間ぶりが素晴らしかったです。
風体は立派な大人の男なのに、頭のなかは子供で、訪ねてきた警察官をカッとなって殺してしまってから、
あとで猛烈に反省してるって、、、あのね、それ反省して終わる話じゃないですから、、、

藤竜也がオホーツクの流氷に流されていくシーンは圧巻です。
舞台が北海道の極寒の地であるということがとても重要だった。

自分は悪くない、自分が守ろうとする者も悪くないと言い聞かせる花
だめだよ、それ人間として絶対ダメ。

終わってからかなり後を引く映画でした。
楽しく観終えてスッキリ忘れる映画より、鑑賞後もつい考える映画が好きなので、「私の男」は好きな映画でした。
でもちょっとお薦めはしにくいです。



私の男  2013年  
監督:熊切和嘉
出演:浅野忠信、二階堂ふみ
原作:桜庭一樹

奥尻島に猛威を振るった津波によって孤児となった10歳の花(山田望叶)は遠い親戚だという腐野淳悟(浅野忠信)に引き取られ、互いに寄り添うように暮らす。花(二階堂ふみ)が高校生になったころ、二人を見守ってきた地元の名士で遠縁でもある大塩(藤竜也)は、二人のゆがんだ関係を察知し、淳悟から離れるよう花を説得。やがて厳寒の海で大塩の遺体が発見され、淳悟と花は逃げるように紋別の町を去る。

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