きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

駆込み女と駆出し男

2015年05月29日 | 日本
面白かったんだけど途中でちょっとお尻が(腰が)痛かったんですよね。
長そうだなとは思ったけど143分。そりゃ痛くなる(笑)

面白い映画でした。
今までにないテイストの時代劇。
観た人に感想を聞くと「面白かったよ」って必ず言うんだけど、でも具体的にどこが面白かったって教えてくれないの。
何となくわかる気がする、なんか具体的に言いにくいかも。

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天保十二年(1841)。老中水野忠邦の世に言う天保の改革の真っただ中。
あと10年もしたらペリーが浦賀にやってくる幕末に近い江戸時代。
この時代の人が美味しそうに食事をし、働き、話題の戯作が発行されるのを楽しみにしている様は、次は何の映画を観ようかと楽しみに友達と会話してランチする今日の私の姿と何もかわらない。

女からの離婚請求の権利がなく、そのための政府公認の縁切り寺(鎌倉の東慶寺)と聞くと、女は虐げられて暮しているのかと思うけど、いやいや結構逞しい。
案外、亭主は女房に逃げられると何もできないじゃんってところも、今と同じじゃーん。

そんな男と女のいくつかの物語が、想像以上にてんこ盛りになってます。
これだけの話を1本の映画に入れてしまうって相当だと思うよ。そりゃ143分かかるっちゅーの。
よく混乱しないでまとまったと感心します。

兎にも角にも、贅沢過ぎるキャスティング。
いいんですか?ホント。
どなたもドンピシャに素敵に似合っていて生き生きしていて、
それが作品全体に品がある要因かなと感じました。

想像妊娠騒動やハチミツ浣腸のくだりは面白かったけど
いっぱいあり過ぎて思い出せないくらいのエピソード数で、
できれば少し数を減らした方が、ひとつひとつにゆっくり感動できたのになぁ。

私はじょごと信次郎のラブラブてしたところをもうちょっと見たかったよ。
結構斬新なファーストキスだったし☆



駆込み女と駆出し男  2015年
監督:原田眞人
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、堤真一、山崎努、樹木希林

江戸時代、幕府公認の縁切寺として名高い尼寺の東慶寺には、複雑な事情を抱えた女たちが離縁を求め駆け込んできた。女たちの聞き取り調査を行う御用宿・柏屋に居候する戯作者志望の医者見習い・信次郎(大泉洋)は、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも男女のもめ事を解決に向けて導き、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていく。


海にかかる霧

2015年05月03日 | 韓国
「殺人の追憶」の脚本家シム・ソンボによる監督デビュー作。
あらすじの予備知識ゼロで臨んだので、途中からの展開に「うっそー」



今現在でも亡命や様々な理由で密航を企てた話は日常的にニュースになるし、
人知れずにこういうトラブルで消えてしまった方たちがいるかもしれないと思いながら観てたわけですが、2001年に実際に起こった「テチャン号事件」というものを題材にしていることを後で知りました。
驚きというよりやっぱりという気持ち。絶句しながら観てる場合じゃないよね、事実としてあったことなんだから。
ともかく現実がずっしりと重いです。

船長のチョルジュにとって老朽化した漁船チョンジン号が人生のすべてで、なにがあっても守り抜きたいという思いが最後に狂気になってあんな風になったのかな。
家族のように一致団結して船に乗っていた仲間なのに。
一番大切な守りたかった場所が、どんどん深くなっていく霧の中で迷走し、コントロールできない方向に暴走してしまった。
最後はもうホラーでさえもあった。怖いよー。

始まりはキム・ユンソク演じる船長の目線だったものが、後半はユチョン演じるドンシクの目線へ展開する。

ぶっちゃけな話、ユチョン初出演映画で、評判がとてつもなく良かったので観に行ったんだけど、その理由で観たとして、かなりの衝撃的な作品だったわけですが、充分に見応えのある内容でした、素晴らしかった。

あの可愛いユチョンが、どこからどう見ても田舎の素朴な青年にしか見えなくてドンシクでしかない。
殺戮が繰り返される修羅場の中での彼の唯一の正義が彼女を守ることだったんだと思うと、それはそれで納得ができる。
ふたりが感じた感情が恋愛だったかどうかなんて、あの状況で誰も決められない気がするんだよね。

だから、流れ着いた先で彼女がとった行動は納得できる。
ドンシクは彼女を探したんだろうか、どうかなぁ。
必死に探してはいないけど、どこかで会えないかと思ってはいたよね。きっと。
そんなこちら側の想像のための、サービスですかね、最後のシーンは。

作品的には流れ着いた海岸の場面で終わって欲しかったけど、
ひとり黙々と働くドンシクの暮らしに少しだけ触れさせてくれたのは監督さんの優しさでしょうか、そういうことにしておきたいです。



海にかかる霧(原題:해무)  2014年  ☆☆☆☆☆  
監督:シム・ソンボ
制作:ポン・ジュノ
出演:キム・ユンソク、パク・ユチョン、ムン・ソングン、キム・サンホ、イ・ヒジュン

チョンジン号は一時、大漁に沸いていたこともあったが、最近は不漁続きで船の維持すら難しくなっていた。八方ふさがりの中、船長チョルジュ(キム・ユンソク)は、やむを得ず中国からの密航者たちを乗船させることにする。そして決行の日、海上で中国船から密航者を迎え入れた。

ソウォン/願い

2015年05月03日 | 韓国
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雨の日、8才の少女が小学校への登校時に変質者にレイプされる。
かろうじて命はとりとめるが、人工肛門という過酷な運命を背負い、
一生残る心の傷を負うことになる。

韓国で実際にあった事件をベースにした話だそうです。
だからね、可哀想過ぎて耐えられなくてね。
そんな昔の事件じゃないからご家族はご健在ですよね。
ここまでストレートに描くって、日本ではなかなかないんじゃないかな。

父親役のソル・ギョングも母親役のオム・ジウォンも、悲しみと怒りで気が狂わんばかりで。そりゃそうよね。誰だって我が身に置き換えたら苦しくてたまらない。
辛さに耐えながらもなんとか鑑賞できたのは、ひとえにイ・レちゃん演じるソウォンの素直で健気な可愛らしさだった気がします。

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彼女は瀕死の状態の中、自分で警察に連絡をするの。
それはいつも忙しくしてるお父さんとお母さんの大変さをわかってるから。
そんなこと考えるような状態じゃないのに無意識にそういう事ができるしっかりした子なんだよね。

そんなソウォンが自分を責め始めたのは、マスコミが騒ぎ始めたから。
マスコミから自分を隠そうする父を見て、自分は悪いことをしたのかと恐怖で泣くの。
こんな姿になった自分が恥ずかしいとシーツを被って自分を隠そうとする。

もちろん卑劣な犯行が一番憎むべきことなんだけど、
被害者を傷つけることはそれだけじゃない、むしろその後の周りの行動がどれだけの人を傷つけるかということなんだよね。
特に韓国はマスコミは病院にまで押しかけるから、見てて腹立たしかった。

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ソウォンは事件がトラウマとなり男性である父親と話すことができなくなっていた。
そこでドンフンがしたことは、ソウォンが大好きなココモンの着ぐるみを着て彼女を元気づけることだった。

これがね、もー泣けましたわ。
着ぐるみの中で汗びっしょりのソル様が、汗びっしょりだけど涙もいっしょにびっしょりなんだよね。
仕事の合間に着ぐるみで娘を見守り、学校に行くようになった娘をちょっと離れたところで見守る。
ソウォンはいつもそばにいるココモンを見て安心するの。

可愛いカバンに飴をいっぱい詰めて持たせたのは、人工肛門が臭うんじゃないか、ガサガサ音がするのが恥ずかしいという娘のために考えたんだね。

ドンフンは回復するソウォンに胸をなで下ろす一方、犯人の発言を聞き、恨みと娘を守りたい一心から殺人の衝動にも駆られる。
そして酒による心神耗弱という判決が出て、いつか又犯人と娘がどこかで出会うかもしれないという憤りが頂点に達するけど、娘に「家にかえろう」と引きとめられる。

この作品が描きたかったことは復讐することや憎むことじゃないんだよね。
復讐ではなく希望を。
タイトルそのもの、願い。

8才にして人は何のために生まれてきたんだろうと呟いたソウォンは、
生まれてきた弟を笑顔で迎えた。
生きるということは希望(弟の名前も希望)なんだってことを笑顔で見せてくれました。

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「王の男」
「美しき人生」
「あなたは遠いところに」
イ・ジュニク監督の作品は好きな作品が多いです。
唐沢さんの「イン・ザ・ヒーロー」にカメオ出演してるってさっき知って、いつかそれ見てみよう。

そう言えばこの監督さん、商業映画から引退するなんて言ってたことあったよね。
こんな良い映画撮るんだから、まだまだ活躍して下さいませ。



ソウォン/願い(原題:??)  2013年  ☆☆☆☆☆
監督:イ・ジュニク
出演:ソル・ギョング、オム・ジウォン、イ・レ、キム・サンホ、キム・ヘスク

雨の朝、一人で登校した8歳のソウォン(イ・レ)は男に呼び止められ、半死半生の暴行を受けた状態で発見される。病院に運び込まれたまな娘の惨状に、父親ドンフン(ソル・ギョング)も、母親ミヒ(オム・ジウォン)も泣き崩れる。その後、執拗(しつよう)なマスコミの取材攻勢や社会全体からの注目に対し、両親はソウォンを何とか守ろうとする。