高校を卒業して、勉強しようと進んだ道を早々と挫折し、就職してないし、どこにも所属してなくて、まだ何者でもない、社会のなかで自分だけ浮いているような時期って、自分にも確かにあった。
そっか、まさに朔子の年齢だぁって、
ちょっとだけ思い出しました。(いったい何年前の話なんだ)
大学受験に失敗して将来の展望も持てない18才の朔子が過ごす夏の日々の話。
特別なことなんて起きない、いろんな人と出会うけど特別なことなんてない。
だけど、なんて魅力あふれる映画なんだと思う。
朔子と叔母さんは、実は血は繋がってない。
朔子の母と姉妹の叔母さんが同級生でなぜ同じ名前なのか(字は違う)、そこから複雑だけどそんなに入り組んでない人間関係が始まってる。
登場する人たちと朔子の関係(距離感)が面白い。
踏み込まないけど垣間見える人生というか、朔子の視線から見た登場人物の特別じゃない感が、自分の周りにもいそうなんだよね。
若い子とコトを繰り返す偉い人らしいエロ親父。先日ニュースに出てませんでした?
海外渡航してまるでコレクションするみたいにやってた元校長先生。(タガが外れる感覚が忘れられなかったって言ってたヒト)
原発被災者を演じさせられる話もね、そういう面もあるって話でしょ。
(福島に住んでる友達から関連した話をたまたま聞いたことあります)
決して批判しているわけではないと思うんですよ。
叔母さんと兎吉さんとの関係も面白くて、インドネシア語の翻訳をしているインテリな叔母さんは「ダメな人を好きになっちゃう」んだね。
自転車で二人で違う道を行ったとき、どんな話をしてたんだろ。
そこを見せないところが憎いです。
近所の人からゴロツキと噂される兎吉は、娘を大学に入れてちゃんと暮してるよ。
違法すれすれのホテルの支配人だけどね。
疑問を言い始めた孝史にクビを言い渡して「お前は卒業だ」って言うあたりが清濁併せ呑んだ感じで、私なんかはちょっとぐっときちゃうんだけど。
叔母さんと腐れ縁らしい大学の先生(西田)との関係も、「大人って汚いよなーって」言いたくなるけど(大人なお前が言うなって)
これもある種の恋愛で、大人になるとキラキラした恋愛なんてないんだよ、たぶん。経験ないからわかんないけど←
そういう、いろんなたくさんのことを、声高に言ったりしてなくて、
朔子を通して見る距離感がすごく面白かった。
孝史役の太賀くんが良かったなー。
そして、二階堂ふみちゃんが毎回来てる服が可愛くて、あぁ肩だし服が似合うの二十歳だよなぁって思ったし、水着姿がたまらなく可愛かったです。
若いってなにものにも代えられない魅力なんですよ。
なんつー、おばさんの感想になってしまった。
凄みを封印した二階堂ふみは可愛い☆
ほとりの朔子 2013年
監督:深田晃司
出演:二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治
浪人生の朔子(二階堂ふみ)は叔母の海希江(鶴田真由)の提案で、旅に出た伯母(渡辺真起子)の家で2週間過ごすことに。彼女は海希江の幼なじみの兎吉(古舘寛治)やその娘の辰子(杉野希妃)、福島から避難してきたおいの孝史(太賀)らと出会う。のどかな場所で、朔子は仕事に集中する叔母をよそに短い夏休みを満喫していた。