きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

嘆きのピエタ

2014年02月22日 | 韓国
キム・ギドク作品はたくさん観たけれど
好きなのは、「悪い男」「受取人不明」「サマリア」「うつせみ」
彼の作品は現実の社会を拒否し遮断する。
自分が消えてしまい意識だけがむき出しになる感覚。孤独。
孤独ゆえに不思議な安らぎがある。
拒みたいのに陥る。
それがキム・ギドクの世界。

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ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品なのでとても楽しみにしていました。

舞台は拝金主義の弱肉強食社会。
金が返せないものは障害者になり保険金で返済する。
取り立て屋のカンドは肉を頬張る。(怖いよ~)

そこに現れた母と名乗る女性。
家族を持たずに育ってきたカンドは初めは拒否するが
やがて母の存在を感じ今まで持たなかった感情が覚醒する。

しかし、その先に待っていた事実は、、、、という話。

子を愛するゆえの母の行動と
母を求める息子の姿

ラストシーンが衝撃的なんだけど
野獣のように生きていた息子の魂は救われたということなんだろうか。
金がすべての社会の人間の罪を彼は背負ったとも言える?
(ここは人それぞれで捉え方が全然違うんだろうな)

キドク作品としてはとてもわかりやすいものでした。
わかりやすい、わかりにくい、が善し悪しの基準ではないですが。
作品としては楽しめたけど
冒頭に書いたキドクワールドの魅力が
現実の社会を拒否し遮断する不思議な安堵感だとすると
そういう意味では、これは現実社会の中で起きている物語だと思った。



嘆きのピエタ(原題:피에타)  2012年
監督:キム・ギドク
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン

身寄りもなく一人で生きてきたイ・ガンド(イ・ジョンジン)は、極悪非道な借金取り立て屋として債務者たちから恐れられていた。そんな彼の前に母親だと名乗る女性(チョ・ミンス)が突如現われ、当初は疑念を抱くガンドだったが、女性から注がれる愛情に次第に心を開いていく。生まれて初めて母の愛を知った彼が取り立て屋から足を洗おうとした矢先、女性の行方がわからなくなってしまう。

コクリコ坂から

2014年02月22日 | 日本
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ひとことでいうと「郷愁」でしょうか。

電話は家電話、当然ながら携帯電話もないしインターネットもない。
テレビもない。
便利な電化製品もない。
高校生の海は下宿屋の切り盛りが仕事で、
学校へ行きながら、洗濯、掃除、食事の支度が忙しく、
毎日をきちんと暮している。
当たり前の日常をきちんと送りながら、未来に希望を持って生きている。
上を向いて、前を向いて、歩いている。

当たり前にと書いたけど
今、そんなふうに暮すことは、実はとても新鮮だ。

1963年という時代の描写がこの作品の一番の見どころなんだと思いました。

長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之
声優陣が豪華でしたね。



コクリコ坂  2011年
監督:宮崎吾朗

東京オリンピックを目前に控えた1963年の横浜。高校に通う海(うみ)は、毎朝、今は亡き父のために港が見える丘の上にあるコクリコ荘から旗を揚げていた。研究者の母は海外出張中で、海は下宿人を含め6人の面倒を見ている。
一方、同じ高校の新聞部に在籍する俊は明治時代に建てられた由緒ある部室棟、通称「カルチェラタン」の取り壊しに反対し抗議活動を続けていた。

源氏物語 千年の謎

2014年02月22日 | 日本
「脳男」を観て、生田斗真は私の中ではすっかり映画俳優にカテゴライズされまして、
「土竜の唄」も行く気満々だからでしょうか
楽天レンタルであと一本ってところで斗真くんをチョイスしちゃいました。

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何の知識もなく観始めたら、のっけから登場したのは斗真くんじゃなくて先輩の東山紀之さん。美しく艶めかしい光源氏をたっぷりと観る気でいたら、そうじゃないんですね。
実在の世界にいる藤原道長や紫式部、そして紫式部の書いた「源氏物語」の中の世界と、現実と架空の世界が交わり合ってます。

「千年の謎」なので、なにか謎解きがあるのかと思ったけど、私の理解では確認できず。
陰陽師・安倍晴明が登場するともっとわからなくなったのは勉強不足ですかー。
っていうか、途中で見失うと自宅鑑賞はダメですな(別事しちゃう、、、)

六条御息所役の田中麗奈が怖くて、嫉妬に狂う女だってことはわかるけど
あーいう描き方は女としてはね、好みではない。
女をそこまで狂わせる光源氏だとすると
斗真君はとてもとても綺麗だったけど、それ以上に健康的で、素敵過ぎて
もうちょっと退廃的な、いけないけど惹かれてしまう不道徳な色気が欲しい。

映像は絵巻物を観ているような綺麗さでした。



源氏物語 千年の謎  2011年
監督:鶴橋康夫
出演:生田斗真、中谷美紀、東山紀之、真木よう子、窪塚洋介、多部未華子、田中麗奈

平安時代、娘が帝の子を産むことを望む関白・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)にある命を下す。そこで彼女は、絶世の美男・光源氏(生田斗真)と彼を取り巻く宮中の女性たちの物語を執筆することに。やがて、源氏を愛するあまり生き霊になってしまった女性の情念と、道長への思いを秘めて執筆に打ち込む式部の心が重なる。

ミッドナイトFM

2014年02月17日 | 韓国
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「深夜のFM」というタイトルで韓国で上映してた時から、いつか観たいと楽しみにしてた作品をやっと見ることができました。
うん、評判どおり、期待どおりの面白さだった。

深夜の2時から始まるラジオ番組「真夜中の映画音楽室」の
放送時間内にリアルタイムに進む怖~~いサイコスリラー。

ジテさんが演じるサイコ殺人鬼は怖かった。
ファンを通り越してストーカーを遥かに通り越して性格異常者で
あんな風に番組やDJのファンになられたら恐ろしくてたまらない。
ストーリは想像通りに展開していくんだけど緊迫感があった。

スエが演じるコ・ソニョンが魅力的だったなぁ。
元TVアナウンサーで今は人気DJ。
娘の病気治療のため渡米するので放送は終了するけれど、いつかまたニュースの世界に戻ってくることも視野にある野心家でもある。
抜群の才覚を持つが、他人に対する情はバッサリと切り捨てる部分もある。。
妹が殺されて娘が人質に取られるという窮地に陥った時も、狼狽え恐怖に怯えながらも強靱な精神力で立ち向かおうとする。

娘を助けるためになりふり構わないやり方は、ヒロインとして必ずしも共感できるものではなかったけど、でも理解もできる。
逆にリアリティを持って感じることが出来て面白かった。

娘ちゃん役の子役の女の子が良かったんですよねえ。
恐怖に怯えながら冷静に行動する彼女の姿が本当に立派でした。

見応え十分な秀逸なサイコスリラーでした。




ミッドナイトFM(原題:??? FM)  2010年  ☆ヽ(*^ω^*)ノ
監督:キム・サンマン
出演:スエ、ユ・ジテ、マ・ドンソク、チョン・マンシク

病身の娘を治療させるための渡米を控え、DJを5年間努めてきた人気の深夜ラジオ番組を降板する元テレビアナウンサーのソニョン(スエ)。妹に娘を預けてオンエアに臨む彼女だったが、その最中に自分のリクエスト通りに曲を流さなければ家族を殺すという脅迫電話がかかってくる。ただのイタズラだと軽く受け流していたソニョンだったが、電話の主である謎の男(ユ・ジテ)が家族をとらえて人質にしていることが判明。激しくうろたえる彼女に、男はある要求を突き付けてくる。


ザ・タワー 超高層ビル大火災

2014年02月14日 | 韓国
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昔昔、「タワーリング・インフェルノ」は観ましたよ。
何年前なんだろ、怖かったわ。
高いビルには必要以外には行かないって誓ったもん。

最初にこの作品を知った時に、どうして今更「タワーリング・インフェルノ」みたいな映画なの?って、きっとみんな思ったよね。今でも思う(笑)

しかも舞台はツインタワーで、
火事の原因はヘリコプターがぶつかったことなんだけど
最後はビルが崩れるという、
なんかもー、9.11を彷彿とさせるいかにもな感じが
いいんですか?って戸惑うんですけど、、、ワタシ。
ヘリがぶつかっただけで、あんな悲惨なことになっちゃうもんだろか。

でも意外と楽しめたんですよね。
アトラクションを経験したような感じなのかなぁ、
高所恐怖症なのでひゃーひゃー言いながら観ました。

いいんですかね(どっかで後ろめたい)

だって、こんな悲惨なことになってるのに
どこか笑える要素は作ってるでしょ。
悲惨なのに、エンターテイメント的に見せようとしてる気がして、
不遜な気持ちを持ちつつ
楽しんでもいいんですね?って思う。
消防隊に赴任してきた新人が全裸で駆けつけるシーンって
そういうことでしょ。

ソル・ギョングとイェジンちゃんの共演作品だと思ってたけど違うのね。
ソル様が主役っていうにはちょっと存在感が薄い気もする。
どっちかというとソン・イェジンとキム・サンギョンが中心です。
 
アン・ソンギさんも出てたけど、すごい贅沢ね。
監督さん繋がりの友情出演でしょうか。
他にも出演した俳優さんがかなり豪華だった。

いろいろ言ってるけど、結果としては楽しんで観ました。
高い場所が大嫌いだから映画館で観なくて良かったかも、
スクリーンで観たら怖くてたまらなかったかもしれないです。



ザ・タワー 超高層ビル大火災(原題:??)  2012年  
監督:キム・ジフン
出演:ソル・ギョング、ソン・イェジン、キム・サンギョン、キム・イングォン、アン・ソンギ

ソウルの汝矣島にそびえ立つ、地上108階の高層ビル「タワースカイ」。クリスマスイブを同ビルで迎えようとする客に備えるフードモール・マネージャーのユニ(ソン・イェジン)は、思わぬ厨房のボヤ発生に驚き不十分な換気設備に不安を抱く。人々が上層階に集う中、タワースカイ会長(チャ・インピョ)はタワー周囲を旋回する10機のヘリコプターで粉雪を降らせる演出を敢行。だが、そのうちの1機が上昇気流の影響によりビル内部に激突、すぐさま爆発炎上を起こしてタワースカイを火炎地獄へと変貌させる。


陰日向に咲く

2014年02月14日 | 日本
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借金してもパチンコがやめられない青年
母親の過去を辿り人探しをする弁護士
ホームレスのモーゼ
妻を亡くし息子と絶縁状態のサラリーマン
売れない崖っぷちアイドル
アイドルおたくの青年

それぞれの群像劇が感動のラストに繋がります。
前半は関係性も見えないしテンポも今ひとつだったんだけど、後半は泣かされました。

借金取りに追われてるのにどうしてもパチンコがやめられない、
優しい子なのに何をやっても上手くやれない、、こういう子普通にいるもんなぁ。
岡田君はこういうダメダメな役も上手く演じてました。

どうしようもなくてオレオレ詐欺をしようとして偶然かけた電話に出た老女。
シンヤは老女の息子と思われる「健一」になりすますが
話しているうちに、亡くなった自分の母を思い出し、借金の事を言いだせない。
やがて、老女が亡くなった事を知り彼女を家を訪ねる。

母が亡くなったことからいまだに立ち直れないシンヤと
わが子を2歳で失い孤独に生きてきた老女(ジュピター)

オレオレ詐欺の電話で会話した二人だったけど
シンヤは母と、
ジュピターは息子の健一と
もう一度話すことができたんだよね。

陰日向に生きる人々。
どこにでもいる私たちの話、
みんな誰かと寄り添って繋がって生きてるんだよね。





陰日向に咲く 2008年
監督:平川雄一朗
出演:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、塚本高史、三浦友和、西田敏行
原作:劇団ひとり

観光バスの運転手シンヤ(岡田准一)は、ふとしたきっかけで浅草で寿子(宮崎あおい)と知り合う。寿子は35年前に浅草で芸人をやっていた母・鳴子(宮崎あおい・2役)の消息を追っていた。鳴子は売れない芸人の雷太(伊藤淳史)とコンビを組んで、ストリップの幕間に漫才をやっていたのだ。しかし雷太の行方はわからなかった。パチンコ依存症のシンヤは借金を重ねたあげくオレオレ詐欺に手を染める。

ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

2014年02月01日 | 韓国
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ニノの「プラチナデータ」とほぼ同時に制作のニュースを知って、
両方ともDNAやゲノム情報の話で共通してて偶然だなぁって
楽しみに待ってたんですよね。
プラデは昨年に公開されたので、どうなってるのかずっと気になってたんです。
当初は「無名人」というタイトルでした。

ツイ情報で感想をチェックすると概ね好評のようで、
ともかく西島さんがかっこよかった!!!という意見が多かったので、
主役がグイグイひっぱっていく作品なのかなと想像してました。

これは、極めて個人的な感想なんですけど、
随所にキム・ソンス監督の前作の「野獣」のかほりが(笑)
カーアクションは野獣の冒頭のシーンを彷彿とさせるもので
あのまま西島さんがサンウでも驚かないかもです。
(つか、西島さん黒くなくてよかった、笑)

人の遺伝子を上書きするという近未来的なテーマなんだけど
映像が昭和的と言うか泥臭い感じもそうだし、
アクションは手を抜かないね。
主演俳優もまたそれに見事にこたえちゃうっていうか、
西島さんの体をはったアクションはともかく素晴らしかったです。

二重の記憶に混乱しながら理由もわからずに追っ手から逃げる前半は
スピード感があって迫力ありました。

最初に奥さんが目の前で亡くなっているのに奥さんから電話がかかってきて、
その声が明らかに真木よう子の声で
私もそこで混乱しましたから(笑)

でも途中でねぇ、
スピードダウンするんですよね。
展開がまどろっこしいっていか
若干複雑で集中できない。

似てるんですよね「野獣」と
全体的には面白いんだけど、
必ず途中で一瞬眠くなる(何回観ても、笑)

二重の記憶の衝撃の真実が明らかになるところがクライマックスなんだけど、
ま、そこがスリリングだったのなら
それはもう超大作といって良いと思います。
誰が悪者か最初からプンプン臭うもんなぁ。

「無名人」ってタイトルが面白いよね。
DNAの上書きなんて話になってくると
自分はいったい誰だって話だもん。
ラストはそれを暗示するような終わり方で
ちょっと面白かった。

良くも悪くもキムソンス監督らしい作風
「美しき野獣」から8年ですよ
心血を注いだ作品であることはしっかりと伝わってきた
映画ってそうやって一本一本大切に作っていくもんだと胸を熱くして観終ったのでした



ゲノムハザード ある天才科学者の5日間  2014年
監督:キム・ソンス
出演:西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、中村ゆり、伊武雅刀

ある日、石神(西島秀俊)は自宅で殺害された妻を見つけてわれを失うが、いきなり鳴り出した電話の音で現実に引き戻される。電話に出ると通話の相手は死んだはずの妻で、彼は混乱したまま警察を装った男たちに追われることに。そんな彼に正体不明の女性記者(キム・ヒョジン)や、彼の妻をかたる謎の女性(真木よう子)が近づいてきた。


東京家族

2014年02月01日 | 日本
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山田洋次監督が小津安二郎監督に捧げるオマージュ作品
「東京物語」は観たことはなくてもあまりに有名なの大まかなあらすじは知っている
だから、この先どういう展開になるのかは想像がつきながら観ていたんだけど
146分という長い上映時間でありながら最後まで集中して楽しめました

家族の話は時代を超えて本質は変わらないんですね
普遍的な物語

「東京物語」は戦争で夫を失くしたお嫁さんのエピソードだったけど
「東京家族」は東日本大震災の後の話
妻夫木くんと彼女の青井優ちゃんはボランティア活動で知り合ったという設定だった

好きな仕事はしているけれど収入が安定しない一番心配な末っ子の男の子
どんな暮らしをしているか心配だったけど
結婚したいと彼女を紹介された日の夜の母と息子の会話がとてもよかった

「被災地のボランティアでひと目惚れして、誰かに取られちゃうんじゃないかとアタックした」
「お母さんはお見合いでしょ、どうしてお父さんと結婚したの?」

「みんなが言うからなんとなく、、実はお父さんええ男だったんよ」
「母さんの好みのタイプだったんだね」

黒髪がさらっと落ちる瞬間にドキッとしたり
顔が好みのタイプだったから
そんな一瞬のトキメキから始まって出会い
家族が形成されていく
そんなもの
人間ってなんて微笑ましいんだろって思う

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長男の医者の奥さんの(夏川結衣)の良いお嫁さんで
小姑(旦那の妹)とも仲よくやってるけど
嫁としての責任を果たす感じ(でしゃばったことはしない)とか
長女(中嶋朋子)の髪結い亭主な家族の感じとか
あぁ、いるよなぁ、、って思いながら観てました

綿々と続いていく家族の話

長年連れ添った妻を亡くしたお父さんが
「母さん死んだぞ」と言う場面は胸がつまりました
悲しみの大きさをぐっと飲み込んで何も言わずに淡々と過ごす姿が印象的で
足の爪を切る場面が心に残りました

このあと「東京物語」を観たんだけど
設定は一部違うけれど、細かい台詞のひとつひとつまでしっかりリメイクされてて驚いた
普遍的なテーマではあるけれど
50年以上の年月を経て平成の今の時代でも胸に迫る作品で
改めて山田洋次監督に敬意を表したい気持ちになりました



東京家族  2012年  ☆☆☆☆☆
監督:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻木聡、蒼井優

瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、個人病院を開く長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させようとする。そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。


東京物語

2014年02月01日 | 日本
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「東京家族」は山田洋次監督が小津安二郎監督に捧げるオマージュ作品ということなので
二つの作品を観比べてみたくて「東京物語」を観ました(←タイトルの微妙な違いがややこしい)
昨年、イギリスの映画雑誌で映画監督が選ぶベスト1に選出されたというニュースも聞いていたので、ぜひ一度観たいと思ってたんですよね

「東京家族」はまさにリメイクだったんですね
設定は一部違うけれど
細かな台詞までもがそっくりそのままで驚きました
戦後間もなくのこの時代の物語を
そのまま平成の物語として完成されてたことに対して
改めて平成版の「東京家族」に敬意を表したい気持ちになりました

1953年、敗戦から8年が過ぎた頃の話
私はもう少し後に生まれていて
遥か昔に戦争が終わったような気持ちでいるけれど
そうじゃないんだなと時代の流れを実感した

原節子が戦死した次男の嫁として登場していて
彼女の存在が中心になって話が展開する
静かな口調で交わされる今はもうあまり聞かれない日本語の使い方が
とても新鮮で心地よかった

蒼井優が形見の時計を渡されたときに
本当は来なければ良かったと思ったんですと言って
「あんたは正直でいい人だ」とお父さんに言われて泣いた場面が妙に気になったんだけど
未亡人となった原節子が
亡くなった夫の事をもう忘れる日もあるんです、、といって泣く場面を観て納得しました
このリメイクだったのね

お母さんに息子のことは忘れていい人を見つけて結婚しなさいと言われて
本心を言わずに良い嫁を演じてしまったことを恥じながら
独り身のまま時を過ごしていく不安を告白するという場面は
平凡な日常を描きながら決して平凡に何もなく暮しているわけではない私たちの日常と同じで、まさに人の暮らしを描いている作品だと感じました

どこにでもある平凡な普通の人たちの話
いつの時代で描かれてもかわらない普遍的な家族の話
綿々と続いていく家族の話

世界中の誰もが共感する永遠のテーマなんですねぇ

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2013年、英国映画協会(BFI)発行の映画雑誌「Sight&Sound」が発表した「映画監督が選ぶベスト映画」で小津安二郎監督の映画『東京物語』(1953年)が1位に選ばれた。
同時に発表された「批評家が選ぶベスト映画」でも、同作は3位に選出されている。
BFIは1933年に設立された世界最古の映画協会。1952年から10年に1度、「映画監督が選ぶベスト映画」「批評家が選ぶベスト映画」を発表しており、昨年は「批評家が選ぶベスト映画」に846人が、「映画監督が選ぶベスト映画」に358人が参加した。

☆映画監督が選ぶベスト映画
1位『東京物語』 小津安二郎監督
2位『2001年宇宙の旅』 スタンリー・キューブリック監督
2位『市民ケーン』 オーソン・ウェルズ監督
4位『8 1/2』 フェデリコ・フェリーニ監督
5位『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ監督
6位『地獄の黙示録』 フランシス・フォード・コッポラ監督
7位『ゴッドファーザー』 フランシス・フォード・コッポラ監督
7位『めまい』 アルフレッド・ヒッチコック監督
9位『鏡』 アンドレイ・タルコフスキー監督
10位『自転車泥棒』 ヴィットリオ・デ・シーカ監督

☆批評家が選ぶベスト映画
1位『めまい』 アルフレッド・ヒッチコック監督
2位『市民ケーン』 オーソン・ウェルズ監督
3位『東京物語』 小津安二郎監督
4位『ゲームの規則』 ジャン・ルノワール監督
5位『サンライズ』F・W・ムルナウ監督
6位『2001年宇宙の旅』 スタンリー・キューブリック監督
7位『捜索者』 ジョン・フォード監督
8位『これがロシアだ』 ジガ・ヴェルトフ監督
9位『裁かるゝジャンヌ』 カール・テオドール・ドライエル監督
10位『8 1/2』 フェデリコ・フェリーニ監督



東京物語  1953年11月3日公開  ☆☆☆☆☆
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、三宅邦子、山村聡

尾道に暮らす周吉とその妻のとみが東京に出掛ける。東京に暮らす子供たちの家を久方振りに訪ねるのだ。しかし、長男の幸一も長女の志げも毎日仕事が忙しくて両親をかまってやれない。寂しい思いをする2人を慰めたのが、戦死した次男の妻の紀子だった。紀子はわざわざ仕事を休んで、2人を東京名所の観光に連れて行く。周吉ととみは、子供たちからはあまり温かく接してもらえなかったがそれでも満足した表情を見せて尾道へ帰った。ところが、両親が帰郷して数日もしないうちに、とみが危篤状態であるとの電報が子供たちの元に届いた