きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

チチを撮りに

2020年10月23日 | 日本



家族を描いたらピカイチの中野量太監督作品をもうちょっと観てみようと思いまして、2012年の「チチを撮りに」
監督の色がしっかり出てて、そしてやっぱりなハートウォーミングさでした。
面白かった。

「湯を沸かすほどの熱い愛」の宮沢りえお母ちゃんと同様に、渡辺真起子お母ちゃんも肝が据わっててかっこいい。
自分の尺度で生きる強さがある、誰に頼ることなく自分の足で立ち、真面目にしっかり暮らしてる。
だからあんないい子が育つんだな。
お母ちゃんの逞しさが娘たちに受け継がれてる。

女を作って去っていった父は酷いんだけど、きっと引っ張られるとそっちに行っちゃう優しい人だったんだろうな。
だって迎えてくれた父の弟さん、あぁ兄弟だなぁっていう優しさがあって、やっぱり奥さんに引っ張られてるっぽい。
(っつか、旦那が頼りないと奥さんは必然的に強くなるんだなと思ったりもした)

でも家族に愛されてたのは葬儀の様子から想像できる。
ひとり残された息子もなんだかわかんないくらいいい子でね、お父ちゃん似なのかな我慢する子なのかも。

出てくる人みーんないい人だった。
川に落ちた靴を釣り竿で取ってくれる青年たちもいい子だった。
さらに昼キャバに来るサラリーマンのあいださんまでいい人に見えてくるというのはなんでだろう、、(笑)

父とチチとか、マグロのくだりとか、これはご愛敬ってことで。
ここにお父ちゃんがいるから、お墓参りはいいねって考え方、突飛だけど嫌いじゃないです。





チチを撮りに  2012年
監督:中野量太
出演:柳英里紗、松原菜野花、渡辺真起子、滝藤賢一、小林海人

14年前に父親が出て行ってから、葉月(柳英里紗)と呼春(松原菜野花)の姉妹は母の佐和(渡辺真起子)と3人で暮らしている。ある日、音信不通だった父が末期がんで死の床にあるという知らせが入り、2人は母に見舞いに行ってお別れしてくるようことづかる。彼女たちはしぶしぶ出掛けて行くが、道中で父の訃報を知り途方に暮れる。

長いお別れ

2020年10月21日 | 日本

 

中野量太監督の「湯を沸かすほどの熱い愛」は余命2か月のお母さんの話。
現実的ではないところもあったけど力技でぐいぐいと泣かされたんだけど、
今回は父が認知症になった「long goodbye」7年間の話、対極ですよね。でもどちらも本当に泣かされる。
  ⇒⇒ 湯を沸かすほどの熱い愛
「浅田家」もしかり、いろんな切り口がありつつ、家族を描いたらピカイチの監督なんだと改めて感じました。

冒頭の遊園地のシーンがラストに繋がる。
お父さんが帰りたかったところはそこだったんだなぁ。

日々の暮らしはずっと続くような気がしてるけど、実は家族そろって暮らせる時間には限りがあって、過ぎ去ってから気が付く。
何でもない毎日がかけがえのないもので戻りたい場所だってこと、だからあのシーンは胸の奥で心がぎゅーっとなる。

「お父さん、繋がらないって切ないね」

「お父さんとお母さんみたいになりたかった」

姉妹は父に話しかける。
応えてくれるわけではないけれど、過去の父が、その存在が彼女たちを励まし、力を与える。
泣けるよね、、

そしてちょっと天然だけどどんなときもユーモアとともに明るくいてくれる松原千恵子お母さん。お母さんがなにより素敵だった。

お姉ちゃんは優しい人で、何年も暮らしてるのに英語を覚える気がないとか
のんびりしててちょっとお母さん似なのかな?、、って思ったり、
そうしたら妹はお父さん似(教師にならなかったことを負い目に感じてる)かな。

思い通りにならないことが多くても、みんな必死に生きている。
お父さんが育てた娘たちはきっとこれからも頑張るよ。
良い映画でした。

 

 

長いお別れ  2019年  ☆☆☆☆☆
監督:中野量太
出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山崎努、北村有起哉、中村倫也

2007年、父・昇平(山崎努)の70歳の誕生日で久々に帰省した長女の麻里(竹内結子)と次女の芙美(蒼井優)は、厳格な父が認知症になったことを知る。2009年、芙美はワゴン車でランチ販売をしていたが、売り上げは伸びなかった。麻里は夏休みを利用し、息子の崇と一緒に実家へ戻ってくる。昇平の認知症は進行していて、「帰る」と言って家を出る頻度が高くなっていた。


ミッドナイトスワン

2020年10月10日 | 日本



なかなかの衝撃作でした。
LGBTの話ではあるけれど、それだけではない、観終わった後いろんな話をしたくなる。

バレリーナの話であることがいいなぁっ思った。
凪沙はニューハーフショーでバレエを踊っている。いわゆる、、なんていうか芸術性とは違うというか、、(言葉を選ぶ)
だから真夜中の白鳥なんだけど、でも本当は誰にでも綺麗って言われる白鳥になりたかったんだよね。
そこに、親戚の子で類まれなバレエの才能を持つ一果が登場する。
そこの対比の面白さよね。

でもなんといっても特筆は、親や親せきにも自分のトランスジェンダーをひた隠しにして生きてきた凪沙の孤独。
この作品はそれに尽きる。
望まなくても夜の世界しか彼女の生きる場所はなかった。
望まない性で生まれ、生業も選べない、「どうして私だけ、、」って泣きたくもなるよね。

閉塞だらけで生きてきた一果が言葉を出せずに自らの腕に噛みついた姿を見た瞬間に、自分を感じたんでしょうね。
二人が寄り添って暮らす姿につかの間ホッとしました。

母性というキーワードが使われるけど、私的にはちょっと印象は違う。
一果はネグレクトで実母に見放されたかというとそうではない気がするし、実母に対して凪沙が母になりたいと思ったかというとそれも違う気がする。
外国特派員協会の記者会見で草なぎくんが「何かを育てることは男性も女性も変わらない」と答えていたけれど、それが一番しっくりくる。
一果に自分の夢を重ねたのは間違いないだろうし、それが彼女の幸せだと信じてたんだと思う。

性転換手術とその後がリアルだったので驚いたけれど、生田斗真くんが演じた
『彼らが本気で編むときは、』を観たときに、手術後のケアのことを知って、なるほど大変なんだと思った記憶があるけれど、それはもう生半可なことじゃない。

最初の場面とラストが対になってるのよね、凪沙の命が一果に継承されてる。
生きた証ってそういうことかもしれないと、切なく、悲しく、凪沙を思ったラストでした。

ただラストのシーンは凪沙に見守って欲しかった。
親友の時もそうだったように、一果は感の鋭い子だからその姿を絶対に感じてたよね。




ミッドナイトスワン  2020年  ☆☆☆☆☆
監督:内田英治
出演:草なぎ剛、服部樹咲、 水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖

新宿のニューハーフショークラブのステージに立っては金を稼ぐトランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)は、養育費を当て込んで育児放棄された少女・一果を預かる。セクシャルマイノリティーとして生きてきた凪沙は、社会の片隅に追いやられる毎日を送ってきた一果と接するうちに、今まで抱いたことのない感情が生まれていることに気付く。

浅田家!

2020年10月10日 | 日本



初日に舞台あいさつ中継付きで鑑賞してまいりました。浅田家!
面白かった!
実在する家族の話なんだもんね、
そもそもな浅田家がユーニクで、逞しいお母さんと優しいお父さんと、子供たちもいい子たちなんだよな~。
お兄ちゃん!浅田家はお兄ちゃんがいるから浅田家なんだよ!と褒めてあげたい!(笑)

カメラで撮って写真としてアルバムにした家族写真。
たまにみんなでワイワイ言いながら観る風景を思い描くよね。
わが家にもずっしりと重いそれはあるけれど10年くらい前までで、今はスマホで撮るし、写真はフォルダに収納されてる。

家族写真を通して家族に思いを馳せる、誰にでも経験のあることだから、ちょっとセンチメンタルな気分にもなる。
そして、登場人物が心優しい人ばかりで間違いないハートウォーミングさ。
震災の話、人々の善意の気持ちを素直に感じる描き方が良かったですよね。
穏やかな優しい気持ちになる。

俳優さんたちが芸達者ぞろいで、ニノと妻夫木くんと菅田くんですよ、なんと豪華な出演者。菅田くんの大学生役が普通でそれがまたびっくりで贅沢、平田満と風吹ジュンのご両親も、黒木華の恋人も素晴らしくて、安心して身をゆだねられる作品でした。




浅田家!  2020年  ☆☆☆☆
監督:中野量太
出演:二宮和成、妻夫木聡、平田満、風吹ジュン、黒木華、菅田将暉、渡辺真起子

家族を被写体にした卒業制作が高評価を得た浅田政志(二宮和也)は、専門学校卒業後、さまざまな状況を設定して両親、兄と共にコスプレした姿を収めた家族写真を撮影した写真集「浅田家」を出版し、脚光を浴びる。やがてプロの写真家として歩み始めるが、写真を撮ることの意味を模索するうちに撮れなくなってしまう。そんなとき、東日本大震災が発生する。