はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

NNT: その治療が、何人に一人、恩恵を与えるのか

2015年07月09日 | 医学


Number Needed Treatment とは一人の死亡や病気の発症を防ぐために、何人がその治療を受ける必要があるかを示した数字です。

例えば無作為に振り分けられた100人ずつの2つのグループを追跡調査していくのですが、
Aグループには治療薬を投与し、Bグループにはプラセボ( 偽薬 ) を投与するのです。
10年後にAグループで5人が発症し、Bグループでは10人が発症したとしますと、
その薬は100人中5人の発症を阻止したことになります。
このことはその薬を20人が飲んだならば1人が恩恵に与るということを意味します。
これをNNT20と表記するのです。

したがってNNTが大きくなればなるほど、その薬はオバカだということになるわけですが、
ネットでNNTを検索すると、アメリカには、そういうサイトがあって、公表されているのです。
そのサイトで公表されているオバカな薬や治療法を紹介します。

既往歴の無い軽度高血圧患者(収縮期140~159、拡張期90~99)への降圧剤投与 : NNTなし

既往歴の無い人たちへの脳卒中と心臓病予防のためのアスピリン投与......
........致死的では無い心臓病の予防 : NNT2000、
........致死的では無い脳卒中の予防 : NNT3000

既往歴の無い人たちへの心臓病と脳卒中予防のためのスタチン(コレステ薬)投与....
........心臓発作の予防 : NNT104
........脳卒中の予防 : NNT154
(さらに、最近ではスタチンの副作用として、糖尿病発症のリスクが高まる、癌の発生率が高まる、記憶力低下と認知症、筋力低下、うつ傾向、テストステロンの低下によるEDなどが指摘されています。)

骨折の予防のためのビタミンD投与 : NNTなし、そして腎結石と腎機能低下リスクが1/36

大人の急性気管支炎に対する抗生剤の投与 : NNTなし、ただし咳が無くなるNNTは6

大人の副鼻腔炎に対する抗生剤の投与 : NNT18だが1/8で副作用が出るから利益は赤字

骨折経験の無い中高年女性に対するビスフォスホネート製剤の投与 : NNTなし

結局、予防医学の実態は製薬会社に踊らされた私たち開業医の虚業に過ぎなかったような気がします。

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