今回は江部康二先生のブログを基にした紹介です。
福岡県福岡市の東区に隣接するというロケーションで久山町という人口8000人ほどの町があります。
医学の分野では世界的に有名な町です。
なぜならば、町の近所の九州大学の医学部が50年前から町民全員の疫学調査(どんな生活習慣でどんな疾患を発症したか、
どんな死因だったかなどの調査)を続けており、貴重なデータを世界に発信しているからです。
数年前にはピロリ菌と胃癌の殆ど100%に近い相関関係を発表しました。
さて、その久山町の糖尿病を撲滅するべく、九大の先生方が1988年にあるプログラムをスタートさせました。
①運動療法
②三食をバランス良く食べさせるが、脂質を減らして炭水化物を増やす。
この2点です。
このプログラムは2002年まで14年間にわたって続けられました。
スタート時点で久山町の40歳から79歳までの糖尿病患者は男性の15.0%、女性の9.9%でした。
で、14年後にどうなったのかというと、それぞれ23.6%、13.4%と激増してしまったのです。
厚生省の統計によれば1997年から2002年にかけて日本人全体の糖尿患者は微減しています。
というわけで、九大のプログラムは大失敗に終わったわけです。
①の運動療法が糖尿病に悪い影響を与える確率はゼロですので、②が失敗であったことは明白です。
ところが九大の先生方の反省は違います。決して②が失敗だったとは言われません。
遺伝子が違うのに欧米の生活習慣を取り入れた。メタボが増えた。などを原因と指摘されておられます。
生活習慣の欧米化とは具体的になんなのかの説明がありません。
運動療法とバランスの良い食事を続けているのに、なぜメタボが増えたのかを考察される気配もありません。
町民のみなさんに今更”ゴメン”と謝りにくいからでしょうが、科学者として失敗を失敗と認める勇気が必要なのではないのでしょうか。
写真は私の減量グッズです。
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