『きらめいて 雫の花の 咲きにけり』
(きらめいて しずくのはなの さきにけり)
『薄紅の 蕾を見つく 桜花』
(うすべにの つぼみをみつく さくらばな)
『梅処 整地もされて 雨の降る』
(うめどころ せいちもされて あめのふる)
『春の雨 生駒の山頂 陽の射して』
(はるのあめ いこまのさんちょう ひのさして)
『雲間より 春の陽の射す 浪花街』
(くもまより はるのひのさす なにわまち)
『春電車 昼の鈍行 田舎色』
(はるでんしゃ ひるのどんこう いなかいろ)
『大阪を 田舎と思わば 春麗』
(おおさかを いなかとおもわば はるうらら)
『長靴で 面へ出たか 春の女』
(ながぐつで おもてへでたか はるのひと)
『地下鉄の レールの軋み 春催い』
(ちかてつの れーるのきしみ はるもよい)
『紅葉の 写真の掛かる 春の駅』
(こうようの しゃしんのかかる はるのえき)
『春寒や 色めき降りる 北新地』
(はるさむや いろめきおりる きたしんち)
『春寒し どこもかしこも 痛くなる』
(はるさむし どこもかしこも いたくなる)
『水温む 雨雲裂いて 陽の射しぬ』
(みずぬるむ あまぐもさいて ひのさしぬ)
『梅開く 蕊の力の 強きこと』
(うめひらく しべのちからの つよきこと)
『紅梅の 淡い陽射しに 燃えにけり』
(こうばいの あわいひざしに もえにけり)
『春雨の そぼ降る中に 一人立つ』
(はるさめの そぼふるなかに ひとりたつ)