『爺三人 開店特価の 春チラシ』
(じいさんにん かいてんとっかの はるちらし)
『電線に 止まらぬ子雀 雨しとど』
(でんせんに とまらぬこすずめ あめしとど)
『春の雨 溜まり大きく たじろぎぬ』
(はるのあめ たまりおおきく たじろぎぬ)
『生垣に しぶとき一輪 寒椿』
(いけがきに しぶときいちりん かんつばき)
『春雨に 濡れて引き立つ 庭の石』
(はるさめに ぬれてひきたつ にわのいし)
『欠伸して くしゃみまでして 春の女』
(あくびして くしゃみまでして はるのひと)
『一生に 一度は目にせん 冬牡丹』
(いっしょうに いちどはめにせん ふゆぼたん)
『晴れマーク 週に三つ 春半ば』
(はれまーく しゅうにみっつ はるなかば)
『蝶々や 花から花へ 我もまた』
(ちょうちょうや はなからはなへ われもまた)
『陽を受けて キラリとするや 猫柳』
(ひをうけて きらりとするや ねこやなぎ)
『春月や 曇り空でも 見える月』
(しゅんげつや くもりぞらでも みえるつき)
『春の闇 愛犬の温み 身に受けて』
(はるのやみ あいけんのぬくみ みにうけて)
『料峭や 山肌いまだ くすみ居り』
(りょうしょうや やまはだいまだ くすみおり)
料峭=春の風がまだ肌を刺すように冷たく感じられるさま