『先達の 旅の日に降る 五月雨よ』
(せんだつの たびのひにふる さみだれよ)
『瀧の音 静かに聞き入る 水芭蕉』
(たきのおと しずかにききいる みずばしょう)
『バラ園の 薔薇を撮らば 泪降る』
(ばらえんの ばらをとらば なみだふる)
『まだありし ベランダ越しの 鯉幟』
(まだありし べらんだごしの こいのぼり)
『薔薇朽ちし 色も形も くすんでる』
(ばらくちし いろもかたちも くすんでる)
『老いの目か 水仙と見えし 菖蒲かな』
(おいのめか すいせんとみえし あやめかな)
『義弟の 容態変わらず 五月雨て』
(おとうとの ようたいかわらず さみだれて)
『薫風や 漏れ来る匂い 避け通る』
(くんぷうや もれくるにおい さけとおる)
『薫風や 網フェンスの 木々揺らす』
(くんぷうや あみふぇんすの きぎゆらす)
『薫風よ 雨はいらぬぞ 明日は旅』
(くんぷうよ あめはいらぬぞ あすはたび)
『聖五月 たまり忘れし マグロ丼』
(せいごがつ たまりわすれし まぐろどん)
『再会も 二年半ぶり 麦の秋』
(さいかいも にねんはんぶり むぎのあき)