能海岸の風車
「髪の毛が引き抜かれそう」な強風の中でも風力発電の風車は悠然と眼で追える速さで回っていた。
風が強いと風車がびゅんびゅん回り、発電量が増えて、社長はほくほくと思っていたけれど、それは違ったらしい。
自転車の発電機を思い出す。
自転車のライトの電源はタイヤに押しつけた小型発電機から供給された。自転車のスピードが上がると昼間のように輝いたけれど、登り坂で光は蛍ほどになった。
自転車に乗ることがなくなった、せっかく買った電導アシスト自転車は物置から出たこともない、それよりも、自分はそう思いたくないのだけれど、もうバランス良く乗ることはできないかもしれない。