予報によると月が出るころの天気は雨マークになっていた。
仲秋の満月が気になるのは、月の名所で名高い姨捨を三日前歩いにたからである。
高台に位置する、20基近い句碑が林立する月の名所に立って東の空を眺めた。
ここから眺める月は、狭い谷間を囲む山頂から昇る月に比べて、霊感に与えるインパクトの種類や深さが違うのかもしれない。
信濃毎日新聞は「けさの一句」に姨捨ゆかりの句を取り上げた。
俤(おもかげ)や姨(をば)ひとり泣く月の友 松尾芭蕉
姨捨山は古来棄老伝説で知られたところで、月の名所として名高い。
月をみていると棄てられた老婆の面影が浮かんでくる。今宵は彼女を友として月を眺めよう。
我が「信濃の国」唱歌にも「来る人多き、筑摩の湯(浅間、湯ノ原) 月の名に立つ姨捨山」と歌われている。